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2025-01-22 13:18:00

35年の歴史を背負って ~小さな船が漕ぎ出す 未来への旅路~

 和歌山県のとある小さな港町。

 

かつて、この港には大きな船が行き交い、多くの人々が活気をもたらしていた。

その小さな港町で生まれ育ち、幼い頃から海と共に生きてきた。

その町こそ、僕の故郷”浦神”である。

 

その幼い頃(当時5歳の頃)父の船に乗り、船や波の音、そして父の背中を見ながら、海と共に生きる姿を学び、そこで出会った命の尊さが、今でもこの眼に残っている。

父は「鉄人漁師」と呼ばれ、その背中は自分にとって誇りであり、憧れだった。

 

そして、同じくその幼い頃、初めて手にした延べ竿。

その延べ竿を使い、見よう見まねで竿を持つ。

そして、魚がかかった瞬間、その瞬間の、クエの子が釣れたあの時の喜びは、今でも鮮明に覚えている。

あの小さな感動は、胸の中で大きくなり、命の大切さを教えてくれた。

あの時の興奮と誇らしさが、心の奥底で静かに育ち、今の自分へと繋がっている。

あの小さな一歩が、漁師としての誇りや情熱を育んでくれた。

 

 しかし、現実はそう甘くはなかった。

漁師になりたいという夢を抱きながらも、家業を継ぐという選択肢は当時の自分には遠く、別の道を歩む事になった。

生活のために選んだ、サラリーマンとしての仕事は、日々の忙しさに追われるうちに、いつしか夢を心の奥にしまい込んでしまうものだった。

 

それでも、ふとした瞬間に海の記憶が蘇る。

 

波の音、父の背中、そして初めて釣った”宝物”の感触。

そんな思い出が胸の中で燻り続け、30年余りの月日を経ても消えることはなかった。

胸の中で燻っていた記憶は、いつしか大きくなり、自分の中で消せない存在となっていった。

 

そんな思いが膨らみ続けたある日、転機が訪れる。

 

「お客さんとこの船、引き継いでくれへんか」

 

その言葉を聞いた瞬間、胸が熱くなった。

界隈では、知らない人がいない名の知れた遊漁船<大宝丸>の親方が、35年以上にわたり、この地元で遊漁船を運営し、多くの釣り人と地元の海を繋いできた。

その親方から声をかけられ、ついにその夢を追いかける決意をした。

 

親方が長年培ってきた経験や技、そしてお客様との信頼は、僕にとってかけがえのない財産。

親方や、支えてくれた人々への感謝を胸に、新たな航海が始まった。

 

海は変わる。潮の流れも、魚たちの活性も昔とは違う。

釣り方一つにもコツがいる。

まるで風が変わるように、微細な感覚が求められるようになった。

 

だが、それこそが釣りの”醍醐味”。

自然を感じ、魚と向き合い、命と対話する時間。

 ”海が教えてくれる魚との出逢い”を楽しみながら船を出す。

そして今、僕はその経験と情熱を新たな挑戦へと繋げている。

それが、牡蠣養殖だ。

 

地元の海で育んできた命を、次の世代へと繋げていく。

それが、今の僕の使命だと感じている。

海の変化に対応しながら、育ててきたバージンオイスター(三倍体牡蠣)を大切に育て、より多くの人々にその特別な味わいを届けること。

地元の海で育った唯一無二の牡蠣を、多くの人々に知ってもらい、次なる旅路へと踏み出し、地域を繋げていくことこそが、僕に出来ることだと信じている。

 

”海が教えてくれる新しい発見”を楽しみながら、牡蠣の養殖に取り組み、これからも誇りを胸に、この海と共に歩んでいきたい。

 

”楽しく、心を込めて海と対話をする”

 

その瞬間が、自分の生き方を刻む道標となり、漁師としての誇りを深く胸に刻む。

 

 

 

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