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【インタビュー】大福珈琲・岸田さんに聞く、日常に寄り添う「自家製」の形と明日香村への想い
奈良県明日香村の澄んだ空気が、店舗の戸口からそっと流れ込む。扉を開けると、そこにはコーヒーの芳醇な香りと、それ以上に温かな「陽」の気配が満ちていました。「大福珈琲」のオーナー、岸田さん。ハツラツとしたエネルギーを放ちながらも、言葉の端々には相手を包み込むような静かな慈しみが宿っています。今回は新メニューの「アメリカンドッグ」の話から始まるインタビューをお届けします。
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なぜ「アメリカンドッグ」なのか:コーヒーとの相性と顧客ニーズの合致
記者:
4周年おめでとうございます!ところで、コーヒーショップのメニューにアメリカンドッグがあるのは、少し珍しい気がします。なぜこれを選ばれたのですか?
岸田さん:
ありがとうございます!アメリカンドッグなんですが、実は、40代から50代の女性って、アメリカンドッグがお好きな方がすごく多いんですよ。コンビニでもつい手が伸びてしまうという声をよく聞きます。うちのメインのお客層と、統計的なニーズが見事に合致していたんです。
記者:
おやつ代わりというか、少し小腹が空いた時にちょうどいいですよね。
岸田さん:
そうなんです。お昼を食べ損ねた時でも、コーヒーとセットで手軽に楽しんでいただけますから。ただ、本当の理由はもう一つありまして……。実は、私が本当に食べてほしかったのは、アメリカンドッグそのものではなく『自家製のケチャップとマスタード』だったんです。
記者:
主役は調味料、ということでしょうか?
岸田さん:はい。生地から自作するのは手間も時間もかかり、コーヒー屋としての本業を圧迫してしまいます。そこで『選択と集中』を考えました。美味しい調味料を味わってもらうための『最高の土台』として、あえてアメリカンドッグを選んだんです。
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「赤色」への挑戦と、規格外トマトに込めたSDGsの精神
岸田さんがケチャップ作りに乗り出した背景には、地元・明日香村の農業が抱える「もったいない」への視点がありました。道の駅に並べられない、形が不揃いな「規格外トマト」。これを買い取り、価値あるケチャップに再生できないかと考えたのです。
岸田さん:
開発は難航しました。それが「日本のトマトでケチャップを作っても、イタリアのようには赤くならない」という事実。試作を重ねても理想の「赤」には届かなかったんです。そこで膨大な情報の中から解決策を探り当てました。「プチトマトなら、日本の品種でも鮮やかな赤色が出る」という事実です。実際に試すと、驚くほど美しい赤色が実現しました。ですが、見た目の赤さを求めてプチトマトに行き着いたものの、実際に食べ比べると、最初に使おうとしていた『規格外の標準トマト』で作った方が、断然滑らかで味が深いことに気づいたんです。美しさよりも、素材が持つ本来のポテンシャルを突き詰めようと思いました。
記者:
素晴らしいです!実際に頂いてみると独特な旨みを感じますが、どんな隠し味が入っているのですか?
岸田さん:
完成したケチャップは、ニンニクとスパイスが力強く香る、「大人の味わい」を意識した味わいとなっております。アメリカンドッグはもちろん、卵サンドやロールキャベツ、鶏の煮込み料理の隠し味としてもおすすめです。未利用資源だったトマトを立派なケチャップとして息を吹き返させることができました。
記者:
これからはケチャップの生産で忙しくなりますね!
岸田さん:
はい!これから力を入れて生産していきたいので、仕入れさせてくださる地元のプチトマト農家さんを募集中です!あと、現在当店の人気商品の一つでもあるさつまいもチップス用に、仕入れさせてくださる地元のさつまいも農家さんも大募集中です!
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押し付けない優しさ:自家製マスタードと「選択肢」の哲学
ケチャップと並ぶ名脇役が、自家製のマスタードです。添加物を一切排除し、マスタードの種が持つ本来の辛味と、噛んだ瞬間の「つぶつぶ感」を極限まで追求しました。
岸田さん:
店頭には敢えて「自家製」と「市販品」の両方を並べています。 添加物が体に良くないからと、自家製を強要したくはないんです。市販の味に馴染んでいる方もいらっしゃいますし、『死ぬ時は死ぬから添加物なんて気にしないよ』とおっしゃる方の価値観も、私は尊重したい。大切なのは、お客様が自分に合ったものを選べることですから。「日常に寄り添う」という大福珈琲の理念は、押し付けではありません。どんな価値観の人も否定せず、ただ選択肢を提示するというスタイルで、この店を地域に愛されるお店にしたいんです。
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大福珈琲
奈良・明日香村の焙煎豆屋
明日香村御園30-4
10:00-17:00|定休日 月・火
店内6席|テイクアウト可
🅿︎ 店舗前3台



