市政活動報告・代表質問 他
自由民主党 南区選出の島本京司でございます。先の 富きくお議員、次の道端ひろゆき議員とともに、自民党京都市会議員団を代表して質問をさせて頂きます。 よろしくお願い致します。
まず始めに本市の経済・景気対策、の中でも特に近年 問題となっております市内中小企業の人材不足問題 について質疑させていただきます。
2012年に始まったアベノミクス景気は、ついに戦後3番目の長さとなりました。日銀発表 直近の企業短観における大企業製造業DI値も+12となってさらに改善が続き、IMF見通しにおける我が国のGDP成長率も今年・来年分ともに上方修正されるなど、世界経済の回復も背景に 生産や輸出が好調で、4月の倒産件数は27年ぶりの 低水準となり 今後も底堅い回復が続く見通しです。
本市経済においても設備投資の需要拡大や求人情勢などをみると、各種経済政策も奏功し 回復傾向にありますが、雇用状況においては、平成29年3月期の有効求人倍率が1.45となり、これは22年同月0.53の274%で、高度経済成長期であった昭和48年以来の高水準を二か月連続でマークし、かつて雇用低迷にて 就職氷河期とまで言われていた労働力マーケットも完全に売り手 市場へとシフトしている状況です。
このような中、市内中小企業においては近年特に人手不足と採用難の問題が深刻になりつつあると感じています。このままでは人材不足のためにせっかくの業務もこなせず、受注や販売の機会を逃して収益性も低下し、場合によっては事業存続も危ぶまれる厳しい経営状況や労務型倒産の可能性、そして回復基調にある景気の制約要因となって、社会的経済総力の低下にもつながる重大な懸念材料となります。製造業や建設、食品、サービス業はもとより、農林業での人手・後継者不足、社会的な問題ともなっている物流業の労働 環境課題、観光都市としての 宿泊業では旅館などの運営・担い手不足と廃業問題、本市ならではの伝統産業も後継者不足で産業空洞化の現象等々。いうまでもなく、京都経済の屋台骨を支えているのは全企業の実に99.7%を占める多くの、零細・個人事業を含む中小企業であります。本市経済 活性化のためには、この中小企業の持続的発展と、そのための担い手不足の解消に向けた正規雇用の拡大や待遇改善などの取組が今、喫緊の課題であります。 一方、担い手側の観点から考えると、京都市人口は10人に1人が大学生であるというほどの大学のまちでありますが、各大学の就職政策としては、どうしても“大企業へ”、“首都圏へ”との 斡旋傾向も強く、相対的に労働生産人口の割合が減少 しています。せっかく京都で就学している多くの若い方々には、環境・条件面や質的・内容面においても他都市 大企業や首都圏に引けを取らない本市の優良な中小企業に就職して頂き、そのまま京都市に住み続け、生涯を過ごして頂きたい、その為にも、たとえば市が率先して各学校 横断的な就職セミナーや紹介・斡旋のコンベンションを開催し、多くの市内中小企業に参加してもらって学生向けプレゼンやマッチングを!…、というような方法も一つとして、京都で働いてもらう為の取組を強力に 推進してゆくべきと考えます。いかがでしょうか、市内中小企業の存続・死活問題にもなりつつある人材確保、人手不足解消に向けて、市は多方面からどのように取り組んでゆくべきと考えておられるのか、お聞かせ下さい。
次に、京都市も取組を始めている「京都未来交通イノベーション研究機構」の推進に関してお聞きします。
近年、社会的に 車の自動運転・自動走行に関する報道や話題が増えてきました。これまで自動車というものは文字通り「自ら動く車」としてドライバーが操作した通りに動くだけであったものから、技術の進歩に伴い衝突回避や誤操作防止など、運転そのものの自動化の開発研究も進み、部分的な機能は実用化されるようになってきています。今後は官民で研究が進む情報通信技術と走行制御テクノロジーに、高精度デジタルマップなどの開発も組み合わせた高度 道路交通システム・ITSの飛躍的な進展によって 交通安全性や渋滞解消はもとより、社会問題ともなっている物流面での課題や効率化、エネルギー・環境問題、過疎地の交通対策、都市内LRTに次ぐ新世代BRT、災害時 対応や緊急車両の運行支援等々、市民生活やさまざまな産業分野にも画期的な変革をもたらす可能性が 非常に高いものと考えます。 国においては「日本再興戦略」改訂2015の中で初めて,車の「完全自動走行を見据えた環境整備の推進」を掲げ、2020年東京五輪・パラリンピック時に向けた実用化を目指すとともに、先般発表された新・成長戦略 原案の中でも重点項目として、制度整備の大綱策定を予定し、2025年を一定のフルオート 走行 実現・目標年としてさまざまな実証実験も計画されています。 これら日進月歩で進む技術面においては今後ますます大きな発展が予想されますが、こういった未来の交通イノベーションを見据えた社会実現のためには、乗り越えてゆくべき多くのハードルもあるかと思います。万が一事故が起こった場合の責任の所在、交通 法規や保険制度の整備に加え、多くの車が自動走行する状況を市民がどのように受けとめてゆくのか、技術の 発展にともなう 機械と人、そして生活との関わりについても多岐にわたる検討が必要でしょう。 それら課題の克服と技術導入には更なる年月を要するものかもしれませんが、京都市は世界的観光都市でもありながら、 密集 市街地に狭隘路も入り組む都市構造であるからこそ、マイカー抑制と公共交通 利用による「歩くまち」の実現のためにも、そしてまた市民生活に大きな利便性をもたらし 新たなビジネス創出などの可能性にも挑む 探求都市としても、この自動運転の導入に向けた研究やインフラ整備においては 他都市に先駆け 積極的・先導的、そして長期的に取り組んでいく必要があると考え ますがいかがでしょうか。市として今後 この課題に対してどのように向き合い、いかなる計画や施策をもって 取り組んでいかれるのか、そのお考えをお答え下さい。
先ずは、ここまでのご答弁をよろしくお願い致します。
(大変前向きなご答弁を頂きました、私どもも更に取り組む努力を続けて参りますので 何卒よろしくお願い致します。)
続きまして、「健康長寿のまち 京都」の実現に向けた 取組についてお伺いします。 私は議員とならせて頂くまでの数年間のあいだ、現代においては たとえ子供や若者の数が少なく長寿化する社会であっても、その高齢者となられる方々が10歳でも20歳でも若返り、生き 甲斐を持って新しい技術や能力を身につけ、更なる社会参画と活躍を永く元気に続けて頂ければ何ら社会的に 憂うものではない、との信念の下、この京都市内において多くのご年配の方々を対象とする健康・文化・教養・ 技術等々の習学講座 運営センターを創設 経営致して おりました。その経験をもとに この6年間は、議会や 委員会 他様々な場面において、市民の健康寿命を延伸 する取組の重要性や方法なども多々主張して参りました。
また、我が会派においても全議員が幅広い提言を行っていることも踏まえて頂き、今年度は関連予算の更なる 充実や取組の広がりが実感できるもの になっていると評価させて頂いております。 その中でも特に 庁内推進本部を先頭として多くの市民団体等が参画する健康長寿のまち・京都市民会議とも連携した取組が進められ、例えば昨年度から実施している「いきいきポイント制度」も、毎日の健康づくりの点数化や、そのポイント応募による賞品プレゼントなど、私達市民一人一人が自主的に健康づくりに取り組むきっかけとなる 積極的事業であると感じています。ただこれはまだ始まったばかりのプログラムでもあるため、今後更なる周知や、より多くの とりわけ高齢者の方々の参加と健康増進 努力に対するインセンティブの工夫、さまざまな企画やイベント等の増設、またそれによって周辺地域や その商店街などの活性化にもつながれば、と願っています。こういった あらゆる観点から、市としては今後、市民の健康長寿に向けた取組が一層 進むよう、どのような方法をもって「世界一健康長寿のまち・京都」の実現に向けて努力してゆかれるのか、 ここで具体的なお考えをお聞かせ下さい。
次に、公契約基本条例の取組についてお尋ねします。
平成27年11月、市発注 公共事業の市内 中小企業による 受注機会の拡大や適正な労働環境と契約の履行 および質の確保、そして社会的課題の解決に資する 取り組み などの推進による 地域経済の健全な発展 および 市民福祉の増進寄与等を目的として 京都市 公契約基本条例が施行され、一年半が経ちました。
私も、一貫して これによる市内 循環経済の活性化や 本市 中小企業力の強化、首都圏や他都市 巨大企業への一極集中化の防止、条例の実効性を確保するための庁内体制 増強や技術系職員・組織力の向上と整備、または 入札形態や、デザインビルド方式ならびに巨大企業の 資本・技術に依存するPFI手法等の問題点の他、条例には賃金規定を盛り込むべきではない!などの議論等々も 積み重ねて参りました。そうした中、市は、仮に契約先が他都市 大手企業となってしまう場合であっても下請けや人員雇用・資材その他の様々な条件においては、極力京都市内発注に誘導するご努力をして頂いているとお聞きしています。 これら具体的な運用方法と今後の更なる相乗効果を期待した上で、現在の入札や契約に至る 企業のランク付け及び評価 考察点などについても、本条例の重要な目的である「社会的課題の解決や市民福祉の増進寄与」といった観点から、例として地域と社員の消防団活動に理解・協力する企業への優遇措置のように、京都市の様々な取組や条例、たとえば地域コミュニティ活性化条例や景観政策、ゴミ・廃棄物、町家や空家の保全・活用等々…といった多くの重要施策に貢献する企業評価点を盛り込む、といったようなことや、プロセス手続き的には 仮契約時点からの時間的ロスのない議案提出・審議・本契約への流れなども、今後の課題として考えられるのではないかと思います。 さて そこで,この条例が施行されて1年半が経過した現時点において、それ以前の時期と 比べた数値的 効果検証や発注総額に占める下請け 中小企業等の,市内景気・経済 波及効果などに関する 総括的な見解をお示し頂いた上で、今後さらに いかなる実効性と目的達成に向けた課題や運用の取組み方法が あると検討されておられるのか、を お答えください。
最後に、私ども地元南区の諸地域や重要拠点・用地等の有効活用とまちづくりについて質問 および要望を申し上げます。まず東九条地域・京都駅 東南部エリアについて、京都市立 芸術大学がこの地に隣接する北側地域に移転するとの構想を受けて以来、私たちはその計画に伴い、是非この地にも芸術・文化といったものをコンセプトとしたまちづくりを進めていただきたい、と願い訴えて まいりました。それ以前からも私は、文化や芸術の創造拠点といったものは京都市の中でも特に北側地域に偏っているのではないか、との指摘の上で、ぜひこの南区や他の周辺区においても充実させて頂きたいとの要望を し続けていたものでございます。かつて議員研修会でもありましたが 都市社会学者リチャード・フロリダの 「創造性指標」では、地域再生においては工場誘致よりも創造的な人材を地域に誘引できることが経済的パフォーマンスにも優れている というものが指標で示され、それは3つのT、(アルファベットのT)すなわちTalent 人材、Technology 技術、そしてTolerance 寛容性、の3つで構成されているということです。この中で最も注目すべき3番目の「Tolerance寛容性」つまり、今までにないもの・新しい物を、柔軟性をもって受け入れるという意味においては、長年 多文化共生にも取り組んできた この東九条地域にも、まさに新たな文化や芸術といった創造的な人材・若者が自然に集まり融合できる「場所」としての取り組みを どんどん仕掛けて活気あるまちを創造すべき、と願っておりました その折、市において『京都駅東南部エリア 活性化方針』が策定・発表されるに至りました。これは、文化庁京都移転の機運も高まる今、京都駅に近接する 非常にポテンシャルの高いこのエリアにおいて、文化や芸術を基軸とした新しい価値を創造し、世界中の人々を惹きつける活気あるまちづくりを目指すというもので、大いに期待すべきもの!と感じています。と同時に年度末の報道にもありましたが、市長はこのエリアを『岡崎、梅小路につづく第3の文化ゾーンとなるように』とも 述べておられます。文化芸術は歴史ある伝統的なもの から前衛的・斬新で現代的かつ 未来を先取りしたもの迄様々です。ぜひこの地域に見合った新しい、文化芸術の空気感が息づく 地域創造を推進して頂きたいと願い ます。と同時に、今後 活性化方針に基づく取組を着実に進めていただくに当たっての、市長の強い決意の程をお聞かせいただきたいと思いますがいかがでしょうか。
南区にはこの他にも、東に(元)陶化小学校跡地、西に 塔南高校の移転予定後の跡地、中央には老朽化している南区役所 に隣接する(元)南警察署の跡地 また現在余裕ある広大な使用状況となっているようにも見られている 重点的交通要所の九条車庫など、数々の大きな市有地も遍在し、これら拠点用地がエアーポケット的にどこも 閑休地の様になって 其々の地域発展を遅れさせるものとならないよう、今後も可能な限り文化的または地域の活性化に資するような有効利用や新たな将来的活用計画を早期に策定して頂きたく希望します。加えて ご承知の通りの問題ともなっています西大路十条近辺 約1万坪の広大な民有工場跡地は,長年に亘って未利用状態のまま周辺 地域環境・治安の悪化や非活性化の根源にもなっている場所です。市は、このエリアがいまだ工業・準工業地域でもあり、昨今の地域特性として 民間活用のビジョンにおいても制約的な用途地域となっていることも踏まえ、ここも同様に文化的または地域の活性化に資するような利用促進の誘致・誘導的 行政施策を講ずるよう強く要望いたしまして、私の代表質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。