一言法話

2022-12-01 13:12:00

75.一喜一憂


世界で4年に一度のスポーツの祭典といえば、オリンピックです。しかし単体の競技として一番盛り上がるのは、今、カタールで行われているサッカーのワールドカップです。日本は強豪ドイツと第1戦を行い、劇的な勝利を収め、興奮冷めやらない中、インタビューに答えた森保監督の「一喜一憂しすぎず、しっかり次の試合に向けて、今日終わったことをしっかり反省して」という言葉が印象に残りました。

日本中が盛り上がっての第2戦、格下とみられていたコスタリカには最後に1点取られ惨敗。この試合は勝てるだろうとの思い込みは砕け散りました。
テレビで観ている我々でさえ、大きく心動かされるのですから、選手や監督、コーチ、チームの関係者にとって、勝ち負けの喜びや憂いはどれほど大きなものでしょう。さらに、様々な賞賛や非難の声が選手達には浴びせられるのが今のネット社会です。しかし、森保監督がおっしゃる通り、どのような状況になろうが、どんな言葉を受けようが、一喜一憂しすぎてはいけないということです。一喜一憂しすぎると、雑念に捉われ、冷静に前に進んでいくことができなくなってしまうからです。
法句経にこのようにあります。

一つの岩の塊りが風に揺るがないように、賢者は非難と賞賛とに動じない

この言葉は森保監督の先ほどの言葉にも通じるところがありますし、私たちが何かを成し遂げようとする時、心に留めておくべき言葉です。
人が何かを成すときには、周りの批評があるでしょう。賞賛の声もあるかもしれませんが、心無い言葉を耳にすることもあるでしょう。そんな時は心動かされ、有頂天になったり、逆に落ち込んだり、まさしく「一喜一憂」するでしょうし、批判の言葉を真摯に受け止め、反省しなくてはいけないこともあるでしょう。しかし、他人の言葉に一喜一憂しすぎてはいけないのです。自分の信念のもと、行ったことであれば、動ずることはありません。前を向いて冷静に進んでいきましょう。