宗夜ブログ
夕去りの茶事のお献立
向附…すずきの薄造り
汁…赤だし味噌 さいの目豆腐
椀盛…かぼちゃととうもろこしのすり流し
預け鉢…夏野菜の胡麻和え
焼物…さざえのつぼ焼き
和菓子…抹茶みぞれ羹
宗嘉先生の心尽くしのお料理たち。
どのお料理も、お客様が口に運ばれるその瞬間に一番美味しい時を迎えるよう供されています。
赤出汁味噌汁のしっかりとした塩味は、暑さにより遠のきがちな私たちの食欲を即座に呼び覚ましてくれました。
さいの目豆腐はやや小ぶり。
柔らかな絹ごしの優しさそのままに大豆の味を赤みそに負けずに伝えてくれました。
すずきの薄造りは、まるでレースのよう。
透き通る美しさが涼を爽やかに演出。
余分は水分や臭みは一切なく、ほのかな塩味。
すずきの身の本来の旨みが凝縮されていました。
ああ美味しい。
目を瞑って美味しさに浸っていた時、生徒さまから声をかけられていたようでした。
『先生』
『………』
『先生!』
『あ、失礼しました😓』
『堪能されているところ、すみません💦』
ついつい仕事を忘れるほどの美味しさでした。
かぼちゃととうもろこしのすり流し。
朱の椀に映える、健やかなかぼちゃの色味。
その中央には海老が、これまた朱色の背をやや恥ずかしげに内側に丸め、オクラが励ますかのように添うています。
さっぱりとして喉越し爽やか。
甘くて冷たくて美味しいこと!
滑らかに喉をくだります。
丁寧に丁寧に漉されたかぼちゃの甘味。
海老もかたくり粉でお化粧されて艶やかなお姿。
プリっとした食感も楽しく、メインの貫禄たっぷりの一品でした。
預け鉢は夏野菜の胡麻和え。
シャキシャキとした歯触りの夏野菜を、クリーミーな胡麻が包み込み、脇役ながら存在感のある美味しさでした。
パプリカの赤、とうもろこしの黄、葉野菜の緑が、畑の元気を届けてくれました。
焼物はさざえのつぼ焼き。
先生肝入りのお品。
まず目を引くのがその見た目。
磯の香りそのままに、波の音まで聞こえてきそう。
ここは湘南。江ノ島もすぐそこ。
江ノ島の名物と言えば、さざえのつぼ焼きなのです。
宗嘉先生のサザエさんはとても上品な装い。
身は小さく、お箸で取りやすくされています。
歯応えがありつつ柔らかく。
そして苦くないのです。
女性に好まれるお味でございました。
和菓子は、抹茶みぞれ羹
お抹茶の羊羹と、みぞれに模した道明寺粉の羊羹の二層仕立て。みぞれ羹からは粒あずきがところどころで顔を出し、何とも涼しげです。
ぷるぷるとさっくりの中間くらいの柔らかさ。
水分量が絶妙で、楊枝にてお召し上がりいただけます。
山の幸、海の幸、豊かな日本の食を堪能できるお席でございました。
宗嘉先生のオリジナリティ満載のお料理。
懐石料理教室にて、ご自身でお作りいただけます。
プロのお味をぜひご家庭でもお愉しみくださいませ☺️🤲
夕去りの茶事
文月後半の日曜日、よし庵にて夕去りの茶事が催されました。
会員さまの中には、オーストラリアからのご参加者もおられて、とても盛り上がりました☺️
生徒様はコロナ禍最中の数年前に私どものzoom茶道教室にご入会くださいました。
最初は午前中の初級・中級コースをご覧になられていたのですが、『私には難しすぎます😥』というお声をいただき、初級入門コースを立ち上げました。そして初級の資格を取得されて、その後に中級実践コースに進まれて、中級も取得され、ついには先ごろに上級の資格に申請したところであります。
最初のうちはお互いに手探りのお稽古でした。
お茶巾はこう畳みます…とか
茶碗はこう拭きます…とか。
カメラの向きをあっちこっちに変えてお稽古していました。
『お茶碗を拭いているうちにどうしても正面が向こうに行ってしまうんです…』
と悲しそうな顔をされていたので、
『ではナビしますので、私の言う通りに手を動かしてみてくださいね』
とお稽古をしたところ、
『あ、来た、正面来た。すごーい!』
と声をあげて喜ばれていた姿が今でも目に浮かびます。
一度などはミュートのままお稽古をしていて、それに気付かずに最後までミュートで通してしまったこともあります。
生徒様は画面の前で無音のお稽古にずっと付き合ってくださって、終わってから『ごめんなさい、ごめんなさい🙏』と私は平謝りしたのでした。
そんなお稽古の途中で、
『いつか会えたら良いですね。いつかお茶事に参加できたら嬉しいですね』
と頻繁に語り合っていました。
それが今回本当に叶いました。
お茶事の迎えつけのご挨拶にて、
『口に出したことは叶うんですね』
とお互いに涙を堪えながら喜びを噛み締めました。
夕去りの茶事は、主催者としては私たちも初めての経験でした。
最初は蝋燭に火を付けるのは怖く感じたのですが、実際に灯してみると和蝋燭の炎は優しい暖かさで安心感さえ感じました。
ゆらめき方が独特で、古の先人たちは長らくこの炎で生活していたのか、と思うと自分たちもその空間にタイムスリップしてしまったような不思議な感覚になりました。
ご亭主をしてくださった生徒さまは、実に慎重に手燭を扱ってくださいました。
お点前もスラスラと流れるようで実に素晴らしかったです。
ほの明るい茶室にて、亭主の集中力が客側にも伝わり、それぞれの意識が近づいてひとつにまとまる感じが何度もしました。
意識の糸が束ねられたり、ほどかれたり、を繰り返しつつ時が進んでゆく、そんな景色でした。
『和蝋燭の優しい灯火の中でのお点前は、いつものお稽古では味わえない不思議な感覚になりました…』
とご亭主がしみじみと仰っておられました。
『是非皆さまにもこの感覚を味わっていただきたい』と。
日々医療の現場に立たれ、人の心理状態に詳しい専門家でいらっしゃる生徒さまのお言葉です。
何かを肌で感じられて、優美さの根拠を得たような、不思議な満足感が言葉からも表情からも伺えました。
参加者の全員が、しばらく夢うつつの状態で、幽玄な空気に浸っていました。
今回の夕去りの茶事にて…
日常を離れて、ガラリと雰囲気を変える経験をすることは、とても大切だと思ったのでした。
どこか特別な場所に行かなくても、自分たちの努力で、空間をこれほどまでに大きく変えられるのだという経験は貴重でした。
体の中の新しい細胞が目覚めたかのような茶事。
これからもそのような茶事を心掛けて参りたいと思ったのでした。
源氏物語茶事
3/26(日)源氏物語茶事が開催されました。
総勢8名さま。
この度初めて顔を合わせる方々も多く、待合での自己紹介は大いに盛り上がりました。今回が初めての茶事経験となる方々も多かったのでした。
お点前は経験豊富な生徒さまにお願いしておりました。
『久しぶりの続きお薄で、あまり自信がなくて。どうか皆さまのお力添えをお願いしたく…』
と仰ったところで
『た、助けられない…』
と、入門されて1年未満の生徒さまが仰ってドッと笑いが起き、この一言でみんな心から安堵した様子でした。
(私だけじゃなかった。良かったー🤭)
『みんなで助け合って楽しみましょう😊』
と結束しました。
みんなで頂く茶懐石料理の味は最高でした✨
《茶懐石料理のメニュー》
向附・・あじのみどり酢和え
煮物椀・・粟麩のオランダ煮 ほたるいか ふき
預鉢・・海老とうどのアボカド和え
焼物・・鰆の木の芽焼き
汁・・とろろ昆布の吸い物
菓子・・道明寺桜もち
特に皆さまからご好評いただいたのが、鰆の木の芽焼きです。
ふっくらと柔らかい鰆は、ほんのり塩味。
木の芽の香りが口いっぱいに広がります。
そして和菓子は桜道明寺🌸
桜あんを中に納めた道明寺です。
道明寺粉のつぶつぶの大きさが絶妙でした!
つぶにより生まれる食感のリズム。
桜あんと相まって春のハーモニーを奏でます。
その後に千鳥の盃。
茶懐石のハイライトと言えましょう。
よし庵ではお酒を供することはいたしておりません。形だけとさせていただき、作法の説明と共に宗嘉先生が燗鍋を持って回ります。
その後、しつらいの拝見を経て腰掛け待合に下がり、炭手前、続きお薄のお点前となりました。
よし庵ではお膳をゆっくり召し上がっていただきたいという配慮から、炭手前は続きお薄の直前とさせていただいております。
この会では炭手前の立候補がございませんでしたため、宗夜がいたしました。
そしていよいよ、生徒さまによる続きお薄のお点前となりました。
お正客もお次客も、茶事が初めての生徒さまでした。お二方とも、とても緊張なさったとのことですが誠実なお人柄が滲み出ていて、茶室全体が優しい雰囲気に包まれました。
生徒さま同士が教え合って助け合って温かい茶事となりました。
初級の生徒さまのお隣にいらした中級の生徒さまが、
『ここで干菓子を召し上がると良いですよ』
とアドバイスくださり、お菓子を取る作法も同時に教えてくださっていました。
宗夜はどうしても水屋から離れるわけにいかなかったため本当に助かりました。
お点前を終え、送りつけのご挨拶にて…
皆さま口を揃えて、先輩生徒様の続きお薄のお点前の素晴らしさを述べられておられました。
『あんな風に自分もお点前をしたい…』
先輩の美しい所作と優しさ溢れるお点前に心打たれたとのこと。
先輩の方も、後輩生徒さまの心の清らかさに触れ、同じように感動されたご様子でした。
しつらいの拝見を終えて、もう一度広間にお集まりいただき、宗嘉先生の源氏物語のお話を楽しみました。
平安時代のお茶と、平安時代の和菓子。
光源氏、夕顔、六条の御息所、葵の上、若紫…
(ああ、私にも似たようなところあるかも…)
宗嘉先生が本当に伝えたいのは、男女の恋愛を超えた、女性としての美しい生き方。
反省してほしいわけではなく、ガツガツと前のめりになってほしいわけでもなく、もちろん無気力になってほしいわけでもなく…
1000年前の女性のモデルを解説することで外側から自分を見つめられたら、それでもう悩みは半分解決したようなものだと言います。
湘南藤沢、弥生の末の昼下がり。
午前中はしっとりと雨模様で始まったお茶事も、午後には晴れ間が差して参りました。
皆さまのお顔も晴れやかで、共に時間を過ごせたことに幸せな気持ちでいっぱいになりました。
皆さまご参加ありがとうございました。
懐石料理教室
3/21(火) 10:00より
よし庵にて卯月の懐石料理教室が催されました。
春らしい5品のお料理がテーブルを彩りました。
《卯月の懐石料理》
・鯵のみどり酢和え
・ひげしんじょ
・海老とうどのアボカド和え
・菜の花の辛子漬け
・よもぎ麩の西京味噌仕立て
この日は新鮮な鯵をまず三枚に下ろすところからスタートしました。
鯵のみどり酢和え🐟
『うぅ…、難しい…』
生徒さま苦戦。
分かります。難しいですよね💦
私もお魚を捌くのは不得意で、頑張ってー!と応援していました。
鯵の薄切りを胡瓜と茗荷でさっぱりといただきます。また味付けが絶妙。胡瓜🥒はいつもよりもお化粧してよそ行きのお顔。
『こんな風に胡瓜をお料理したことなかったわ』
と生徒さまも驚きの表情でした。
ひげしんじょは、具沢山!
お椀の中にこんもりと盛られて、口に含むと柔らかくほどけます。千切りした数々のお野菜をおひげに見立てています。
材料の比率にヒミツあり!
それぞれが主張し過ぎず一つの味にまとまっていました。生椎茸の豊かな香りが鼻腔をくすぐり、大満足の一品。
海老🍤とうどのアボカド和え🥑
もー、これは間違いないでしょ!
ええ間違いございませんでした😆
その中でもプロの細かい技が随所に光ります。
菜の花の辛子漬け
宗嘉先生が作る菜の花は、そんじょそこらの菜の花ではございません。
お料理前の最初のひと手間が大事。
こんなに違いが出るんだ!と驚きました。
食材に対する愛情がなせる技と言えるでしょう。
よもぎ麩の西京味噌仕立て
西京味噌の甘く濃厚な味わいに、よもぎの香りがぴったりの一品。
よもぎ麩の上に桜をあしらって春満開です🌸
10:00に始まって、11:30過ぎに終了する、よし庵の懐石料理教室。
ノンストップの90分。
ちょっと忙しいけど充実しています。
『本当に全部作らせてもらえるんですね!』
生徒さまが目を輝かせて感想をおっしゃってくださいました。
全部皆さまに作っていただき、全部召し上がっていただきます。
女性好みの食材チョイスと優しい味付け。
量もちょうど良く、香りも豊かです。
それは風水師としての顔を併せ持つ宗嘉先生が、広い視点で献立を考えているから。
是非ぜひ、よし庵の懐石料理教室においでくださいませ。
感動を全身で味わっていただけると思います😊
ひな祭り茶事
3/26(日) 5名のお客様と雛まつり茶事を行いました。
稽古茶事なので、生徒さまお二方に『続きお薄のお点前』と『炭手前』をお願いしました。
当教室の生徒さまで、プロのフォトグラファーである太田真弓さまがお写真を提供してくださいました。
生徒さまの同意を得た上で掲載させていただきます。
お点前を披露してくださった生徒さま、本当にありがとうございました!
お陰様で素晴らしいお茶事となりました。
お点前担当の生徒さまは
『よし庵の名にかけて頑張ります💪』
と前日までお稽古に励んでくださいました。
炭手前担当の生徒さまも、毎日私どもの動画をご覧になり、手を動かしてくださっていたのこと。
そのお気持ちがとても嬉しく私の心に響きました。
そして迎えた当日🌸
日頃の練習が結実した美しいお点前であったと宗嘉先生から伺っております🍵
炭手前もお羽が流れるような美しい手捌きであったとのこと🪶
(工藤は半東のため水屋仕事をしておりました)
お客様のお作法も見事でいらして、茶室の空間が清々しい気で満たされていました。
茶事には独特の緊張感があります。
お稽古で常にお顔を合わせている間柄でも、茶事の場がお教室でも、いつもとは異なる空気が流れていました。
亭主役の真剣に茶道と向き合ってくださるそのお姿に、誰もが心を動かされました。
日々のお稽古の真髄は、この心持ちの中にあるのかなと思いました。
●小隠は陵薮に隠れ 大隠は朝市に隠る
しょういんはりょうそうにかくれ
だいいんはちょうしにかくる
中途半端な者は、山野に隠れ住んで悟りを開こうとするが、本物は市中で超然と暮らしているものだ。
いつも会う人
いつも通う場所
いつも手にするお道具たち
『いつも』の中の特別なひと時。
これが本当の創造性なのかも知れないと気付いたのでした。
宗嘉先生の茶懐石料理も、心を満たす素晴らしいお膳でございました。
締めくくりは『源氏物語』
平安期のお茶と和菓子を一緒に味わいました。
とても楽しい時間でございました。
ご参加いただきまして誠にありがとうございました😊🤲
銅鑼を鳴らしてお客様にお時間をお知らせします。
炭手前で茶室を暖めてお釜の準びを整えます。