一言法話

2023-07-21 09:21:00

98.月参りの大切さ


北海道では月参りといって毎月、檀家さんのお宅にお伺いし(事情により中止されている方もおられますが)、ご仏壇の前でお経を唱え、亡くなられた方へのご回向をいたします。
ご仏壇でのご回向を終えた後、檀家さんと色々な話をさせていただきます。
たわいもないような世間話もしますが、その方の趣味や家族の話、昔の思い出話(青春時代の話や戦後食べ物がなく苦労された話など)を聴かせていただくこともあります。誰でも病気になったり、ケガもしますので、そんな話をお伺いすることもよくあります。一人暮らしの方、遠くにお子さんが移り住んでいらっしゃる方などは、今後の自分の身の振り方、いわゆる終活的な話になることもあります。時には仏教や真言宗の教義の話になったり、中には「人間は死んだ後どうなるのかねぇ?」と真剣に尋ねられることもあります。

お昼の番組の司会を30年以上も続けられたタレントの小堺一機さんはNHKの番組で「話を聴くということは感性を分けてもらうことであり、宝物をいただく感じがする。」とおっしゃっていました。
檀家さんと会話をさせていただくことで、新たな発見をしたり、様々な学びもあります。会話とは会って話すということです。会話をするということは言葉というものを使って、互いが知っている情報やそれぞれの思いというものを交換する作業だといえます。会って目と目を合わせ話しをすることにより言葉だけではなく、心というか魂が通じ合うような瞬間を感じることもあります。
檀家さんそれぞれのご仏壇の前で毎月ご回向するということももちろんそうですが、檀家さんとゆっくりと会話をする機会をいただけるという意味でも月参りはとても大切なことだと思っております。