一言法話

2022-09-20 00:00:00

68.彼岸と此岸

 

今日9月20日は秋彼岸の入りになります。彼岸は春と秋、年二回ありますが、春分の日、秋分の日を中日といい、その前後三日間を合わせた一週間が彼岸の期間となります。春分の日、秋分の日は年によって変わりますが、今年は9月23日が秋分の日となり、9月20日から26日までが秋彼岸の期間となります。

彼岸は彼(か)の岸と書きます。彼(かれ)は明治以降、1人の男性を指す三人称代名詞として用いられることが多くなりましたが、本来、彼が意味するところは遠称の指示代名詞、つまり、こちらから離れたところを意味する言葉です。彼岸はご先祖様がいらっしゃる仏の世界、そして迷いや苦しみのない悟りの世界を表しています。また、彼岸の反対の言葉として此岸がありますが、此(こ)の岸は私たちが今いる世界です。私たちがいるこの世界はある意味、迷いや苦しみが絶えない世界です。

彼岸の中日には、太陽は真東から上り、真西に沈みます。国民の祝日に関する法律では「秋分の日」は“祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ” ことを趣旨としています。彼岸の過ごし方としては真西に沈みゆく太陽を眺め、仏の世界に思いを馳せて、ご先祖様を偲び尊ぶことが大事だと言えます。それと同時に彼岸の中日には昼と夜が、おおよそ半分半分となり、仏教で大切にする中道(32.『中道』 60.『坂の話』を参照)の教えにも重なり合うことから、彼岸を仏道修行期間と考えます。この期間中は、此岸から彼岸に渡るが如く、仏の御心のような心に近づいていけるよう行動を起こし、清々とした心持ちで過ごしていきましょう。