一言法話
97.ひとつのことばで
NHKのクローズアップ現代という番組で「言葉のリスク」について様々なことが語られていました。
東京医科歯科大学は都内の自治体と共同で小学1年生の子供がいる親3千人への調査を行いました。
親から頻繁に暴言を吐かれるなど不適切な言動をとられた子供は、身体的な暴力を加えられたり、ネグレクト(育児放棄)された場合と同じくらいのダメージを受けながら育っていくとのことです。その結果、集中できない、誰かに対しいじめをするなどの問題行動を起こす傾向がみられたとのことです。
また、親から不適切な言動を与えられ育った子供のみに見られた傾向としては、他人を思いやる、といったような周りを気遣う気持ちが低くなってしまうということが挙げられていました。
子供の成長にとって親からの受ける言葉というものがどれほど大事なものであるか、そして言葉にはもの凄く大きな力があるのだということをこの番組を見て改めて考えさせられました。
詩人であり作家の北原白秋の「ひとつのことば」という詩があります。
ひとつのことばで けんかして
ひとつのことばで なかなおり
ひとつのことばで 頭が下がり
ひとつのことばで 心が痛む
ひとつのことばで 楽しく笑い
ひとつのことばで 泣かされる
ひとつのことばは それぞれに
ひとつの心をもっている
きれいなことばは きれいな心
やさしいことばは やさしい心
ひとつのことばを 大切に
ひとつのことばを 美しく
私達の日常生活においても、言うまでもなく言葉というものは大事なものです。
誰かの言葉一つで、嫌な気分になったり、逆に心が浮き浮きとしたりもします。
その反対に自分が発した言葉で、誰かを傷つけてしまうこともあれば、落ち込んだ誰かを励ましたり、時には勇気を与えることだってできます。
出来うる限り、心が伴ったやさしくきれいな言葉を発していきたいものです。