一言法話

2022-08-11 00:00:00

64.お盆の由来

 

今年もお盆を迎えようとしております。
日光院では8月13日から15日まで本堂にて塔婆供養を行っています。その際、お唱えしているのが『仏説盂蘭盆経』です。
お盆の由来が『仏説盂蘭盆経』 にこのように説かれています。
お釈迦さまの十大弟子の1人、目連が神通力を得た時、亡き母が今どうなっているのか気になり、その力で様々な世界を見まわしたところ、母親はなんと餓鬼の世界(餓鬼道)で苦しんでいる姿が映りました。餓鬼道に堕ちると、食べ物は食べる直前に炭となって燃えてしまいます。ですからここの住人達は常に飢えて苦しんでいるのです。
目連の神通力をもってしても母親のこの苦しみをどうすることもできません。目連は嘆き悲しみ、お釈迦さまにそのことを話し、相談したところ、お釈迦さまはこう言われました。
「安居(雨季の室内での修行期間)が終わる7月15日に僧侶達に布施をして、供養しなさい。そうすれば、亡くなった父母だけではなく、ご先祖に当たる方々は地獄、餓鬼、畜生の三悪道の苦しみから逃れることができるだろう。また両親が健在の人であれば、その両親は末永く幸せに暮らせるだろう」
また布施を受ける僧侶達に対しては「布施をされた方の家のために過去七生の父母の幸せを願い、心をしずめて、その後に布施を受けなさい」
布施をした目連と布施を受けた僧侶たちとの願いは叶い、目連の母は、餓鬼道での苦しみを脱し、天上界に生ずることができたのです。

お盆の期間は所により違いがあり、7月盆(7月に行うお盆)、ひと月遅れの8月盆、あるいは旧暦の7月15日頃に行う地域、と様々あります。本来は7月15日に目連が僧侶達に対し布施行を行ったのが始まりだということがお判りいただけたと思いますが、北海道は函館を除き、8月盆ですし、全国的にも地方では8月盆(8月13日から15日或いは16日)が多いかと思います。これはなぜかというと昔は7月の時期は農作業で忙しすぎて、お盆どころではなかったので、ひと月遅れの8月盆になったということです。