一言法話
93.聖地高野山
今年はお大師さまがお生まれになり、ちょうど1250年の記念の年となります。高野山ではお祝いの慶讃法要が5月から7月までの間行われています。この法要は北海道から九州の各地域の高野山真言宗寺院が担当し行うものですが、5月28日の午後からの法要は北海道の寺院僧侶により厳修されました。
私もこの法要に出仕させていただきましたが、伽藍の金堂で30名余りの僧侶、お稚児さん、各寺院の檀信徒の方々とともにお大師さまの誕生日のお祝いの法要を勤めさせていただいた喜びは何にも代えがたいものがありました。
当日の朝、奥の院の御廟にお参りし、諸大名や大企業関係などのお墓が立ち並ぶ杉の木立を歩きながら、修行中、幾度もこの道を行き来したことを思い返しました。
その当時、奥の院御廟手前のところでよく野良犬を見かけました。最近は高野山に限らず、野良犬を見かけること自体少なくなりましたが、その頃は道端で野良犬を見かけることは当たり前にありました。私の野良犬へのイメージは常に周りを警戒し、自分に近づいてくる野良犬などめったにいないというものでしたが、奥の院にいる野良犬たちはいつも安心しきった様子でおなかを見せて昼寝をしたり、参拝者たちへ警戒心も見せずに近寄っていました。
最初は奇妙に感じましたが、やはり高野山にいる野良犬は普通の野良犬とは違い人間に対して警戒心とか恐怖心がないので、そんな行動をとっていたのだと思います。人間は自分たちに危害を加えない優しい存在だと認識していたからでしょう。
高野山に登り、奥の院に参拝するとそれだけで心は清められますし、この聖地で野良犬にちょっかいをかけてやろう、いたずらをしてやろうなどという思いを持つ人などめったにいないでしょう。だから野良犬たちは人間への警戒心など持ちようがなかったのだと思います。
一度参詣高野山 無始罪障道中滅(高野山に一度上がると生前からの罪が消滅する)ともいわれてきた高野山。是非、機会がありましたら高野山への参詣をお勧めいたします。同時に日光院の山号は小樽高野山です。高野山との深いゆかりのある日光院へもどうぞ参拝下さい。