一言法話

2022-02-01 00:00:00

45.宿曜経

 

立春(2月4日)は二十四節気(せつき)の最初で、旧暦では新しい年の始まりを意味します。日光院では毎年この日に「星祭り」を実施しております。

時計も羅針盤もない昔、砂漠や海原を旅する人は北極星や北斗七星を見て、自分の今いる位置を知り、自分の進むべき方向を計ったといいます。人間は古来、星を観察し、星と人の運命・運勢には関わりがあると考え、その関係を体系づけてきました。その詳細な体系がまとめたのが真言密教の占星法を説く『宿曜経(すくようきょう)』です。『宿曜経』は『文殊師利菩薩及諸仙所説吉凶時日善悪宿曜経』が正式の書名、暦学と占星法の書でインドで著され、中国密教の完成に努めた僧不空三蔵が訳されました。後にお大師さまが日本に請来されたこの経典には「天体の動きは人の営みと密接に関連する」と記され、星によって自分の人生の位置を知り、どう生きたらいいかの指針が説かれています。私たちに起こる吉凶禍福(きっきょうかふく)、つまり福徳や災いはその人の「運命の星」によって決まるとされています。

「星祭り」は「星供」ともいい、その年のそれぞれの運命をつかさどるその人その人に割り当てられた九つの星-九曜星(くようせい)を供養し、これからの1年の運勢を上昇させ、無病息災、除災招福などの諸願成就を祈る法要です。自らの運勢上昇、諸願成就を願い、合わせて丸2年となるコロナ禍の収束をともに祈りましょう。

なお、お札を申し込まれた方も2月4日法要当日の状況により、お持ち帰りいただけないこともございます。どうぞご了承ください。 その際は送付、または後日お寺か寺茶房に取りに来ていただく、あるいは下参時に持参いたしますので、ご希望の方法をお知らせ下さい。