・STORY・

2022-11-09 21:37:00

【体感!】電子署名制度を導入せよ!

 インテグリティ・レターの制作部門(法務)が「インテグリティ・レター」ファンにお届けするコラム。  

さて、今回は、制作部門スタッフが業界に先駆けていち早く導入した電子署名制度についてご紹介します。

 5千年以上前に起源をもつとされる印鑑の世界に、時を超えてインテグリティの世界が動き出す!

 

【法務担当者のコラム④】電子署名制度を社内に導入した話

◆プロローグ ~きっかけは、リモートワーク~  

当社では、リモートワークを開始し、社内のネットワークインフラは整っていたものの、捺印業務はいわゆる「紙の捺印」が多くありました。取引先との契約書、経理関係書類及び労務関係書類など、対外的に書類への捺印は、出社が必須となっていたのです。リモートワークの開始当初は、まずは、紙の捺印を実施する回数を減らしつつ、電子署名制度を併用していくことにしました。

 その際に使用した電子署名ツールは、GMOグロ-バルサインホールディングス株式会社が提供する「GMOサイン」です。

 最近では、不動産業法の改正に伴い、これまで宅建士による重要説明事項を対面で実施することが求められていましたが、重要事項説明書のデータ提供も可能となるなど、電子署名の活用が期待されるシーンは増えていってますよね!

 電子署名制度の導入を検討されている方、導入方法に興味がある方のために、今回は記事を書きました!

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◆ステップ1 ~社内規程整備~
 まず、社内規程の整備をしました。
 当社では、いわゆる契約印や会社印などの印鑑の種類に応じて、押印する対象文書の種類や各印影を押印する権限者を社内規程にて定めていました。ですが、電子書類対応をすること、電子署名対応をすることについてそれぞれ定めていなかったので、社内規程を見直し、改定するというアクションを行いました。

◆ステップ2 ~チーム・組織作り~
 次に、当社では、捺印業務を整えるため、捺印業務を担当する所管部署の総務と、捺印へ回ってきた契約書類等が最終版として正しいものになっているのかを確認している法務とで、一緒に捺印チームを作成し、捺印が実施された後で、ふり返りMTGを行なったりと捺印業務をよりよくするための組織作りをしました。

◆ステップ3 ~電子署名ツール選定~
 更に、利用する電子署名ツールの理解を行いました。ペパボにて利用している「GMOサイン」にはどのような機能があり、どのような運用を行うことができそうなのかを把握したり、パートナーには申請手続きとしてどこまでのことを行ってもらうか、これまでの捺印手続きとどう変化するのか、電子署名ツールの利用を社内共通の常識とさせるのに、一連の「新」捺印手続きの中に理解してもらえないことはないか、といったことの検討を行いました。これも上記の捺印チームにて調査を行い、実装するための準備など試行錯誤を行って運用を進めました。         
 実はもともと、GMOサインにおける電子署名の捺印(電子証明書による認証を得た電子捺印)の設定は既に対応済みだったのですが、いわゆる電子メール認証型の電子捺印を実際に運用として広く利用していくために、ツール理解を深めようとしました。すると、GMOサインを導入する上で不明なことや「このような機能はないのかな?」といった質問がでてきたので、GMOサインの運営チームに連絡をして、質疑の時間を設けてもらいました。質問当時は実装されていなかった機能も次々実装され、日々機能拡充が進んでいっており、快適に使えています。

◆ステップ4 ~社内への運用方法アナウンス~
 ツールを導入する際の先方への受け入れ態勢の準備も行いました。
 いきなり署名依頼メールが先方に飛んでも「これは何?」となります。また、契約書の署名同様に、多くの取引先では代表者の方が契約書の署名欄に記載されていると思います。そして、基本的に電子署名ツールは、
電子メール認証なので、署名依頼メールを受信した方が署名するということで本人性を確保しているツールが大半となっています。当社の手続きとしても、基本的には契約書の署名欄同様、代表者の方のメールアドレスを教えていただき、送らせていただいて対応をお願いしていました。なので、そのご依頼のための資料など、事業部担当者からスムーズに説明していただけるように準備もしました。

 具体的なお話として、当社では、2020年1月26日から在宅勤務体制に移行しました。そして、同年4月7日には、主要都市における緊急事態宣言が発令され、世間でも出社を制限するよう試みられることになったと思います。そして、当社の定時株主総会は3月です。実は、電子署名ツールの本格運用を試みたのは、ちょうどその時期です。決して、片手間で試みたわけではありませんが、それでも同年6月には、電子署名ツールを利用した数値結果が得られるよう申請件数の管理も実用化できました。

電子捺印比較キャプチャ.PNG

 当初は紙捺印が約95%、電子署名が約5%でしたが、同年9月には割合の逆転が生じ、紙捺印が約40%、電子署名が約60%に至りました。社内にて捺印手続きの電子化が浸透した結果です。この逆転現象は、現在まで維持され、申請件数も増加した上で、割合も紙捺印が約15%、電子署名が約85%となっています。 
 このように、お忙しい皆さんでも、少しだけやってみるか、と重い腰を上げるだけで実はスッと導入できてしまうのが、電子署名ツールだったりするわけです。是非、皆さんも思い立ったが吉日、この記事をきっかけにして電子署名化を進めてみませんか。

◆電子署名ツール導入のメリットとデメリット 
 最後に、簡単ではありますが、電子署名ツール導入のメリットをご紹介してまとめに入ろうと思います。まず、①契約書に必要となる印紙が不要になるだけではなく、管理もデータで行えるようになるので、検索も容易になります。また、②契約書の捺印までのスピードが総じて速くなるのは間違いありませんし、③書類が紛失するリスクもありません。
 

 

 電子署名ツールは、現在では数多くあるため、自社にて取り扱っていないツールによる署名依頼が飛んでくると管理をどうしたらいいか...とか他社ツールの場合、署名対応書類の内容をどうすればチェックできるかがわからないなどの自社資料サービス外の署名ツール理解が必要になる、といったデメリットも存在はしますが、紙だけで対応するより断然楽であることは既に社会的にも認知されているのではないでしょうか。

 この記事が、皆さんの電子署名ツール利用の一助となれば幸いです。
 なお、電子署名法における論点もあるので法務らしい記事も後半編として記載しようと思います! 

(コラム担当:K)

 

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