一言法話

2022-01-01 00:00:00

42.正月を迎えて

 

明けましておめでとうございます。昨年は一昨年に続き、コロナ禍により、不自由さを感じた一年でした。新しい年のお正月を迎えましたが、残念ながらまだ油断できる状況とはいえません。しかし今年こそ安心して暮らせる年となっていくようにと願うばかりです。

さて「正月」は元々は1月全体を表していたようですが、今のアンケート調査によると、13日までをイメージする人が多く、現在は「正月」といえば、新年の最初の何日間かを表す言葉だといえます。
「正月」の「正」は「改める」という意味があります。そこから考えると、正月はただ単に、お酒とおせち料理をいただき、テレビで箱根駅伝やお笑い番組を見て過ごすだけではなく、昨年一年を振り返り、自分自身を見つめ直し、新たな一年、どのような目標を持ち、どう過ごしていくのか、思い巡らすのが「正月」の「正」しい過ごし方だと考えることもできそうです。
お大師さまは『秘蔵宝鑰』の中に次のように説かれました。


「初発心の時にすなわち正覚を成ずること 宜しくそれ然るべし」
初めて心を起こした時には、そのまま正覚(悟り)が完成するのだということを忘れてはいけない


お大師さまは私たちには本来、仏さまと同じ仏心が宿っている、だから悟りを目指せば、すぐにでもそこに到達できるのだとおっしゃるのです。

今は夢を持ちづらい時代だと言います。先を見越して夢を諦めてしまう若者が多いとも聞きます。若者に限らず、コロナの影響もあるのでしょうが、世の中、何事も無難に無難にという傾向が、これは私を含めてですが、どんどん強くなってきているように思います。しかし、お大師さまの先ほどのお言葉の「正覚」を「夢や目標」に置き換えてみたとすると、大きな夢や目標を先ずは目指してみなさいということになります。そして、そこを目指した時点でそのことは叶ったと同じことなんだということです。いや実際に叶うかどうかは誰にもわかりません。しかし目指すということがなければ何事も成し遂げられることはないでしょう。ですから、その夢や目標にまずは意識を向け、心に思い描くということが大事なのだと思います。
新たな正月を迎え、自分にとっての今年一年の目標を掲げ、こつこつと努力を続けていきましょう。