一言法話

2024-01-01 09:12:00

110.心配するな


お正月にあちらこちらで交わされる挨拶といえば、「明けましておめでとうございます」ですが、とんちで有名なあの一休さんは骸骨を上に乗せた杖を持ち、「元旦は 冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」と声を張り上げ家々を回ったそうです。
浮かれて過ごす正月の一日も、通常の一日と同様に、いつか訪れる死に向かって歩みを進めているという点で変わりないのだから、しっかり生きなきゃいなかんよ、と叱責して回ったのです。
アニメで描かれた可愛らしい小坊主さんの印象とは違い、実際の一休さんは、常識から逸脱した風狂僧でありました。
どんな一日も二度とはこない一日なので、大事にしなくてはいけない、というのは確かにそうなのですが、せっかくのお正月ですから、少しぐらい浮かれたっていいんじゃないのとも正直思ってしまうのですが。

そんな一休さんの逸話といわれているものの中に、このようなホッとできるお話もあります。
一休さんは自分が亡くなる前に、お弟子さんに「この先、どうにもならないほど困った時には、これを開けなさい」と一通の手紙を渡されたそうです。
数年後、そのお弟子さんは自分ではどうにもならないような困り事をかかえ、ついに手紙を開けました。
すると、手紙にはたった一行、こう書かれていました。


心配するな 大丈夫 なんとかなる

のお弟子さんにとって、なんと心強い一言だったでしょう。