市政活動報告・代表質問 他
自由民主党、南区選出の島本京司でございます。橋村芳和議員、小林正明議員、中村三之助議員に引き続き、自民党京都市会議員団を代表して質疑をさせていただきます。よろしくお願い致します。
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まず初めに観光政策、日本を牽引する京都の戦略的なインバウン
ド施策と市民生活への経済効果についてお尋ねします。
国連 世界観光 機関の2014年報告では、観光産業は全世界GDPの9%を占めており、その長期予測によれば、2030年までに国際観光 客数は現在の1.7倍・年間18億人に増えると予想されています。今これほどの顧客が存在し、右肩上がりの発展・繁栄が約束されている市場は世界を見渡しても数少なく、我が国においても地方創生と成長戦略の大きな一つと位置づけられています。
元ゴールドマン・サックス社のアナリストで、京都 国際 観光大使でもあるデービッド・アトキンソン氏も、その著書「新・観光立国論」の中で述べられているように、GDPの成長や衰退は何よりも人口の増減に左右される、という事実を考えてもやはり、持続可能な短期交流人口の拡大による収益、すなわち外国人観光客を我が国やこの京都が持つ、たぐいまれなるポテンシャルに見合う分だけでもしっかりと確保して経済効果を追求することこそ、21世紀の所得倍増計画であり、日本経済が第二の高度 成長期を迎え得る手段である、と分析しています。
しかし私たちはこれまで、その観光の本質を真に理解し、また、その効果を実感として享受できていたでしょうか。
観光国であると自負する我が国日本、そして米国の旅行雑誌で一
番行きたい都市に選ばれたというこの京都の現実はどうでしょう。先ほどの世界 観光機関のデータ・2014年国際観光客 到着数ランキングでは、1位から順にフランス・アメリカ・スペイン・中国・イタリア・トルコ等々…と続き、ご近所の韓国・香港、またはタイやマレーシアよりも低く、日本は第22位、国際 観光収入ランキングでも2013年データでありますが、日本は第21位と、いずれも低く、収入のGDP比率や観光客数の人口比率、他さまざまな指標をみても実際のところは観光先進国とは とても言えるものではなく、世界平均からもかなり遅れをとっているのが実情です。観光立国を形成する重要な条件は、いわゆる流行語のおもてなしや、治安とか国民性といったものよりも、大切なのは、その国の①気候(四季の変化)・奥深い②文化・雄大な③自然そして④食事の素晴らしさ、この4つであり、そのすべてが奇跡的にそろっていると言われるこの日本、にも関わらず、年間インバウンド客数は2000万人足らず、これはたとえば、我が国よりも人口規模もGDPもはるかに小さなフランスが年間8500万人を集めているのに対して、僅かその4分の1以下という少なさです。しかし、そうした中でも、京都市においては他都市に先駆けて先進的な観光施策に取り組み、国内外からの観光客数は平成26年には過去最高の5500万人、外国人宿泊客数は183万人となりました。…ただ、一概に安易な比較はできないかもしれませんが、圧倒的数あまたの観光資源 たとえば2992件の文化財や国宝 建造物40件、重要文化財207件等々、多くに恵まれた本市全体で、この183万人に対し、例えば(仏)ベルサイユ宮殿や(英)大英博物館などがその一箇所だけで外国人を年間400万人~600万人も集めているということを考えると、まだまだ、京都にも日本にも、格段の余力・大きな伸びしろが残っているという現実と希望を、しっかりと認識しておくべきと考えます。必然的に、国の目標とされている2030年インバウンド客数3000万人という数値は、あくまでも、特に何もしなくてもそれくらいは自然増加するであろうという想定の範囲内であって、やはり先の条件的 潜在力から試算すると、年間8200万人、観光収入60兆円以上の経済効果でGDPを格段に押し上げることを目標とすべきであり、そしてそのための牽引役としての京都市が、今後通り組まなければならない課題、それは多様性ということを認識した上でのマーケティングと、そのそれぞれに応じた観光コンテンツによる、しっかりとした収益の追求に他ならないものである、ということです。いま現在最も多く、爆買いなどに象徴される、主にアジア地域からの人々は、大きな単位のお金を遣っていただけることはあまり期待できず(これまで京都を訪れていた外国人観光客一人当たり一日の平均消費額も13000円程度でありました)が、ただ、人数においては溢れかえるほど多く、それがゆえに時には摩擦も起こり得たというものの、そしてまた、私たち市民生活に還元されるほどの経済効果はあまり望めなかった からと言っても、やはり大切なお客様であることに変わりはありません。ですが一方で、そのような為替相場の要因も大きく考えられる変動型 来客数とは相対的に、ぜんぜんと言ってもいいほど来ていただけていなかった、いわゆる安定数型 富裕層、すなわち 使っていただける金額の単位が1桁・2桁も多く、先に述べました日本以外の上位 観光大国には大変多く訪れられているという、ヨーロッパ・オセアニア・北米地域などの人々 を、私たち京都もしっかりターゲテットとして積極的に誘致するという新しい戦略が、必要ではないでしょうか。
これまでのように、どんな観光客の方々にも均一的なサービスを提供して京都の魅力を、わかる人にはわかってもらおうというようなやり方ではなく、今後は質の高い観光客の要望にもどんどん耳を傾け、変えるところは変え、改善すべきところは改善し、相手の国ごと・地域ごと・収入や価値観・老若男女…などの異なる様々なセグメントの観光客に対して、それぞれが求める多様な観光コンテンツを的確に提供してゆくこと、そして日本独自の奥深い魅力を通じて、しっかりとお金を落としてもらえるだけの高品質なサービスを実現してゆくこと、が重要であり、そのための分析・マーケティング機能の充実が必要不可欠なものと思われます。
以上のことから、今後ますますの少子高齢化による生産年齢人口の減少が予測されるこの社会において、真の観光立国となり、更なる社会・経済の成長を目指すべき我が国 の取組みを先導するようなインバウンド施策を実施し、効果的なモデルや実績を示すことがこの私たち京都の役割でもある と考えますが、いかがでしょう?
そして、市の観光政策や景観、高さ規制、看板条例や交通政策、街並み保全…等々に多大な理解と協力、税負担をしている私たち全京都市民のために 今回の予算の大きな一つである「観光による経済効果を京都経済全体に波及させる」という その具体的 戦略と方策についての市長のお考えをお答え下さい。
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次に、先般制定された京都市 公契約基本条例に関して、その実効性と体制の整備等の課題についてお訊きします。
私は平成23年以来、一貫して京都経済活性化のための重要な要因の一つである公共事業の市内発注について進言を続けさせて頂いてきました。それは、毎年何百億円もの私たち京都市民の巨額の税金による京都市民のための大切な公共建築物や事業などが、京都市以外の他都市を拠点とするいわゆる大手企業・巨大ゼネコンなどへの一括発注となってしまうと、まさに東京一極集中のように、力のあるところには益々その力が集積され、結果 そうして他都市の経済を潤すこととなり、発注・支払い、かつ使用・所有者でもある京都市民の地域 循環型の経済効果は大きく薄れてしまう、にとどまらず、やはり、できる限りの市内企業の力で設計、資材調達、物流、建設、人員雇用等々、オール京都パワーを目指すものでないと、市内中小零細企業を含む あらゆる関連事業者の経営基盤や技術力、実績、雇用も縮小低迷し、成長できることも、他都市に進出してこの京都に利益を持ち帰ってもらう競争力さえも失くしてしまう、という訴えでありました。以来、この問題について真摯に耳を傾けていただき、全庁一丸となって入札制度の改革や市内発注の実績を少しでも増やす検討・努力を続けてきていただいたものと評価しています。そして昨年、11月には 京都市会 全会派の賛成により京都市 公契約基本条例が施行されることとなり、市内中小企業の受注機会の増大をはじめとして適正な労働環境の確保や公契約の適正な履行と質の確保、社会的 課題の解決に資する取り組みなどを図り、もって地域経済の健全な発展及び市民の福祉の増進に寄与することを目的とすることとなりました。
私は、この条例制定そのものが決してゴールなのではなく、ここからいよいよ京都市が本格的に、その理念と目的に向かって しっかりと、がっぷり四つに取り組む姿勢を明確にした強い意志の表れであると考えています。そこで、この方針を実効性のあるものとする問題の一つとしては、今なお多いデザインビルド総合評価方式や巨大民間企業の資本や技術に頼るといったPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)など、――これらは安全性や耐久性についての課題もさることながら――、何よりも肝心の本市・地域社会を支える筈の地元中小企業の参加には大きな障壁となり、この条例の主旨から逸脱してしまうものとなりがちな入札形態や手法などがあり、それらを極力見直してゆくためにも、本市執行体制の中における技術職員の増強や技術力の維持向上も、未来のためには重要な投資であると、適宜指摘させていただいてまいりました。
そこで3年前の12月当時、副市長答弁にて表明された技術面や職員等の組織・体制の強化などについては、どこまで、また、どれほど向上したものであるのか、との認識の上で、今後 この条例の目的を確実に追求し、実効性のあるものしてゆくためには、更なる庁内体制の増強や技術系 組織力の向上が必要と思われますが、市長はどのようにお考えか、また懸案としているデザインビルド方式やPFI手法に関しては、どのような見直し、改善の取組み等を行い、もって公共事業の発注やさまざまな契約を、いかに地域経済の健全な発展に寄与させてゆかれる方針であるのか、をお聞かせください。 まずはここまでについての答弁をお願いします。
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続きまして農 林業の振興について質問させて頂きます。
まず、本年4月から導入されることになった京都府豊かな森を育てる府民税いわゆる森林環境税について ですが、これは昨年9月の市会 決議の通り、納税者の約6割を占める私たち京都市民もしっかりとその効果を実感できるようにしなければならない と考えらえる中、今回の府の制度は、地方創生の観点からも 地域と密接に関わる市町村への配慮がまだ十分とは言えないまでも、京都府と協議を重ねてこられた京都市の取組みの成果も見え、一定評価しているところでございます。
記憶に新しい事でありますが、平成25年・26年と続いた大型台風の直撃や相次ぐ豪雨によって京都市街地周辺部における山腹の崩壊や、嵐山などに見られた洪水 他、甚大な被害が発生しました。その要因の一つとしてはやはり近年、雨水を貯え、土砂災害を防止するといった森林の多面的な機能が低下しつつあることも大きく影響していると言われています。京都の中心部を縦断する鴨川、桂川などの上流域に植林されていた広大な人工林も、長引く林業の不振等により放置されたまま管理不十分となり、荒廃しつつあるのが現状です。健全な森林を育成し、土砂崩れや水害などの災害を未然に防止することは市民のいのちとくらしを守る上でも極めて重要な課題であり、京都市においても様々な取組が行われてきましたが、その再生・保全には、更なる整備や都市部における木材の利活用 促進による森林資源の循環も必要であり、これらには多大な時間と経費が必要になるものと思います。今後はこの新たな府民税も大切な財源として有効に活用し、市民が安心安全かつ潤いのある生活を送ることができる森林環境づくりを目指した施策を、計画的かつ継続的に進める必要があると考えます。
もう一点は農業振興、京野菜のブランド強化・消費啓発と若手農家の支援についてであります。
私の地元南区でも、桂川河川敷の優良農地や市街化区域の生産緑地において、伝統野菜である九条ネギや水菜、小松菜、金時にんじんやキャベツ、ホウレンソウといった旬の露地野菜を多くの農家が代々にわたり高い栽培技術を継承しながら生産してきました。諸地域では、農家子弟の若手も育ち、研究グループを作って栽培に関する情報交換を行うなど意欲的な活動に励むとともに、また、地域の農家団体は小学校の児童を対象に 地元作物の栽培・調理体験の実施といった食育活動も市と協力して進めています。そして全国的には近年、身近で生産された新鮮・安心・安全な野菜の需要や、自ら土に触れて農作物を育てたいという都市住民の意識も高まる中、都市の良好な生活環境を形成する貴重な緑地空間、災害時の避難場所の提供といった都市農業の果たす多様な役割も改めて評価されています。国においても昨年4月に都市農業の安定的な継続を図るとともに、良好な都市環境の形成に資することを目的とした都市農業 振興 基本法が制定され、さらには和食が世界遺産に認定されるなど 食材としての京野菜が全国的に注目を集めるようにもなり始めています。このように現在、本市の都市農業を取り巻く環境には 厳しい中にも追い風がある とも云えるチャンスの時だと考えます。
今、TPP合意による国内農家への影響が懸念される中、京都の持つ強みや都市農業の利点を生かし、さらなる京野菜のブランド強化と消費啓発を図ること、そして意欲ある若手農家が京都のブランド力を生かしていけるよう支援することが、私たちの地元および都市農業全体の発展に繋がるものであると思います。
以上の事から、今後の農 林業振興に関し、一つには新たな府民税を活用した森林 林業の政策、そしてもう一つは京野菜のブランド強化・消費啓発・若手農家の支援を どのように講じていかれるつもりであるのか について、市長の総合的な考えをお聞かせ下さい。
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続きまして、人権擁護委員制度の充実強化 協力についてお聞きします。近年、大きな社会問題として、いじめやDV(ドメスティックバイオレンス)、虐待や各種ハラスメント、インターネットによる誹謗中傷、ヘイトスピーチ、リベンジポルノ…など、ここ数年の間に人権が侵害される事象や事件が多様化し、急激に目につくようになってきています。このような問題・事件等を少しでも防ぎ、抑止することも一つの大きな目的として、人権擁護委員の制度が設けられ、国によって定められた人権擁護委員法の理念にも則り、現在 全国で1万4千人の委員が、さまざまな問題の解決や救済・相談・人権思想の普及 をもって、国民の基本的人権を護るため ボランティアで活動しているところです。各市町村に配置される委員定数の規程により、京都市では本来55人配置できるところ、現在は、市長から推薦を受けた45人が法務大臣からの委嘱を受け、創意工夫を凝らしながらその使命を果たしています。私達京都市会からも現在8人の議員が市長推薦の下、委嘱を受けて、党派を超え各委員その条件の許す限りにおいて誠心誠意、参加・取組みの努力をさせていただいておりますが、時には、公務や市政活動とも重なり、自主自立的な活動を頂いております京都人権擁護委員協議会の諸先輩の皆様方にご負担をおかけすることもしばしばです。 また、委員の活動範囲についても現在、深刻化しつつある昨今の数々の人権侵犯事案や個別事件に対して、一刻も早く適切な介入や、従来以上の早急な救済に向けての具体的関与の必要性なども議論されているところです。
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そのためにも市として、今後、定数55人に向けての早期の推薦はもとより、被推薦者としても、できる限り積極的かつ地域に根差した頻繁な活動力が求められるものと強く感じています。
以上のことから、今後求められる人権擁護委員会の体制(態勢)の充実 強化に向けて、市としてはどのような協力や取組みをしてゆかれるおつもりがあるか、そしてまたいかなる方策を以って頻発するいじめや虐待、DV等々の防止に努めてゆかなければならないとお考えであるのか、をお答えください。
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最後に、地元・南区と、隣接交流都市である向日市との共通の課題についてお伺いします。
一昨年の平成26年10月15日、向日市と京都市は、歴史的・文化的・地理的につながりのあるこの両市が、より一層絆を深めて行政的にも交流し、安心・安全なまちづくり他、多面的な協力や連携によって互いに発展してゆくことを目的として相互交流宣言に調印を致しました。門川市長は「両市が一体感をもって政策を進めることが大切である」と、そして(当時の向日市の)久嶋市長は「垣根を越えた交流が深まることを期待したい」と述べておられました。
しかしこの垣根とも言うべき共通の課題の一つが、旧来より両市の住民の間で熱望されていた都市計画道路・向日町上鳥羽線の残余部分の整備とJR向日町駅の東口、つまり私たち京都市側の改札口・出入り口の問題です。この駅は構内に向日市と京都市南区との境界があり、西側の向日市側には出入り口がありますが、当方京都市・東側には(こちらにも多く居住または立地する企業関係などの人々 のための)出入り口が無く、かなりの距離を経て西口へと回らなければならないという非常に利便性と安全性を欠く状態が長年に亘り続いています。このままでは折角のこの駅近辺という好立地にもかかわらず、我が京都市・東側の未来展望も霞むどころか、旧来より不便な努力を強いられていた近隣住民の気持ちはもとより、久世工業団地などの発展も先行きは大変に懸念されるところです。
※ご存じの通り、この近辺にあった本市を代表する巨大成長産業の一つである有名な大企業も先般、京都の製造業では最大級の研究所となる新施設を当該地の本社近辺ではなく、学研都市の方へ多くの人員とともに新しく建設されるという発表もされました。
これら課題に関しては、関係 全議員、我が会派の椋田議員も始めとして地元 市・府議会と地域住民 一同協力での取組みは元より、向日市側の皆さん、安田市長始め多数の議員の方々に代表される多くの市民のお声にも切実なものがあります。すなわち この駅の東口整備によって、向日市 京都市の東西どちらにも抜けられるように、そして行く行くは都市計画道路の牛ケ瀬 勝龍寺線と 先に懸案として申し上げた向日町上鳥羽線の合流計画地点が当駅(向日町駅)東口駅前と連結してこそ 人と物の大きな流れが創出され相乗効果的な両地域経済の発展と都市基盤 整備の活性化が図れるものである との強い声です。
どうでしょう、駅構造の整備主体はJR側ではありますが、そのJRが動いていただくためにもやはり、すぐそこまで来ている本市 都市計画道路の向日町上鳥羽線のあと少しの部分、国道171号線からこのJR向日町駅までの残余部分の整備計画において、様々な課題の中にも、いずれはここまでの完成を目指すのだという本市の強い意思表示が、将来的な収益を判断材料とするJR側の方針決定の大きな要因の一つになるはずのものと考えます。同時に、これら課題においてこそ、交流・提携都市である向日市や、そして京都府との一体的な連携・協力体制を敷くなど、JR側ともども話し合いと協議の取り組みを進めて頂きたいと願うものでありますが、この件に関しての本市の考えはいかがなものでしょうか。なにとぞ前向きなご考察をお聞かせいただきますよう、よろしくお願いを致しまして、以上で、わたくしの質問を終わらせて頂きます。
ご清聴 誠にありがとうございました。