アスベスト調査の重要性

よく見かける

「お客様のために誠心誠意対応します」

という言葉。

とても大切な姿勢ですが、

本当にその言葉通りの会社であれば、

必ず説明すべき重要なことがあります。

多くの方が思うのは、「自分の工事は調査が必要なのだろうか?」という点でしょう。結論から言うと、アスベスト事前調査は原則として全ての解体・改修工事で必要です。しかし、例外もあります。ここでは、調査が不要となる条件と、よくある誤解について解説します。

事前調査が「不要」となる4つの限定的なケース

以下のいずれかの条件を満たす場合に限り、事前調査は不要となります。

ケース1:2006年(平成18年)9月1日以降に着工した建物である

根拠: 2006年9月1日以降、アスベスト含有率0.1%超の製品の製造・使用が原則全面禁止されたためです。

絶対条件: 設計図書等の書面で「着工日」がその年月日以降であると証明できる必要があります。

注意点: この条件で省略できるのは、現地での目視調査と分析調査のみです。着工日を確認するための書面調査が必要です。また、3.で述べる「行政への電子報告」も必要となります。 

ケース2:アスベストが含まれていないことが明らかな建材「のみ」の工事

根拠: 材料の組成上、アスベストを含まないことが客観的に明らかな建材は除外されます。

アスベストを含まない材料: 

木材

金属

石材料 

ガラス

畳、電球

絶対条件: これらの材料「のみ」を扱う工事であること。そして、作業中に周囲のアスベスト含有の可能性がある建材(壁紙、石膏ボード、接着剤など)を一切損傷させないことが条件です。

ケース3:ごく「軽微な作業」である

根拠: 材料への損傷が極めて小さく、アスベスト飛散のリスクが社会通念上無視できる作業です。

具体例: 手作業による釘の打ち込みや抜き取り、ビスの取り外しなど。

絶対条件: 電動工具(電動ドリル、サンダー等)を使用する作業は、「軽微な作業」に該当しません。

ケース4:既存の建材を損傷させない作業 

根拠: アスベスト含有層に全く触れない作業です。

具体例: 既存の塗装の上に新しい塗料を塗り重ねる、既存の壁を傷つけずに家具を取り付けるなど。

注意点: 既存の塗装を剥がす「ケレン作業」や、アンカーボルトを打ち込むなど、少しでもアスベスト含有層を損傷する可能性がある場合は対象外です。

 

「調査不要」と「報告不要」は全くの別物

 

実務で最も多い誤解が、「届出(報告)が不要な規模の工事だから、調査も不要だ」というものです。これは大きな間違いです。

報告不要: 工事の規模が小さい場合(例:解体面積80㎡未満、改修工事費100万円未満)に、調査結果を行政へ「報告する義務」が免除されることです。

調査不要: 上記の4つのケースに該当する場合に、調査行為そのものが免除されることです。

つまり、「報告不要」の工事であっても、事前調査は原則として実施しなければなりません。この違いを理解しないまま工事を進めると、意図せず法令違反を犯すことになります。

「コンクリートだから大丈夫」は危険な思い込み

「コンクリートの壁だからアスベストは無いはず」と自己判断するのも非常に危険です。コンクリート自体にアスベストが含まれる可能性は低いですが、問題は別の場所に潜んでいます。 

仕上塗材や下地調整剤: リシンなどの仕上塗材や、下地調整剤にアスベストが混入されているケースが多くあります。

モルタル: コンクリート表面に塗られたモルタルに、ひび割れ防止目的でアスベストが混ぜられていたことがあります。

接着剤: 床に貼られたPタイル等の接着剤にアスベストが含有されていることがあります。

誰が調査できるのか? 

事前調査は、以下のいずれかの有資格者でなければ、行うことはできません。また、資格の種類によって調査できる範囲も決まっています。

一戸建て等石綿含有建材調査者: 一戸建て住宅や共同住宅の内部(専有部分)に限定された調査が可能。

 

一般建築物石綿含有建材調査者: 全ての建築物の調査が可能。

 

特定建築物石綿含有建材調査者: より高度な知識と技術を持つ上位資格。

 

石綿調査診断士: 令和5年9月30日以前に(一社)日本アスベスト調査診断協会に登録され、事前調査を行う時点においても引き続き登録されている者。上記資格と同等。

もし、資格を持たない者が調査を行った場合、それは法的に有効な調査とは見なされず、罰則の対象となります。

調査から報告までの流れは?具体的な手続きを5ステップでガイド

アスベストの調査が必要となった場合の、アスベスト事前調査から行政への報告までは、主に以下の流れで進みます。

 

Step 1:専門家(調査会社)への依頼
有資格者が在籍する調査会社に相談します。この時設計図書など建物の情報があるとスムーズです。

 

Step 2:書面調査と現地目視調査
調査者が設計図書等を確認し、現地で建材の種類や状態を目で見て確認します。

 

Step 3:分析調査(必要な場合のみ)
含有の有無が不明な建材は、「含有あり」とみなすか、サンプルを採取して分析するかを選択します。

 

Step 4:調査結果報告書の作成
調査会社が法的な要件を満たした報告書を作成します。この報告書は3年間の保存義務があります。

 

Step 5:行政への電子報告 (必要な場合のみ)
一定規模以上(解体80㎡以上、改修100万円以上など)の工事の場合、元請業者は「石綿事前調査結果報告システム」で労働基準監督署と地方自治体の両方に調査結果を報告します。

もし調査を怠ったら?心得るべき事と、重大なリスク

 

 

■ 塗装工事でアスベストが関係する工程

 

 

 

 

 

塗装工事は一見関係なさそうに思われがちですが、下地処理の工程で大きく関わります。

 

 

 

 

 

▼ 該当する主な工程

 

 

 

 

 

  • 高圧洗浄(※条件によりケレン扱い)
  • ケレン作業(研磨・下地調整)
  • 旧塗膜の剥離作業
  • クラック補修時のUカット作業
  • コーキング打ち替え(既存撤去)

▼ なぜ対象になるのか?

古い建物の場合、 

  • 外壁材(スレート・サイディング)
  • 天井材(ケイカル板)
  • 下地材

にアスベストが含まれている可能性があります。

さらに重要なのが、

高圧洗浄でも条件によっては対象になる点です。 

👉 屋根のコロニアルやセメント瓦、外壁のサイディング、天井のケイカル板などは

水圧の強さやノズル(吐出口)の形状によって、表面を削る=ケレン作業とみなされる場合があります。 

また、 

👉 コーキング打ち替え(既存撤去)は

既存塗膜や下地に傷を入れる行為=粉じん発生の可能性があるため調査対象となります。  

▼ 具体例  

「外壁塗装前にサンダーで旧塗膜を削る」

→ この時点で事前調査が必要 

「高圧洗浄で強い水圧をかけて劣化塗膜を除去」

→ ケレンとみなされる可能性あり

⚠ ここが一番重要です 

これらの調査・報告を怠った場合、

最も影響を受けるのは施工業者ではなく、

👉 お客様(建物所有者)です。 

  • 工事後の行政指導
  • 是正工事(やり直し)
  • 追加費用の発生
  • 近隣トラブル

につながる可能性があります。 

■ 防水工事でアスベストが関係する工程

防水工事も、既存防水層や下地処理で関係してきます。

▼ 該当する主な工程 

  • 既存防水層の撤去・めくり
  • 下地の研磨・不陸調整
  • 立ち上がり部分のケレン作業

▼ なぜ対象になるのか?

  • 古い防水層の下地(モルタルなど)
  • 下地調整材

にアスベストが含まれているケースがあります。

👉 撤去・研磨時に粉じんが発生するため対象

▼ 具体例

「屋上のウレタン防水施工前に既存シート防水を撤去」

→ 事前調査・報告が必要

■ 屋根工事でアスベストが関係する工程

屋根工事は、最もアスベストの関係が深い工事の一つです。

▼ 該当する主な工程

  • 屋根材の撤去(葺き替え)
  • カバー工法前の下地処理
  • 棟板金交換時の既存材の解体

▼ なぜ対象になるのか?

特に注意が必要なのが、

  • コロニアル(スレート屋根)
  • セメント瓦

 

👉 製造年代によってアスベスト含有の可能性が高い

▼ 具体例

「古いスレート屋根を撤去して葺き替え」

→ 確実に調査対象

「カバー工法だから大丈夫」

→ ❌ 下地を触れば対象になる可能性あり

■ 板金工事でアスベストが関係する工程

板金工事も、既存部分に触れるかどうかが重要です。

▼ 該当する主な工程

  • 棟板金の交換(貫板含む)
  • 外壁板金張替え時の既存撤去
  • 雨押え・水切りの取り外し

▼ なぜ対象になるのか?

👉 下地の屋根材・外壁材にアスベストが含まれている場合

 

取り外し時に破損し、粉じんが発生する可能性

▼ 具体例 

「棟板金交換でスレート屋根の一部を取り外す」

→ 調査対象になる可能性あり

■ 重要なポイント(まとめ)

✔ 判断基準はシンプルです 

👉 削る・剥がす・壊す・穴を開ける

= 粉じんが発生する作業は対象

✔ 対象にならない可能性がある工事

  • 完全に触らない
  • 上から被せるだけ(※条件あり)

 

※ただし自己判断は絶対にNG

■ 最後に(最も伝えたいこと) 

「知らなかった」では済まされないのが、アスベストのルールです。

そして何より重要なのは、

👉 これを怠った時に一番迷惑がかかるのはお客様であるという事実です。

だからこそ私たちは、

見えない部分でも手を抜かず、

正しい調査・正しい工事を行うことが本当の安心につながると考えています。

 

「少しぐらいなら…」などと軽い気持ちで事前調査を怠ることは、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。

作業員や周辺住民の未来を奪う

作業員や周囲の住民が知らないうちに飛散したアスベストを吸い込み、数十年後に中皮腫や肺がんといった深刻な病気を発症する可能性があります。安易な判断が未来に深刻な健康被害をもたらす事態は、断固として避けなければなりません。

 

罰則規定がある

 

法律違反には厳しい罰則が定められています。

 

事前調査をせずに工事を行った場合(石綿障害予防規則違反):6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金

 

調査結果の報告を怠った、または虚偽の報告をした場合(大気汚染防止法違反):30万円以下の罰金

 

罰則の対象となるのは、主に工事の元請業者ですが、自主施工者(建物の所有者自身が工事を行う場合)も含まれます。

 

社会的に大きなリスクがある

 

リスクは罰金だけではありません。

 

企業の社会的信用の失墜: 法令違反が発覚すれば、企業のブランドイメージは大きく傷つきます。公共工事の指名停止など、事業継続に深刻な影響を及ぼすこともあります。

 

工事の中断と追加コスト: 工事途中でアスベストが見つかれば、工事は即時中断。計画の見直しや追加の対策費用で、結果的にコストが大幅に膨れ上がる可能性があります。

 

事前調査は、これらのリスクを未然に防ぐための、いわば「保険」のようなものなのです。

 

 複数の工事(塗装・屋根・防水・板金など)を別々の業者に発注した場合、

それぞれの業者が元請となるため、各社ごとにアスベストの事前調査が必要になるケースがあります。

 

一方で、元請業者が工事全体を一括して請け負う場合は、

建物全体として一度の調査で対応することが可能です。

 

これにより、

 

  • 調査漏れの防止
  • 手続きの簡略化
  • 法令違反リスクの低減

 

 

につながります。

 

だからこそ、アスベスト対応を含めた工事は

一括で管理できる業者に依頼することが重要です。

 

 

 

 

■ 現場的に一番重要な補足

 

 

実務ではここが一番トラブルになります👇

 

👉 「誰が元請なのか曖昧」

👉 「調査済みと思っていたが範囲漏れ」

 

この場合

 

  • 未調査扱い
  • 行政指導
  • 是正工事

 

 

になります。

 

 

 

 

■ まとめ(シンプルに)

 

 

  • 調査は「業種ごと」ではなく「工事単位」
  • 元請が責任を持つ
  • バラ発注するとそれぞれ責任発生
  • 一括発注が最も安全

 

責任の所在を曖昧にしない体制を徹底し、工事を請け負っております。

 

そのため、調査・施工・管理に至るまで、すべての工程を弊社が一貫して責任を持って対応いたします。

 

 

 

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