一言法話

2020-10-26 00:00:00

1.三密

 

第一回目のお題はずばり、「三密」。この言葉はコロナ禍の中、テレビ等で耳にすることがよくあり、すっかりお馴染みとなりました。今年の流行語大賞に選ばれる可能性も高いとか。
「三密(三つの密)」とは、ご承知の通り、密閉、密集、密接から名づけられた言葉です。 コロナウイルス感染症を避けるためにも今もなお、この三密を控えるようにすることが、求められているわけです。

しかし、この言葉、真言宗では違う意味ではありますが、やはり大事な言葉として使ってきました。 真言宗でいうところの三つの密とは「身密(しんみつ)」「口密(くみつ)」「意密(いみつ)」を表します。 仏様の体、そして行い、口から発する言葉、そして心の在り方をいうわけですが、同時にその三密は、本来私達にも備わっていると真言宗では説くわけです。

「三密」は仏の境地となった時の自らの状態ともいえますが、「体・行い」、「口から発する言葉」、「心のありよう」の三つが仏様のように整った状態で毎日を常に過ごすことは難しいことです。日々の様々なことに思い悩み、怒りや悲しみの感情に揺り動かされ、そのことにより言葉遣いは乱雑になり、体に変調をきたすこともあります。だからこそ自身の「身・口・意」を見つめ高めていくことが大事です。 そのことにより悟りを開かれた仏さまと本来の私という存在は何ら変わることがないことに気づくことができるわけです。

なかなか収まることのないコロナ禍の今だからこそ、心落ち着け、いたずらに不安に駆られることなく、自分の体、言葉遣い、心の状態に目を向け、仏さまと同じ「三密」の状態にある自分というものを目指しましょう。