一言法話

2023-06-20 19:26:00

95.蓮の花


先日の6月15日、清々しい青空のもと、ご参拝いただいた皆様と共にお大師さまのお誕生日をお祝いする青葉まつりを行いました。
梅雨のない北海道はこの時期が一番良い季節といえるかもしれません。コロナ禍から日常を取り戻したといえる今日この頃、小樽市内の各地では様々なお祭りや行事が行われ、観光にいらっしゃる方の数もどんどん増えてまいりました。

日光院は小樽駅から船見坂を上った富岡町にありますが、駅から少し下った稲穂町に寺茶房がございます。寺茶房は立地的にも皆さんに気軽に来ていただけるようにと、数年前に開店しました。毎週木曜日から土曜日までの午前11時から午後3時まで(※行事等で臨時休業あり)お茶やコーヒーを飲みながらお話を楽しむことのできるスペースです。写経をすることもできますし、月一のペースで法話会、読経会なども行っています。また今月の29日には寺子屋講座「蓮を作ろう!」を開催します。どうぞ皆様ご参加ください!(詳しくはコチラ。事前予約が必要です。参加費500円)

「蓮の花」は仏教にとって、とても大事な花です。
お大師さまの『般若心経秘鍵』という書物の中に

蓮を観じて自浄を知り 菓を見て心徳を覚る

とあります。蓮を観察すると、自分の心の清らかさを知ることができる。蓮の実を見ると心の徳を覚ることができる、ということです。

蓮は泥の中から汚れに染まらず、きれいな花を咲かせます。テレビやネットでは毎日のようにおぞましいニュースが後を絶つことはなく、見方によってはこの世は汚れにまみれた世の中とみることもできます。しかしそんな中でも私たちはその汚れに染まらない蓮にも似た自身の清らかな心を見つけ出し、心の花を咲かすことが出来るのだ。とお大師さまはおっしゃいます。
さらに、私たちは生まれながらにして仏と同じ心を備えているということを蓮の実は私たちに示しているのだとお大師さまはおっしゃいます。なぜなら普通の植物であれば花が咲いてから実がつくのに対し、蓮の実はまだ花がつぼみのうちから実をつけているからです。

仏教では蓮には様々な徳があり、蓮は特別な存在だと考えます。仏様は蓮の花(蓮華座)を台座とすることが多いのはこのためです。また高野山も内と外それぞれ八つの山々に囲まれた盆地です。まさしく八葉の蓮華に囲まれた仏が座する聖地が高野山であり、お大師さまが修行の地、入定の地として高野山を選ばれた理由の一つです。