研究室紹介

岩崎研究室について

<専門家以外の方へ>

当研究室では,生命のなぞ,病気の原因を分子の構造から解明することを目的として研究を行っています.

そのために生体分子の構造解析によるアプローチを主軸に据えています.

生体分子を構成している原子の座標がわかれば,
化学の目でその分子の機能を解釈する足がかりができます.タンパク質は,基本としてはわずか20種類のアミノ酸しかないのにもかかわらず,なぜ多種多様な機能をもっているのでしょうか.それは,生物ではアミノ酸の配列を変え,3次元の空間に多様な立体配置をとるという戦略がとられているからです.だからこそ生体分子の構造を知ることが,化学としての理解の基盤になるのです.また,その分子が病気の原因になっていれば,薬の設計に役立つ可能性がおおいにあります.病気の原因となるターゲット分子の構造を用いて薬を設計することをStructure-Based Drug Design (SBDD)と言います.SBDDを用いて開発され,最初に上市された薬は抗インフルエンザ薬です.私たちの大変身近なところにその技術の成果はあるのです.私たちの研究室では,ウイルスや細菌,軟部腫瘍をターゲットにして,こうした創薬への貢献を現実に目指して構造解析を行っています.

このように構造解析は,生体の化学研究におけるスタートにすぎません.正しくその分子の役割と機能を説明できるようにするためには,生化学や細胞生物学など,その他多種多様な手法がさらに必要です.学問領域に壁を設けず,このようなマルチアプローチに共同研究を通じて積極的に挑んでいます.

 

 

<学生・研究者の方へ>

構造解析にはクライオ電子顕微鏡と単粒子解析法,X線結晶構造解析法を用いています.また、共同研究ベースで高速AFM950MHz 2DNMR解析を行っています.しかし,これらの手法を有効に使うためには,目的とする分子を細胞を用いて発現し,活性を保持した状態で精製しなければなりません.ここには,生化学,細胞生物学の知識が総動員されます.構造解析の手法が非常に発達した現代では,構造解析を成功させる鍵は,99%ターゲットとなる分子をいかに準備するかにかかっていると言って良いでしょう.研究室ではこうした取り組みを経験することができます.また,構造解析されたデータを解釈するためには,計算機を使ったシミュレーションも欠かせません.専門家との共同研究を通じて積極的に取り組んでいます.

当研究室では次の3つの課題に取り組んでいます

【研究課題1】軟部腫瘍の原因となる分子の構造解析

  (1)滑膜肉腫

  (2)ユーイング肉腫

【研究課題2】最先端クライオ電子顕微鏡の運営

当研究室にはAMED(国立研究開発法人 日本医療研究開発機構)のプロジェクトの一環として最先端のクライオ電子顕微鏡が2台設置されています. 多くの民間企業への支援とともに創薬への展開を図っています.

詳しい内容は下記のリンクをご覧ください。

TCEFクライオ電子顕微鏡