一言法話

2021-08-10 00:00:00

28.お盆を迎えて

 

日本の代表的な宗教行事であるお盆の時期を迎えました。
いつからがお盆なのですか?と聞かれることがありますが、これにはいろいろな考え方があります。

八月一日を釜蓋朔日(かまぶたついたち)と言い、地獄の釜の蓋が開く日であり、この日を境にご先祖様のお迎えをし始めます。地域によっては山や川から里へ通じる道の草刈りをし、お盆に家に帰ってこられる故人が通りやすいようにします。

八月七日は七日盆と言います。この日は七夕(たなばた)です。七日の夕方は故人を迎える精霊棚とその棚に幡(はた)をこしらえる日であり、その棚幡(たなばた)がいつしか七夕に転じたともいわれています。また、各家でこしらえた棚の前で僧侶がお盆期間中に読経しお勤めすることを棚経(たなぎょう)といいます。

一般的にお盆と言えば、八月十三日から十五日、或いは十六日までをいうことが多いでしょう。十三日に迎え火でもってご先祖様を自宅に迎え親戚などが集まる中、三、四日間ゆっくりしていただき、送り火でまた仏の世界にお見送りします。有名な京都の大文字焼はまさにこの送り火です。

このように精霊棚をこしらえ、丁寧に迎え火でもってご先祖様をお迎えし、送り火でお見送りをされる方は、地域によっても違いがあるでしょうが、それほど多くはないでしょう。それどころか、このご時世、お盆に親戚一同が集まりゆっくり過ごすということ自体、残念ながら難しいこととなってしまいました。しかし、お盆はご先祖様を改めて大切な存在として最も心寄せることのできる古来より受け継がれてきた宗教行事です。いつまでも大事にしていきたいものです。