一言法話

2021-12-01 00:00:00

39.難有ることは有難し

 

コロナ禍もやっと収まりかけ、少しずつ元の日常を取り戻しつつあろうかと思っておりましたところ、またまた新種株のオミクロン株とやらが新聞、テレビ等を賑わすようになってしまいました。やれやれ、もういい加減にしてくれと、愚痴りたくなります。しかし、愚痴っていても仕方ありません。こういった災難ともいえる今の状況を私たちはどのように受け止め、乗り越えていけば良いのでしょうか。

「難が無ければ無難な人生 難が有れば苦難の人生 難有ればこそ有り難し」
これは大阪の九應寺というお寺の掲示板に掲げられた標語です。
難有ればこそ有難し?何故??となるところですが、2018年にお亡くなりになった樹木希林さんは、日本で唯一の不登校に関する新聞「不登校新聞」のインタビューを受け、次のようなお話をされています。

「私は、なんで夫と別れないの、とよく聞かれますが、私にとってはありがたい存在です。ありがたいというのは漢字で書くと、有難い、難が有る、と書きます。人がなぜ生まれたかと言えば、いろんな難を受けながら成熟していくためなんじゃないでしょうか。
(中略)
難の多い人生を卑屈になるのではなく受けとめ方を変える。
自分にとって具体的に不本意なことをしてくる存在を師として先生として受けとめる。
受けとめ方を変えることで、すばらしいものに見えてくるんじゃないでしょうか」

樹木希林さんは1973年にミュージシャンであり俳優の内田裕也さんと結婚後1年半で別居。1981年、内田さんが無断で離婚届を区役所に提出するも、希林さんは離婚を認めず、離婚無効の訴訟を起こし勝訴。20051月には乳がんが判明して摘出手術を受けています。
まさしく難の多い人生だったと言えるでしょうが、その難の受け止め方を変えることで、これまでの様々な経験を活かし、素晴らしい演技の数々、そしてたくさんの含蓄のある言葉を発せられました。

私たちの人生にとって様々な「難」は、つきものだと言えますが、そういった大変な状況を経験することは自分を高め、成熟させてくために欠かせないものだと受け止めることができれば、「難」は、いつしか「有難し」に変わっていきますね。