市政活動報告・代表質問 他
自民党 南区選出の島本京司でございます。
先の吉井あきら議員、次の加藤まさひろ議員とともに代表質問をさせていただきます。よろしくお願い致します。 ①
はじめに、現在我が国の重要な経済 政策方針である「新しい資本主義」における「成長と分配の好循環」に対する本市の取り組みについてお伺いします。
昨年10月の岸田政権発足にあたって首相は、新自由主義経済の弊害であった「富めるものと富まざるものの分断と格差」を解消し、コロナ後の新しい社会を開拓するための政策として「成長と分配の好循環」を基本的なコンセプトに掲げました。この戦略に向けて現在我が国では様々な分配機能の強化を柱とする政策が推進されていますが、現 世界状況下における日本経済は、
これまで長引いたコロナ禍やウクライナ情勢、原油高・資源高、円安等々の影響で、私たちの生活や景気情勢は今後さらに悪化する懸念があります。そのしわ寄せを受け凌ぐことのできない京都市内の99.7%を占める中小・小規模 事業者は非常に厳しい環境にあり、「分配と好循環」への期待も一層強まっているところであります。
自民党議員団はこういった課題にも先進的に取り組みを続け、10年以上前から問題提起や主張を行ってきました。行政には、その点もしっかりと理解、把握、分析していただき、7年前には、公共事業から市域内 経済の好循環を目指し、公契約基本条例も制定されました。 この効果により事業の元請け企業から多層的な下請け、人員、資材や物流等々に至るまでの経済循環が出来つつあり、この市庁舎整備に代表される分離発注 手法等も評価するところです。
このように、今後さらに市外流出を少しでも抑制する取組みと、地域経済 活性化による潤いや福祉を一人でも多くの市民が享受できるよう、一層の取組みを願うところでもあります。 たとえば昨今「民間活力の導入・利活用」によって行政負担を軽減されるPFI手法等があります。一方で、その一部には、最終的な結果として市域内の循環・分配よりも、更なる一極集中化や格差を広げてしまう場合があるという点も、しっかりと考慮・注意すべき部分です。先ずはこの点において京都市として、いかに「分配」を重点的に担保・配慮した対策と市内 経済循環を目指した取り組みをしていかれるものかをお聞かせください。
また、民間取引の部門においても現在、国では、中小事業者への不当なしわ寄せが生じないよう、公正な分配を目指して「中小事業者等 取引
公正化 推進アクションプラン」や「パートナーシップによる価値創造のための転嫁(てんか) 円滑化 施策(しさく)
パッケージ」に基づく対処強化、中小企業庁における下請けGメンの設置、そして先月には「コロナ禍における『原油価格・物価 高騰等 総合緊急 対策』」の中での独占禁止法上の「優先的地位の
濫用」や下請 代金法上の「買い叩き」などに対する取り締まり強化も示されています。
本市としても地域企業、とりわけ大多数の中小・小規模 事業者とその雇用を守り抜くべく下請 事業者等が労務費や原材料価格の上昇を円滑にその価格に転嫁できるようにすること、また独自の製品やサービスの開発等、企業の体力強化の支援に取り組むこと、そして国への厳正な対処要望や補助金等 措置の要求も必要なものと考えます。
これらの点について、京都市として国や府との連携も強化しながら、いかに「成長と分配の好循環」の実現に取り組み、都市の成長につなげていくべきと考えておられるのか、その方針をお聞かせください。
② 次に、「歩くまち・京都 総合交通戦略」の改定と持続可能な交通網の実現についてお尋ねします。京都市は昨年、歩行者と公共交通優先のまちづくりのための この指針の内容を10年ぶりに改訂しました。平成22年の旧戦略 策定以来は、四条通の歩道拡幅や京都駅八条口駅前広場の再整備などに代表される取り組みにより、そのコンセプトも着実に浸透・進展してきたものと認識するところです。
今般の改訂では、車に依存しない「非自動車分担率」について、令和元年では77.7%と、当初掲げた80%超には届いていなかったものの、今後徒歩・鉄道・バス等への転換を更に促して新たな目標の85%以上を目指すものとなっています。
また我が会派が強く求めていたSociety5.0の潮流やデジタルトランスフォーメーションの加速とともに交通分野におけるデータのオープン化と利活用、公共交通の更なる利用促進に資するMaasの推進や新たな交通系サービス等への取組みも盛り込まれています。
現在、本市と全国の交通を取り巻く環境は、人口減少や地球温暖化等の問題に加え、人々のライフスタイルの変化、とりわけこれまでのコロナ禍における観光や通勤 通学等の大幅な利用減で交通事業者が大変厳しい状況に置かれるとともに、「密」を避ける心理傾向によって、本来の歩くまち戦略の目標とは真逆の マイカー利用増が非常に懸念されるものとなっています。私ども地元の南区や伏見、山科区なども高速道路のインターチェンジや幹線道路・国道、鉄道駅などが集中する交通 結節点でもあり、週末や連休ともなるとこれまでのコロナ規制のリバウンドによる大変多くの他府県ナンバー車両等による渋滞が多発しています。
この傾向に対し、今の内から何らかの手を打っておくことが必要です。かつて京都は他府県 都市等と比べ、様々な基幹インフラ施策、特に道路網や公共交通・鉄道等の整備も格段に遅れました。が、近年の私ども国・府・市連携によって挽回・発展させてきたこの交通網の維持向上と公共交通の利用促進に関して、特にこの状況下での新たな取り組みが必要です。その一環として、市域の運輸・交通を支えている事業者と地域住民、行政が、
より一層連携し取組を進めることもたいへん重要であります。たとえば寺田議員を中心に、我が会派が主張してきた「京都カード・京都ポイント」はじめ多様な交通網の有機的検索・予約・決済等々、一括で利便性を図ることができるMaas: (Mobility as a Service)の構築や革新的なデジタル技術を活用した取組等により、遅れている公共交通の利便性を図っていくことが不可欠です。こういったことを受けて、本議会においては地域 公共交通におけるデジタル技術の活用に係る補正予算案も提案されているところです。
そこで、この計画・方針に対する見解ならびに、今後、事業者・市民・行政との連携によるDX推進にも活かしながら、いかに 本来の目的である持続可能な交通網と交通 環境の実現につなげていくのかをお答えください。まずはここまでのご答弁をよろしくお願い致します。
さて後半は、これまで一貫して取組んできた
行財政 改革計画と全市民の持続可能なくらしと福祉、そして更なる市の発展のために打ち出された本市「成長戦略」5つの都市デザインとリーディングチャレンジの7つのプロジェクトの中から、大きく二つの点の「環境投資」、と「文化芸術の産業化」について質問をさせていただきます。
③先ず一点目は全社会的な環境への投資である「ESG投資」の推進と循環型社会の構築についてであります。
先月公表された国連・気候変動に関する政府間パネルIPCCでの報告では、世界気温 上昇を1.5度に抑える目標達成のためには、温室効果ガス
総排出量を2025年には「減少」に転じる必要があり、本市も京都議定書 誕生の地として全国に先駆けて表明した「2050年CO2排出量 実質ゼロ」に向け、さまざまな取組をしているところです。
その中、世界における多くの産業や企業への投資の潮流は現在、ESG投資にあります。このESG投資とは、環境 取組のE、社会貢献のS、公正な企業統治・ガバナンスのG、の3つの分野に優れた企業や公共体等への投資が ひいては地球環境 保全や労働者 環境の改善を推進し、結果としてその企業や公共体の価値と成長につながるとのコンセプトで、世界中の資金を集めて 健全な開発目標や運営を躍進させてゆくものです。このESG投資の世界 総資産は2020年時点で全運用資産の3割以上の約35兆ドル、で2016年比55%の増加、我が国においては2021年度末500兆円を超え5年前の9倍となっています。ただ、日本の機関投資家の資金はいまだ相対的に海外のサスティナブル・ファイナンスを支える所に相当額流出しているとの分析には 非常に惜しい気持ちが拭えません。私は、今後さらに拡大するであろう国内ESG投資は極力我が国内に、そして私たち京都市へと、できるかぎりこの「世界」と「全国」と、少なくとも「京都」の投資は京都市内にしっかりと取り込み、本市の環境課題目標への取組のための金融面での推進力として、また、新たなビジネスやイノベーションを生み出して経済的な豊かさにつながる成長の原動力にすべきものと考えます。
市の成長戦略においても例えば私たちが注目するセルロースナノファイバー、これは木質繊維を百万分の1ミリ単位にまで微細化したもので、カーボンニュートラルな植物由来であり、軽量、高強度、高粘着・弾力性・生分解性・不変質性 等々で様々な用途への利用と開発の展開が期待される新バイオマス素材といったもの、などに代表される環境と産業の融合によるイノベーションの創出他、意欲的なチャレンジが多々掲げられており、そのためにも多くの投資を呼び込む必要があります。
とりわけ循環型社会を目指したサーキュラーエコノミー、これは廃棄を出さずに資源として使用し続ける仕組みの導入によって、環境負荷を低減しつつ経済効果につながるシステムでありますが、この構築に向けては是非にとも本市として、取り組むべき重要なものと考えますがいかがでしょうか。
そして、これら投資推進においては できる限り市外流出を防ぐべく、例えば市がグリーン債等を発行する場合などには税制による優遇措置等、何らかのインセンティブ施策も重要でありましょう。
また民間企業が自社への投資価値を高く見せるためにESG評価 格付け業者の高額サービスを購入したり、低評価となる環境 汚染部門や劣悪 労働 環境部門などを子会社や下請けに押し付けて、投資家の嫌う収益減少を避けつつ 見かけ上の高評価として売り出すといったような、本来の趣旨に反する事象にも、行政としてはしっかりと注意喚起をしながら、ESGの本質を守り啓発することも重要です。
以上のことを踏まえ、これから本市としてESG投資を積極的かつ公正に呼び込んでいくためにどのような取組をしていかれるのか、その計画をお聞かせください。
④続いて、都市戦略に関するもう一つの質問としまして、「文化と経済の好循環を創出する都市」としての具体的推進についてお尋ねします。
先にも申し上げましたように現在、世界と我が国、そして地域社会の状況や先行きがますます見通しにくくなる中においては、これまで通りの経済的メカニズムの延長線だけではポストコロナを見据えた社会・経済の回復や立て直しは難しいものと考えます。今まで通用してきたことが通用しないこの混迷の時代と行き詰まりを打破する本市の一つのキーワードが、京都の強みである「文化」を活かし、新たな経済活性の資源ともなる文化芸術の振興政策である、と私は一貫して主張してきました。
本市においても近年「文化芸術を基軸としたまちづくり」という考え方が示されてきましたが、それは単に文化によってまちの雰囲気を良くするとか、都市格を高めるとか、当然そういったことも重要ではありますが、ややもするとイメージ的・観念論的な掛け声だけで 漠然とその波及効果としての経済の活性化にも繋げていく、というような姿勢のみにとどまってはならない、と強く感じます。すなわち、文化芸術、とりわけ近年またはこれから、今まさに生み出されようとしているものをしっかりと企業活動や経済活動とコネクトして産業化し、成長効果を生み出していくこと。特に京都には多く存在し集う、芸術を志す若い人たちがいます。その人々の活動を生活の糧としていけるような新たな時代の新たな価値観として創出し、芸術・アート市場の活性化を図っていくこと。誤解を恐れずに言えば、芸術が価値ある
投資対象ともなるマーケットの場をつくり、
製作者や関係者も充分に稼げるようにしていく、その市場創出が必要なのです。「真の芸術に目的や理由は必要ない」との論も真(まこと)でありましょう。ただ、私もかつて ものづくりを行い、些少ながらもたまたま販売できていた時期に、事業継続や生きる糧と可能性を実感できていたのも事実です。
成長戦略の一つである「京都アート エコシステム実現プロジェクト」はまさにアート市場の活性化やアーティストと企業等との交流を推進すべく、私どものこの声に呼応するものではありますが、ぜひこれまでの延長ではない「新」文化都市プロジェクトにすべき、と強く願います。まずはこれについて具体的にどんな取組と推進をしていかれるのかをお聞かせください。
そしてまた、これまでも大きな議論となった京都芸大の移転を契機として、私ども京都駅東南部エリアも「文化芸術と若者を基軸としたまちづくり」が推進されています。このための学生や若手アーティストの活動の場と居住の場の創出、ならびに住民との交流による地域の活性化も積極的に進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。当エリアにある南岩本公園もパークPFI手法で再整備事業がなされるということであり、ならば是非にとも公園内施設の活用についてはこのエリアにふさわしい文化芸術の要素を盛り込んだものにすべきです。以上について、市の見解や計画をお尋ねいたします。
最後に地元要望を2点、まず一つは今回廃止案の議論ともなっている京都市健康増進センター・ヘルスピア21は現南区役所が併用する機能もあり、旧来より老朽化が進む本 区役所庁舎の新整備構想については多々要望や代表質問でも訴え続けてきました通り、近隣 地域にある他の様々な公共施設や多くの住民 生活 利用施設等との合理的かつ利便性、健康・福祉的な文化性の観点に立った一体的な将来像も考慮すべきと思うところです。
近辺の青少年活動センターや市民防災センター、交通利便性が高く広大な市バス 九条車庫は府の京都テルサに隣接かつ九条通りに面し、上下水道局は新しくこの東南部に移転整備されましたが、上階部分には近隣企業も入っています。今後は本市のみならず国や府、またはこのような地域 民間企業等とも一緒に、公共施設を中心とするこれからの住民健康や福祉にも資する当エリアの総合的 活性計画と取組・マネジメントを推進していただきたく、よろしくお願い致します。
もう一つは、私も卒業しました塔南高校の移転後の跡地についてであります。この地は区の南西部にあり、近辺には旧来より市の下水処理施設である鳥羽水環境 保全センターや吉祥院 水環境保全センター、食肉加工処理の第二市場などもあります。ちょうどその中心部付近にあったこの塔南高校ならびにその校名もなくなり、元気で健全闊達な生徒の皆さんも移転されるということは、当地域の住民や卒業生にとっては非常にさみしくもあります。是非この高校跡地にはまた地域と住民の文化的な暮らしや発展、健康・健全で豊かな生活に資するような活用の計画としていただきたく、切にお願いを致しまして、私の代表質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。