日記
按摩術営業取締規則
これまでの日記で幾度か掲載してきた、按摩業を盲人の専業と為す請願をする人々が
問題視している按摩術営業取締規則の条文を記します。
内務省令第十号
按摩術営業取締規則左の通 之を定む
明治四十四年八月十四日
按摩術営業取締規則
第1条 按摩術(マッサージ術を含む以下之に倣う)営業を為さむとする者は試験合格証書又は地方長官の指定したる学校若くは講習所の卒業証書を添え住所地の地方長官(東京府に於ては警視総監以下之に倣う)に願出て免許監察を受くへし
第2条 精神病者、伝染性の疾患ある者又は素行不良と認むる者には免許鑑札を交付せさるものとす
禁錮以上の刑に処せられたる者には免許鑑札を交付せさることあるへし
第3条 按摩術の試験は地方長官之を挙行す
試験を分て甲種及乙種とす其の試験科目は左の如し
甲種
一 人體の構造及主要器官の機能
二 按摩方式及び身體各部の按摩術
三 消毒法大意
四 按摩術の実地
乙種
乙種は按摩術の実地を行うの外 甲種試験の各科目に付 簡易試験を行ふものとす
第四条 甲種試験は四箇年以上按摩術を修行したる者に非されは之を受くることを得す
乙種試験は盲人に非されは之を受くることを得す 但し2箇年以上の修行履歴あることを要す
第五条 営業者は何等の方法を以てするを問わす 流派名又は卒業したる学校講習所の名称若は修業の証明を⚪︎へたる教師の氏名を除く外 業務上其の技能、施術方法又は経歴に関する広告を為すことを得す
第六条 営業者其の住所を他の道府県に移したるときは十日以内に鑑札を添へ後の住所地の地方長官に届出へし
前項の場合に於て後の住所地の地方長官は其の旨を前の住所地の地方長官に通知すへし
第七条 営業者免許鑑札の毀損亡失したるときは其の事由を記し二十日以内に住所地の地方長官に再下付を願出へし
族籍、氏名に⚪︎更を生し又は生年月日の訂正を要するときは其の事由を記し二十日以内に鑑札を添へ地方長官に書類を願出へし
忘失したる免許鑑札を発見したるときは直に之を地方長官に提出すへし
第八条 営業者廃業したるときは二十日以内に免許鑑札を住所地の地方長官に返納すへし若鑑札を返納すること能わさる事由あるときは其の事由を届出へし
営業者死亡し又は失踪の宣告を受けたるときは戸籍法に依る届出義務者より二十日以内に免許鑑札を返納すへし
第九条 営業者第二条に該当し又は業務上犯罪若は不正の行為ありたるときは住所地の地方長官は期日を定めて其の営業営業を停止し又は免許を取消し免許鑑札を返納せしむることあるへし
本条の取消処分を受けたる者と雖(いえど)疾病病治癒し又は改悛の情顕著なるときは再免許鑑札を交付することを得
第十条 免許鑑札を受けすして営業を為し若は停止中営業を為したる者又は第五条に違背したる者は五十円以下の罰金に処す
第十一条 第六条第一項 第七条又は第八条に違背したる者は科料に処す
附則の6行目 地方状況に依り必要と認むるときは地方長官は盲人に限り当分の内 其の履歴を審査し試験を要せす免許鑑札を交付することを得
ここまで。
按摩術営業取締規則では盲人の按摩業営業について、簡易の試験か場合によっては試験無しで免許鑑札を交付しても良い、としています。これに対して、按摩業をあくまで盲人の専業として欲しいという請願が出されていた、ということになります。江戸時代まで、按摩業を職とする身分を確立していた盲人の官職が、明治政府によって廃止、剥奪されて以降の生活困窮についてを訴えているわけですね。
今日はここまで また明日、かな?(条文を現代文風に仕立て直す作業は、不慣れで時間がかかってしまいますね。これだけで2時間くらい要しますねえ)
by 永瀬 賢