一言法話

2021-03-20 00:00:00

14.塔婆について

 

今年は3月20日が春彼岸の中日となります。今年の春彼岸は、中日の前後3日間、3月17日から23日までの一週間ということになります。日光院では、春彼岸法要を毎年3月21日に執り行っています。これには理由があり、お大師さまが高野山の奥の院に御入定(永遠の定に入られること)されたのが835年(承和2年)の3月21日であり、大切なその日に合わせ、春彼岸法要を行っているわけです。ちなみに、当院の秋の彼岸法要は秋分の日に行っていますので、その年により日にちが変わります。春・秋彼岸法要、そして、お盆には経木塔婆というお塔婆を檀信徒の皆様にお申し込みいただき、法要中にご回向いたします。このお塔婆は本来、ストゥーパ(卒塔婆)といい、お釈迦さまの遺骨を土に埋め、盛り土したもののことをいいます。つまりお釈迦さまのお墓です。この卒塔婆が仏教と共にインドから中国、日本と渡るうちに、三重塔、五重塔そして五輪塔へと形を変えていきます。塔はお釈迦さまの教えを象徴する建造物だと考えられ、昔から財力を持った大名などがお寺に寄進され、功徳を積んでこられた歴史があります。塔婆はそのような塔を簡略化したものであります。塔婆をお申込みになり、浄財をお寺に寄進し法要を営むといったような善の行いを追善供養といいます。こういった行いをすることによって、施主の方が功徳を積み、自分だけでなくお亡くなりになった大切な方々へ、その功徳を回し向け、菩提を弔うことを回向(えこう)というわけです。

真言宗の塔婆にはインドの古い言葉で上からキャ・カ・ラ・バ・アと書かれています。これは五大(空・風・火・水・地)といい、宇宙(あらゆる世界)を構成する要素を表しています。これに精神的存在である識を加え六大といい、真言宗の本尊大日如来そのものを表します。また私達も同じく六大より構成されており、私たちと仏とは本来変わることはない(即身成仏)というのが真言宗の教義であります。