一言法話

2021-04-01 00:00:00

15.花まつり

 

今日から新年度、心新たにしていきましょう。
さて、4月8日はお釈迦さまの誕生日です。お釈迦さまは今から約2500年前、花が咲き誇る4月8日に今のインドのルンビニーにお生まれになりました。お釈迦さまの誕生日を祝う法要を「花まつり」或いは「仏生会」といい、日光院では6月15日のお大師さまの誕生日「青葉まつり」に合わせてお釈迦さまの誕生をお祝いしています。
日光院の「青葉まつり」にいらっしゃったことのある方はご存じでしょうが、お釈迦さまの誕生仏とお大師さまの稚児像に甘茶かけをいたします。甘茶をおかけするのはお釈迦さまがお生まれになった時に、天から祝福の甘露の雨が降ったとの逸話に因むものです。
また、お釈迦さまは生まれてすぐに七歩進み、右手を挙げて天を指し、左手で地上を指し「天上天下唯我独尊」と叫んだといいます。人間は地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天という迷いの六道を輪廻していると仏教では考えますが、七歩進んだということは六道を超え七歩進み、悟りの世界に入ることを意味しております。生まれてすぐに七歩進んだということですから、お釈迦さまは生まれた時から、悟りを得ることが約束されていたということを表しています。
そして「天上天下唯我独尊」ですが、「この世でただ私一人だけが尊いのだ」と解釈してしまうと、お釈迦さまはなんて傲慢なんだろう、ということになってしまいますが、しかし、この言葉にはもっと深い意味があります。
天の上にも天の下にも「我」という存在は唯一人しかいない。それは命あるものであれば皆そうだと言える。世界の全ての人にそれぞれの「我」があり、他の誰にも取り替わることはできない。だからこそ「我」という命は尊いといえる。与えられたこの命が果てるまでその「我」を大切に生きていかなくてはいけない。
というお釈迦さまの思いが、この「天上天下唯我独尊」の言葉に込められています。