インフォ & アーカイブ
羊からのおくりもの 11/30〜12/5
Cadeau de mouton
羊からのおくりもの
小沢智恵子展
11/30(火)〜12/5(日) 11:00〜18:30(最終日17:00終了)
シルクと羊毛 × 手作りフェルト × 手染め
オリジナルコスチューム + ショール + バッグ
ギャラリー A/N
東京都中央区日本橋浜町2-55-5-102
Tel&Fax: 03-3664-8230
E-mail: angaro@cure.ocn.ne.jp
HP: https://galleryan.jimdo.com
「種の記憶〜羊へのオマージュ」・・・路地まちアートランブル
路地まちアートランブル
10/30〜11/7、足利市のまちなかに点在する古民家や空き店舗など15カ所を会場に、31人のアーティストが参加してアート展が催されました。私は、このアート展「路地まちアートランブル」の代表もしています。今回は、「大島毛織」というかつての毛織物工場跡で展示を行いました。古い毛織物工場のがらんとした広い空間で、羊の毛を使った大きなインスタレーション作品を作りました。空間構成と同時に過去の歴史と記憶を持った場所にふさわしい作品ができたと思います。オフィシャルホームページ>
種の記憶~羊へのオマージュ 小沢 智恵子 会場:大島毛織
かつて毛織物工場であったというがらんとした空間、奥の窓枠から射して来る光を背景にその作品は浮かび上がる。コンクリートの床に置かれた透明シートが、まるで水面のように光を反射している。その真ん中に、羊1頭分の毛が刈り取られたままの形で横たわっている。四方には古代祭祀の憑代や結界を連想させる御柱(みはしら)のようなものが置かれている。羊毛の塊の真上には、羊毛で作られた巨大な種子が浮かんでいる。さらにそこを中心に、たくさんの紐を垂らし所々に穴の空いた膜状のフェルトが八方に広がって吊られて広がっていく。それは、たくさんの細胞壁の断片のようでもある。
羊毛という素材の持つプリミティブで有機的な力によって生み出された形はまさに生命体を連想させる。羊毛が姿かたちを変えながら流れていくようなダイナミックな造形は、死と再生を繰り返しながら天地を循環する生命(いのち)を象徴しているのだ。羊という動物は古来神秘的な生き物として崇められてきた。この作品は、こうした生命の循環を象徴する羊へのオマージュでもある。
ユダヤ教やキリスト教やイスラム教においても、自分達の命を長らえる豊饒な作物や家畜をもたらしてくれることに対する感謝と、今後もそのようなことが続くことに対する祈願を込めて、仔羊を神に供犠として捧げて来た。このような厳かな聖なる祭壇を想わせるインスタレーションの作品を通して小沢は、生命の循環や輪廻や再生という事柄や事象にスポットを当てようとすると共に、何よりも止めどなく繰り返されて来た生命の営みに対する憧憬と賛歌と、そのような生命を途絶へと至らせようとしている現代の人新世における危機と不安に対する贖罪と祈りを併せて、表現しようと試みているのであろう。
戸谷 崗(詩人)