一言法話

2024-03-17 06:33:00

115.命の責任

 

今年は今日3月17日から3月23日までが春のお彼岸となります。今年は3月20日が春分の日で、この日がお彼岸の中日となりますが、3月21日がお大師さまの御入定の日ですので、日光院では毎年3月21日午後1時より春彼岸法要を行っています。
お彼岸はいつも以上にご先祖様のご供養に務めていただく大切な期間ですが、それと同時に自分自身の仏道修行期間でもあります。
仏道修行などというとちょっと大げさですが、自分自身の日ごろの生き方を見つめ、どのように日々を生きていくべきなのかということを考えてみる、そんなお彼岸にしていきたいものです。

十善戒という十からなる戒めがあります。戒とは仏教徒が守るべき生活の指針ともいえる生き方をあらわすものです。
その一つに「不殺生戒」があります。生き物を殺してはならないとうい戒めです。無駄な殺生などすべきではないとの思いは誰しもあろうかと思います。しかし、よくよく考えてみますと、生き物を殺さずに毎日を生きることなど、できることではありません。外を散歩したならば、蟻などの小さな虫を踏み潰すこともあるでしょう。そして何より、私達は様々な命を毎日いただいています。自らの命を保つことは、様々な命を犠牲としてはじめて成り立つものだといえるわけです。

ある小学生がこんな詩を書いています。
僕はカニを食べました
僕はカニの一生を食べました

命をいただくということはそれだけの責任を伴うことだということをこの詩は教えてくれます。
不殺生戒は無駄な殺生などすべきではないとの戒めであると同時に、自らの命は様々な命の犠牲の上になりたち、生かされていることへの気づきを与えてくれるものです。そのことを深くかみしめ、責任と感謝の日々をおくりたいものです。