一言法話

2022-04-21 00:00:00

53.観音菩薩

前回、慈悲についてのお話をしました。仏さまは必ず慈悲の心を持つ存在だといえますが、中でも「観音菩薩」は特に慈悲心の深い仏さまです。
日光院のご本尊は「聖観音菩薩」。観音さまには様々な変化した姿がありますが、昔から六つの観音さまを信仰(六観音信仰)することにより、六道輪廻(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天の世界を生まれ変わるごとに巡り続けること)の苦しみから逃れることができるとされてきました。六観音とは「聖観音」「十一面観音」「千手千眼観音」「如意輪観音」「馬頭観音」「准胝観音」の六つの観音さまのことをいいます。
日光院は、北海道三十三観音霊場の七番札所ですが、札所としてのご本尊はこの六観音のうちの一つ「如意輪観音」となります。

観音菩薩の正式名称は2つあります。1つは「観世音菩薩」もう1つは「観自在菩薩」です。観音菩薩はサンスクリット語(古代インドの言葉)で「アバローキテーシュバラ」が原語です。もともとは「観世音菩薩」と訳されていたのですが、西遊記に出てくるあの有名な三蔵法師、玄奘三蔵は「観自在菩薩」と訳されました。
中村元博士の『新・仏教辞典」にこのようにあります。
観世音とは世間が救いを求めているのを聞くと、ただちに救済する意。観自在とは一切諸法の観察と同様に衆生の救済も自在の意、救いを求める者の姿に応じて大慈悲を行ずるから千変万化の相となるという

観世音も観自在も同じような意味となりますが、迷い苦しむ衆生の声を聞き、そんな姿を観たならばすぐさま姿かたちを変えてでも、救いの手を差し伸べてくれる慈悲深き仏さまです。

日光院のご本尊「聖観音菩薩』(伝承では聖徳太子作)はもともと高野山にてお護りされてきた仏さまです。日光院が今の富岡の地に移り、大正15825日、落慶法要が厳修された時に合わせ、高野山より請来されました。
優しいお顔、そのお姿、まさしく慈悲心に溢れた観音様さまです。
観音さまの慈悲の光に照らされ、自らの心にもその光を強く灯していただきますよう、是非、当院へ参拝下さいませ。