一言法話

2026-04-01 16:35:00

129.苦しみを楽しみに


新たな年度の始まりを迎え、身の引き締まるような思いがいたします。皆さんはいかがですか。

先日、ある研修会に行ってきました。講師は高野山大学の教授をされていた前谷彰先生でした。先生は講演の中でこのようにおっしゃられました。
“仏教は一切皆苦っていうでしょう。でも、すべてが苦しいという言い方、私は嫌いです。というのも仏教を勉強するとはどういうことか、よく考えて見てください。苦しみを軽減するために仏教を学ぶのですか。違うでしょう。苦というものを楽しめるぐらいのところまでに行くために、仏教を学ぶわけです”

お釈迦さまは一切皆苦、物事全ては苦しみであると説かれます。そう言われてしまうと、なんともがっかりしてしまいますが、一切の物事は自分の思い通りになんてならないから、苦しみなのだとお釈迦様はおっしゃるわけです。自分の思い通りにしたいという欲望が達せられないため、私たちはそれを苦しみと捉えてしまうわけです。前谷先生は仏教というのは思い通りにはならないという苦しみを少しずつ軽減していくための教えなのではなく、その苦しみを楽しめるぐらいの境地に進むために仏教はあるのだと言われました。苦しみを楽しみにまでもっていくということは簡単なことではありませんが、世の中の物事は思い通りになかなかならないのが当たり前、ということを真に理解したならば、物事の受け止め方は180度変わるでしょう。そうなると苦しみを楽しめる、苦しみが当たり前なことならばそれを楽しまなきゃ、そんな境地になることができればしめたものです。