日記

2023-03-17 17:35:00

Everything + Everywhere - All × At ÷ Once

先日、アカデミー賞作品賞を受賞した『Everything Everywhere All At Once』(通称:エブエブ)を観てきました。

 

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コインランドリーを営む主人公が、「もし自分が~だったら」という並行世界の記憶を集め、世界の巨悪を打ち倒すファンタジーアクション映画です。

並行世界の自分の記憶を見ているうちに、「こんなさえない人生でいいのだろうか?」と疑問を抱きつつ、最終的には「今の自分だからこそ、今の幸せがある」と結論に達する、まあ、よくある物語です。

個人的にはあまり好きではありませんでしたが、主人公が妙齢の女性ということもあり、Y世代(40歳くらい)に刺さる良い作品と言えます。

『RRR』と同じく、一部の映画ファンの間では爆発的に話題を呼んでいる作品なので、気になる方は是非とも映画館へ足を運んでみてください。

 

 

ところで、皆さんは算数(または数学)は得意でしょうか。

足し算や引き算といった四則演算から始まり、方程式や関数、微分積分や行列といった、様々な概念を学習します。

日常生活で役立つものから、「こんなのいつ使うんだよ」と文句を言いたくなるような複雑な概念まで、数学の世界は果てしない感じがします。

 

「これっていつ役立つんですか?」

「どうしてこの公式になるんですか?」

塾講師をやっていると、こういった質問はよく耳にします。

習ったことを鵜呑みにせず、概念や理論に疑問を抱くのはいいことです。

 

しかし、不思議と「どうして足し算は+の記号で、かけ算は×の記号なんですか?」といった、視覚的な質問を耳にしたことはありません。

せっかくなので、本日は「数学記号」についての日記を書いていきます。

 

あくまで感覚で考えてほしいのですが、小学生で習う四則演算の記号(「+」「-」「×」「÷」の4種類)は、いつ頃から登場したのでしょうか。

感覚で考えるのであれば、「えっ、人類が誕生した瞬間からあったんじゃないの?」と思いませんか?

私もそう思います。

ここまで科学を発達させた人類であれば、単純な四則演算の記号なんて、数千年前から使ってそうですよね。

 

ところが、四則演算の記号が初めて登場し、世の中に浸透してから、実はまだ400年と経過していません。

 

例えば、1600年後半、微積分法の発展に貢献したライプニッツは、割り算を「÷」ではなく「:」と記載していました。

更に、同じく1600年後半、万有引力を発見したニュートンは、割り算を「÷」ではなく「/」と記載していました。

つまり、1680年頃までは、人類はまだ割り算の共通記号を持ち合わせていませんでした。

 

ライプニッツとニュートンは、積分法についての議論を手紙で交わしていたのですが、ライプニッツが「割り算は分数と同義であるから、『:』ではなく『/』で記載するのが合理的である」と考え、割り算の記号が「/」へと統一されます。

(余談ですが、現代でも割り算の記号は「÷」ではなく「/」が一般的なので、最終的にはニュートンの記載が採用されています。例えば、Excelでは『/』が割り算を意味する演算子となっています)

 

ここまで科学を発達させた人類が、400年前には割り算の共通記号すら持っていなかった。

そう考えると、「学年最下位の落第者が、数年後に東大に入学できるか?」という質問に対し、「できますよ」と答える指導者が多いのも納得できるのではないでしょうか。

 

話を少し変えて、400年前の日本を考えてみましょう。

1600年というと、関ヶ原の戦いで徳川家康率いる東軍が勝利し、江戸時代がはじまったころです。

腰に刀をぶら下げ、日本人同士で殺し合いながら、大して広くもない日本の領土を奪い合っていた時代ですね。

そんな中、世界ではライプニッツやニュートンが微分積分や万有引力について議論を重ね、演算子を確立していたのです。

 

 

『エブエブ』では、主人公が並行世界の自分の記憶をたどっている中で、「違う選択をしていれば、違う人生を歩めたのに」と後悔するシーンが何回かあります。

積分について議論していたライプニッツやニュートン、日本統一を目指した織田信長や徳川家康。

違う選択をしていれば、織田信長と徳川家康が積分について議論を交わし、ライプニッツとニュートンが天下分け目の戦をしていたかもしれませんね。

 

もちろん「この人生が正解だ」といった模範解答はありませんが、誰しも(漠然としていても)「こんな人生を歩みたい」という理想はあるのではないでしょうか。

同時に選べる選択肢には限りがあるので、改めて、将来について考えてみてください。

 

 

弊塾は英数理系特化なので、「ライプニッツやニュートンのように、積分の議論がしたい」といったご要望も承っております。

また、個別指導塾なので、「日本を統一したい」といった、特殊な思想を持った生徒さんにも対応可能です。

講師が5人いるため、東軍と西軍に二人ずつ配置し、更に審判を一人設けることもできます。

面談にご両親が来ていただければ、東軍と西軍が3人ずつに増え、緊張感のある戦いを演じることもできるかと思います。

 

 

以上、『エブエブ』と演算子についてでした。

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