一言法話

2022-05-01 00:00:00

54.菩薩とは

 

前回、日光院のご本尊でもございます観音菩薩についてお話をしました。
仏さまには観音菩薩をはじめとする「・・菩薩」と呼ばれる仏さま、また「・・如来」「・・明王」「・・天」と呼ばれる仏さまがいらっしゃいます。
仏さまには尊格があり、悟りの段階により上から「如来」「菩薩」「明王」「天」となります。
「菩薩」は「観音菩薩」のほかに「地蔵菩薩」「弥勒菩薩」「普賢菩薩」「文殊菩薩」などの仏さまがいらっしゃいます。
「菩薩」は「菩提薩埵」の略です。「菩提薩埵」はもともと、お釈迦さまの修行中の姿であり、未来に悟りを開く者の意味として用いられましたが、後に、悟りを求め修行するとともに、他の者をも悟りに到達させようと努める者に対して使われる言葉となります。
また「菩薩」は「如来」と同じ悟りの状態にあるのだが、あえて菩薩の姿のままでいらっしゃるのだといわれます。悩み多き人々のもとに留まり、共に悟りに向かおうと手を差し伸べてくださる存在なのです。

お大師さまの著書『秘蔵法鑰』にこのようにあります。

菩薩の用心は
みな慈悲をもって本(もとい)とし
利他をもって先とす
よくこの心に住して
浅執を破して
深教に入るるは
利益(りやく)もっとも広し

菩薩の心は、すべて慈悲をもととし、他の者の幸せ(利益)を先としています。そして、私達も自分だけの幸せ(利益)を願う浅はかな執着の心をうち破り、他の幸せを先に願う菩薩の境地に入るならば、最も大きな幸せが得られるのだと、お大師さまは諭されているのです。