”ふぉるつぁ”で受けられるカウンセリングについて

ー実は、カウンセリングにはたくさんの種類があるー 

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多くの方は、臨床心理士や公認心理師といった資格さえあれば、カウンセラーの実施するカウンセリングはどれも同じものだと考えているかもしれません。しかし、ひとことに「カウンセリング」といっても、実のところその種類は様々です。精神分析/精神力動的心理療法、クライエント中心療法、家族療法、認知行動療法など、非常に多くの方法がこれまでに生み出されてきました。そして、カウンセラーによってどの方法を得意とし専門としているかも変わってきます。

 

”ふぉるつぁ”に所属するカウンセラーは、主に認知行動療法(CBT)を専門としています。ここでは、その認知行動療法の概要と特徴についてお話ししていきますが、どの方法にもそれぞれの良さがありますので優劣をつけることを意図したものではないことにご留意ください。みなさんが、”ふぉるつぁ”でのカウンセリングについてイメージしやすくなり、どのカウンセリングルームのどのカウンセラーに相談を依頼するかを選択する助けになればという気持ちからまとめてみますので、当カウンセリングルームの自己紹介的な位置づけてお読みください。

 

ー認知行動療法(CBT)では、どのように問題を扱うかー 

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認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy : CBT)は、その名前の通りに人間の「認知」と「行動」を扱うカウンセリングです。認知とは、簡単にいえば”考え方のクセ”のことです。問題にぶつかったときに、その出来事をどのように解釈するか、そして自分自身の能力や性格についてどう評価するかといった部分です。一方の行動は、問題に直面した時にそれをどのように解決しようと試みるかということです。

 

カウンセリングを受けたいと思う方の多くは、はじめは自分の気持ちや状態を主な悩み事としてお話しされます。「不安が強い」「気持ちがおちこむ」「眠れない」「涙が出てくる」といった内容です。認知行動療法でも、そうした1人1人の気持ちや苦しさにじっくりと耳を傾け、否定せずに温かく寄り添っていくという部分に他のカウンセリングとの違いはありません。しかし、そこから少しずつ情報を集めていき、その感情を生み出している背景にはどんな考え方のクセが存在するのか、その状態を維持している背後にはどんな問題への向き合い方(対処行動)があるのかを分析していくことに特徴があります。

 

 例えば、「自分は本当にダメな人間だ」「きっとみんな自分を嫌っている」「何をやってもどうせ失敗する」「自分にはとてもうまくできそうもない」…なんて考えが頭の中でグルグルしだすと、気持ちはどんどん落ち込み不安も大きくなります。

 

また、夜なかなか眠れないからと布団のなかで神経を興奮させるようなゲームで気を紛らわそうとすれば、眠れないという問題は解決しにくくなります。あるいは、不安な気持ちに襲われたくないという気持ちから人目を避け続けたり乗り物に乗ることを避け続けたりすると、少しでも不安になりそうなその他の場面や状況を避けることで問題を解決しようとするクセがつくかもしれません。

 

頭の中で不安や悲しみを雪だるま式に積み上げていくような認知、不快に思える感情を避け続ける対処法をとることで身動きがとれなくなっている行動、これらの悪循環を変えることで問題の解決を目指していこうというのが認知行動療法の考え方です。

 

 

ー認知行動療法(CBT)の効果ー

 

認知行動療法は、これまでの研究の蓄積によって大人のうつ病、不安症、注意欠如多動症(AD/HD)、薬物依存などに対して「十分に確立された治療法」とされています(*1)。また、子どもの問題に対しても、うつ病、注意欠如多動症(AD/HD)、自閉症スペクトラム(ASD)、社交不安症に対する有効性が明らかになっています(*2)。

 

日本でもその効果が認められ、特定の条件を満たした場合には認知行動療法が保険診療で受けられるようになっています。ただし、未だ認知行動療法を実践できる訓練を受けた専門家は非常に少ないのが現状で、国内の医療機関で保険の補助を受けながら認知行動療法が受けられるケースはほとんどないと言っても過言ではありません。

 

*1 Sliverman& Hinshaw (2008), Walkup et al. (2008)

*2 Pughet al.al.( Children and Young Peoples’ Improving Access to Psychological Therapies Programme anoverview,および N I CE guideline

 

ー認知行動療法(CBT)のよくある誤解ー

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認知行動療法の参考書などを読むと、なんだか機械的で冷たいイメージがわくかもしれません。また、「認知再構成法」「エクスポージャー」などと、難しい言葉がたくさん出てくることも、そんなイメージの原因かもしれません。

 

しかし、認知行動療法でも、相談してただく方1人1人の感情をとても大切にしています。表面的な話しを聞いただけで、すぐに結論を出すことは絶対にありません。これまでの経緯も、今感じているしんどさも、これから先どんな人生を送りたいと思っているのかも、たくさんの時間をかけてお聞きします。そうするうちに、ご相談者さんの「なりたい」「したい」を叶えるためにどんな選択肢があるのかを丁寧にお伝えします。

 

そして、相談者さんの理解と同意を得たうえで一緒に取り組めそうなテーマを決め、実際に宿題として実践していただきます。うまくいかなかった際には、なぜうまくいかなかったのか、何を工夫すると次はうまくできそうかを一緒に話し合います。いつだって協働作業を大切にするので、カウンセラーから指示されてそれに従うという主従関係のあるものではありません。

 

認知行動療法のカウンセリングも、他のカウンセリングと同じように相談者さんを置いてけぼりにするような強引な進め方はしません。まるで長いマラソンでゴールを迎えるまで一緒に伴走するかのように、つかず離れず声を掛け合いながら一緒に問題に取り組むパートナーのような存在になります。

 

認知行動療法についてもう1つのよくある誤解は、”ポジティブシンキング”を目指すカウンセリングであるというものです。実のところ、これも正しい理解ではありません。認知行動療法は、なんでも前向きに考えることを推奨するカウンセリングではなく、場面にあわせて問題解決に役立つ考え方を身に着けることを目指します。

 

認知行動療法の研修でよく見かける有名な例えを1つ。「コップに半分入った水を見て、あなたはどう考えますか?」と問うものです。ここで、”『半分しか水が残っていない』ではなく、『半分も残っている』と考えられるようにする”のが認知行動療法であるというのは大きな誤解です。本来の認知行動療法は、”水がほとんど手に入らない砂漠では『半分しか残っていない』と考えた方がいいし、蛇口をひねれば水が出てくる一般的な日本の生活では『半分も残っている』と考えた方が生きやすい”ので、状況に合わせてより役に立つ考えを選べるようになることを目指します。

 

認知行動療法では、自分の置かれた場面や状況に合わせて、その時最も問題解決に役立つ考え方ができるように引き出しを増やしていく作業を一緒に行います。

 

”ふぉるつぁ”では、北海道内、札幌市内はもちろん全国各地からのご相談をオンラインでお受けしています。子どもから大人まで多くの皆さんに認知行動療法を実施していますので、まずはお気軽にご相談ください。

 

カウンセリング(認知行動療法)のご予約は、ご予約ページからどうぞ!