一言法話

2022-01-11 00:00:00

43.自身の中に

 

それ仏法遥かに非ず 心中にして即ち近し 
真如外に非ず 身を棄てていずくんか求めん
(仏の教えは遥か遠くにあるものではない。それはとても近く、私達自身の心の中にある。真理は外の世界にあるわけではない。自分以外のどこに求めると言うのか)

これは、お大師さまが『般若心経』を真言密教の立場で解釈した『般若心経秘鍵』という論書に出てくるお言葉です。

仏の教え、悟り、つまりは私たちが求める究極の幸せは、どこか遠くにあるのではなく、私達自身の中に見つけるものなのだということです。
また、明治時代の文学者であり思想家の高山樗牛(たかやま ちょぎゅう)はこのような言葉を遺しています。

己の立てるところを深く掘れ
そこに必ず泉あらむ
(自分の足下を深く掘って行ったら、必ず泉は湧き出すのだ)

あっちに行ったら水が出ないか、向こうに行ったら井戸がないかといったように、私達は欲するものを他のところに求めがちです。しかし、そうではなく、自身の足下深くに必ず泉はあるのだということです。

どちらの言葉にもあるように、私達が求めるべきものはどこか遠くにあるのではなく、自分自身の中、また、自分の足元といった身近なところにこそあるはずです。そのことを心に留め、深く自らを見つめていきましょう。