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2026 / 07 / 03  22:00

インタビュー:たるたる農園 代表 樽井 一樹 氏(後編)

インタビュー:たるたる農園 代表 樽井 一樹 氏(後編)

今回は明日香村村内で農業を営み、「明日香ビオマルシェ」を主催している「たるたる農園」代表・樽井 一樹 氏にインタビューをさせていただきました。

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記者:
樽井さんが主催されている「明日香ビオマルシェ」についても教えてください。

樽井さん:
13 年前にスタートしました。きっかけは、明日香村の古民家レストラン「森羅塾」を営む高橋夫妻から、「樽井さんのお野菜が美味しいと評判なので、朝一をやってみないか」と声をかけてもらったことです。
最初は農家や料理人、アーティストなど 9 組で集まり、「日常の食卓にのぼるお野菜」というテーマを掲げました。
集客を考えれば土日が良いのでしょうが、観光客よりも毎週来てくれる常連さんとの触れ合いを大切にしたいと考え、あえて金曜日に開催することにしました。
当初は並ぶ野菜も少なく、お客さんもまばらでしたが、口コミやチラシで徐々に広がっていきました。
特にお子さんを持つお母さん方や、週末の食材を探す料理人の方々という 2 つの層が増えていきましたね。
現在は明日香村だけでなく、宇陀や奈良県中部など他の地域の農家さんも参加しています。
場所については、当初から村の公社(現在は「農事組合法人ふるさと明日香」)に相談し、スペースを借りて継続しています。

(明日香ビオマルシェの様子)

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記者:
長年運営される中で、苦労されたことはありますか?

樽井さん:
毎週金曜日の午前中に開催することで、そこに行けば誰かと出会える、繋がれるという「ソーシャルな場」に自然となっていきました。
どうすれば居心地が良い明るいマルシェになるか、毎日仲間の高橋君と話し合ってきましたが、それを「苦労」と感じたことはありません。
ただ、屋外なので夏は暑く冬は寒いですし、雨が降れば物も濡れます。そういった自然環境に左右される点は、ある意味で苦労と言えるかもしれません。

(明日香ビオマルシェの様子)

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記者:
逆に、やっていて良かったと感じる瞬間はどんな時ですか?

樽井さん:
1 周年の時のエピソードが忘れられません。私たち出店側は特に何も準備していなかったのですが、常連のお客さんたちがウクレレや笛を鳴らしながら現れ、一人一人に「マルシェを立ち上げてくれてありがとう」とお花を下さったのです。
あの時は嬉しくて泣いてしまいました。 大きな家族のようなコミュニティの中心にいられることは、本当に幸せなことです。
また、料理人の仲間との繋がりも喜びです。自分の作った野菜がどう使われているかリアルに実感できますし、「もっとこう使った方が美味しいよ」といった双方向のやり取りができます。
彼らのお店に食べに行き、作り手と使い手のピリッとした緊張感や信頼関係を感じるのも嬉しい瞬間ですね。

記者:
人との繋がりから、活動の幅も広がっていますね。

(明日香ビオマルシェの様子)

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樽井さん:
もともと農家になった動機に「自給力」を上げたいという思いがありました。
食べ物だけでなく、エネルギーやエンターテインメントも自給したい。 その一環として、10 年以上「田植え祭り」を続けています。
泥だらけになって手植えをし、私たちが組んでいるバンドでオリジナルの田植え歌を歌う。遊びであり、お祭りであり、エンターテインメント。それを自分たちで形作れるのは無上の喜びです。

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記者:
最近は海外からの訪問者も多いようですが、違いは感じますか?

樽井さん:
基本的には日本の方も外国の方も同じだと思っています。言葉の問題はあっても、「どんな人が、どんな考えで作っているか」を伝えることで、同じジャガイモでも味が一段と美味しくなる。それは万国共通です。
自然の中での気づきや発見を共有し、体験してもらう。そういった「おもてなし」の時間は今、とても楽しいですね。

記者:
今後の展望や、新たに取り組んでいることはありますか?

樽井さん:
自然派の農業は教育と非常に相性が良いと考えています。
現在、キトラ古墳周辺の田んぼで、帝塚山の中高生約 30 名を対象に、年間 5 回の米作りプログラム(田植え、除草、稲刈り、収穫祭など)を学外授業として行っています。
また、地元の小学校でも年に 1 回授業をし、翌週には 500 円玉を握りしめてマルシェに買いに来てもらうといった活動もしています。
作物がどう育つのか、自然がどんな表情を見せるのかを体験できる時間を、もっと増やしていきたいです。

記者:
最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。

樽井さん:
一人で畑や田んぼを始めるのはハードルが高いですが、みんなでやれば、辛いことやしんどいことも笑顔で乗り切れます。 自然の中で過ごしたい、畑をやってみたいと感じている方は、ぜひ一度体験に来てほしいと思います。

記者:
素晴らしいお話をありがとうございました。