一言法話

2023-12-16 14:15:00

109.楽と不楽


師走とはよく言ったもので、あれよあれよという間に12月は過ぎていきます。

家庭内で行うことだけでも、大掃除や年賀状の作成、おせちの準備等々に追われますが、これから訪れる年末年始は、1年で1番ワクワクする時期でもあります。普段は離れて暮らしていても、クリスマスや大みそか、お正月には、家族で一緒に過ごされる方も多く、心待ちにしている方も多いでしょう。
クリスマスを舞台とした外国のお話は数多くありますが、その中の1つにメーテルリンクの有名な青い鳥があります。このお話はチルチルとミチルという兄妹が主人公の童話劇です。クリスマスイブの夜、幸福の青い鳥を探している妖女がチルチルとミチルの部屋に現れる場面から始まります。ダイヤモンド付きの魔法の帽子を妖女から託され、青い鳥を求めて、2人は夢幻の世界へと旅立ちます。思い出の国や未来の国などを訪ねますが、そこで捕まえた青い鳥をその国から連れ出そうとすると、鳥の色が変わってしまったり、鳥たちは死んでしまったりします。これらは本当の青い鳥ではなかったからです。最後、夢から覚めた2人は自分の家の鳥かごに青い鳥がいるのを見つけます。今まで飼っていたキジバトが実は青い鳥だったのです。
このお話は、幸せというものは普段は気づきにくいものだけれど、実は自分のすぐ近くにあるものなのだ、ということを教えてくれます。

お大師さまのお言葉にこのようにあります。

楽と不楽と 得と不得と 自心よく為す

日々を楽しく過ごすか、そうでなく過ごすかは自分次第である。
けがれのない心でもって周りを見渡すならば、幸せはそこら中に転がっている。楽しく過ごせるかどうかはそのことに気づくか気づかないかであるとお大師さまもおっしゃっているわけです。
あまり知られていませんが、青い鳥のエンディングは、かごの中の青い鳥が逃げてしまうというものです。この結末には色々な解釈がされていますが、幸せを手にし続けるためには、身近な幸せに気づくことが出来る心の眼を常に磨かなくてはいけないということなのでしょう。