一言法話

2022-06-01 00:00:00

57.五蘊

 

ラジオからこんなニュースが流れてきました。
ーー札幌市内の市街地やその周辺で4月以降に「クマのような動物を見た」という通報が相次ぎました。ただ、札幌市によると、糞や毛などの痕跡は見つからず、キツネなどをクマと誤認した例が少なくないとみられます。専門家も「クマへの不安感があるとそう見えてしまうことがある」と話しています。直前の3月末に西区の三角山の登山道近くでクマの調査に当たっていたNPO職員2人が襲われたことなどが影響し、市民の不安感が高まり、「のような」通報の増加につながった可能性がありそうだということですーー。

神経科学者のデイヴィッド・イーグルマンはこのように言います。
「我々は現実をありのままに受け取っているのではなく、脳が解釈し編集した結果を受け取っているに過ぎない」

仏教では人は「色(物体)・受(感受)・想(表象)・行(意志)・識(認識)」の五蘊でもって構成されており、何かを見て判断、行動する時のメカニズムもこの五蘊で説明できます。

1.空から突然、濡れた何か《色》が落ちてきた。
2.それが頭に当たったのを感知《受》した。
3.おそらく頭に当たったのは雨粒だろうとイメージ《想》する。
4.濡れたくないな、傘がないから走って帰ろう。《行》
5,今度からは、雲行きが怪しい時は、傘を持って外に出よう。《識》

仏教は「正しくありのままにものを見る(認識する)」ことを目指します。しかし、私達人間は思い込みや先入観(このあたりにクマがいるんじゃないか)、過度な感情(クマへの恐れ 不安感)、その人のものの見方(偏向 自分勝手な解釈)などにより、間違ったイメージ《想》を持ってしまうことが少なくなく、そのことにより誤った行動をしてしまいがちな生き物であると言えます。