市政活動報告・代表質問 他
自由民主党、南区選出の島本京司でございます。内海貴夫議員、中川一雄議員に引き続き、自民党京都市会議員団を代表して質問をさせていただきます。よろしくお願い致します。
① まず初めに、リニア新幹線誘致についてお尋ねします。
去る9月18日、リニア中央新幹線の計画概要が発表され、東京-名古屋間のルートが明らかになりました。残る名古屋-大阪間について、今、本市においては、「このままではリニアは京都に来ない!」「リニアを京都へ」を合言葉に、ある種危機感をも伴った京都駅ルートの全市的な誘致キャンペーンが展開されているところであります。私もかねてより、京都を通らない場合の経済的打撃や都市格低下の懸念はもとより、近畿地方全体もしくは西日本全域での経済的観点からも、奈良市付近ルートよりもぜひ京都駅ルートにすべきであるとの強い思いを持ち続けてきた一人であります。が、「このままでは来ない!」と声を大に叫び続ける対策の、まさにこのままでは、ほんとうに来ない可能性も高いのではないでしょうか。
そこで、東京―大阪間の2027年同時開業が求められている今この時期にこそ、綿密な理論展開における訴え、すなわち「科学的・客観的な各種調査と実数値を伴う比較検討の必要性」、そして「既成概念を変更させ得る法的根拠の明確化」など、京都大学院・都市社会工学専攻の中川大教授も述べておられますように、何よりも京都市独自の各種調査と、迅速かつ公平公正な検証による論戦に持ち込む時であると考えます。
具体的には先ず第一に名古屋―大阪間の「ルート調査比較」について、かつて中央新幹線が基本計画路線となった1973年以来、整備計画路線に格上げされた2011年を経ても今なおまだ、ただの一度もリニア新幹線としての調査と科学的比較がおこなわれていない、という国家的計画性の不備を指摘せねばなりません。東京-名古屋間においては整備計画策定前の2010年に3ルートの比較検討が行われた結果、南アルプスを貫くルートに決定されたという事実があります。つまり、国が最終的な責任機関として、この比較調査をしっかりと行ってからルートは決定されるべきである、と強く求めると同時に、並行して本市でも、恣意性を排除すべく客観的・科学的な独自調査を行い、京都駅ルートの根拠をしっかりと示すべきであります。
第二には、経済波及効果や需要予測はもちろんのこと、建設費や採算性と同様に非常に重要な利用者便益性すなわち利用者総数の時間短縮性や乗換箇所数に伴う乗換抵抗数値他の各種利便性を総合的に勘案した公共交通機関の公益的役割と重要性もまた、本市の独自調査による実数値を持ってしっかりと明示すべきであります。
さらには、建設・運営主体であるJR東海にとっての事業者便益、すなわち名古屋―大阪間における国の関与の可能性が高まっているこの状況下では、はたしてどちらとするのが運営企業としてメリットがあるのか、または各ルートについて在来の並行新幹線を維持する効率性や同ルートでの運行便数削減による経営効果、その他、北陸新幹線が米原に接続した場合のシミュレーションをも考慮した具体的提案等々、積極果敢な攻めの誘致を行うべき時であります。
これら科学的かつ公正に開かれた実数値の議論と、先にも述べました法的変更可能根拠の明確化によって、最終的には良識ある国民的・国家的な審判を仰ぎ、単に地方間の局所的議論にとどまらない、国全体としての理にかなった国土交通計画と、その帰結としての京都駅ルートが実現されるべきであると考えますが、いかがでしょうか。市のお考えと、今後取り組むべき方針をお聞かせください。
② 次に京都を支える技術力の維持・向上についてお伺いします。
私は、一貫して福祉や教育、環境問題や安心安全のまちづくりなど、多くの大切な施策の財源たる税収増のためには先ず何よりも、全市民生活における家計の潤い、すなわち京都経済全体の活性化が必要であり、そのためには本市行政が地域経済に於ける心臓や動脈的ポンプの役割を果たして景気循環を活発化させる必要があるとの主張を掲げ、その観点から、昨年5月の代表質門においても、市が発注する公共事業、とりわけ地域経済にとっては年間何百億円もの莫大な経済効果や影響が見込まれる筈の大型公共工事等の発注入札についての問題点を指摘させていただきました。
それは、近年多く採られるようになっていたPFI手法、いわゆる民間の資本や技術を活用するという考えや総合評価方式、設計・施工・管理を一括して公募入札するDBM・デザインビルドメンテナンスなどの方法では、発注者たる市の業務として、すべてまとめて大手建設企業、すなわち京都市以外に多く存在するゼネコンに一括して任せることができる反面、せっかくの私たち京都市民の多額の税金で市民のために発注する大切な公共施設が、京都市以外にある大企業によってつくられ、結果的に他都市の経済を潤すこととなり、肝心の本市・地域社会を支える筈の地元中小企業の参加には大きな障壁となり、ひいては京都市全体の技術力の低下さえも懸念される、という悪循環の問題でありました。現在、特に発注仕様書面などにおいて極力の下請けや市内調達に向けた努力をいただいているところですが、この流出を少しでも防ぎ、取り戻し、特に今後期待されるアベノミクス効果を実感・実効性のあるものとするためにも、さらにできる限りの市内企業の力で設計、資材調達、物流、建設、人員雇用等々、オール京都パワーの循環経済・活性化を目指して取り組んでいただきたいと思います。
が、しかしそれと同時に、今なお多い総合評価方式やデザインビルドなどにおいては、民間の資金や技術を活用できる反面、発注者側にも民間提案をしっかりとチェックするための技術力と、将来にわたって公共施設の質を確保するための仕組みが必要不可欠であり、また、その安全性と質の確保に責任を持って民間を指導する本市技術職員の増強や技術力の維持向上も、京都の未来のためには重要な投資である筈です。そして更には、WTO協定などに対する解釈基準や適用措置においても、例えば京都府のような分離的な考え方・方法などを、本市としてもしっかりと検討すべきではないかと考えます。
以上のことから、アベノミクス効果をいち早く私たち全市民が実感できるものとするような京都経済活性化のための市内中小企業者の受注拡大と、そしてその活用・育成による民間技術者のさらなる技術力の維持・向上について、どのように考えておられるのか、その具体的な取り組みについてお聞かせください。
同時に、市の技術職員・能力継承についても、近年の団塊世代の退職によるベテラン技術者の大幅減少や、長引いていた景気低迷または成熟型社会の到来等を背景とした新規建設量の減少にもよる伝承・育成の困難化という状況において、民間指導と、高度化・多様化するまちづくり行政の諸課題に対応できる本市としての体制の整備はどうなっているのか、中長期的な視点でお聞かせいただきたいと思います。
③続きまして、多発する重大・交通死亡事故対策についてお尋ねします。
昨年の祇園や亀岡での多数死傷者事故や名古屋・大阪・神戸などでの脱法ドラッグ摂取事故、または居眠り運転による高速道路での夜行バス事故や八幡での危険運転事故、中京区での飲酒による連続ひき逃げ事故等々、今もなお連日のように尊い命が奪われている自動車事故の惨状に対して、本市をはじめとする地方各都市では昨今、生活道路・通学路などのカラー舗装化や標識・コーン設置などの道路対策に巨額の費用が投じられ、また安全教育や啓発事業、交通安全条例などのソフト面でもさまざまな対策がとられています。そして国においては先頃、悪質な運転の厳罰化を盛り込んだ自動車運転死傷行為処罰法や改正道路交通法が成立するなど、法制面での対策も一層厳しいものとなりました。しかし、本来であれば、まず何よりも早急に対策が為されなければならないものは、自動車そのものの構造における安全対策ではないかということを、私は旧来より訴え続けてまいりました。確かに道路の色や条例、啓発・教育などの対策は、運転者の平常な意識状態、良識を有する一般のドライバーに対しては有効であります。しかし、先に述べました重大な事故事例のほとんどは、運転者の正常な意識や認知・判断・操作が欠如した状態で引き起こされたものばかりであり、ましてや法制面での厳罰化は、たとえば飲酒運転罰則が強化されて以来、この5年間全国統計で違反検挙数は減っているものの、飲酒ひき逃げ事故数が増加している、という大変残念な、しかし目を背けてはならない現実があります。
このような危険を一刻も早く減らし、一人でも多くの尊い人命を守るためにも、現在では一部車種にオプションとして取り付けられる、いわゆるセンサー作動の自動ブレーキ装置・衝突回避システムなどを、可能な限りの安全性・仕様設定において、今後生産販売される全車両への装備を義務化するべく、祇園や亀岡などの重大事故が起こった本市、または府と連携して、国や自動車工業会などに要望・申し入れの声を上げるべきと考えますが、いかがでしょう。市場経済原理に任せていつか将来的には全車標準装備となるかもしれませんが、ならないかもしれません。搭載による価格上昇の懸念も、大量生産によって案ずる程ではない筈です。本市の要望・声で、我が国の交通安全性をさらに進化・発展させ、安心安全なまちづくりに向けて一日でも早く、「一人でも多くの命」を守ることができる可能性が、たとえわずかにでもあるのならば、と考えますがいかがでしょう。市長のお考えをお聞かせ下さい。
④次に、再生可能エネルギー政策についてお聞きします。
先般9月市会の決算特別委員会におきましても私は、『小』風力発電を含む再生可能エネルギー政策全般と、そのための諸課題について総括質疑をさせていただきました。市としては「京都市エネルギー政策推進のための戦略」の策定に向けて現在、広く市民や事業者に対しパブリックコメントを実施している、ということでありますが、太陽光、風力、水力をはじめとする自然エネルギー政策は、もはや世界共通の重要課題であり、その普及は京都市域における自立分散型エネルギーの拡大にとっても非常に重要な柱の一つであります。
幸い京都には環境・エネルギー分野の企業も多く、各種研究機関や大学などとの連携の下、さまざまな技術革新に取り組まれていることも大きな強みであります。たとえば先に触れましたように、地元企業で伝統産業を営んできた技術を生かして、わずかな風さえあれば昼夜・季節を問わず相当量の発電ができる中型風力発電装置を研究開発し、特許を取得した上で普及に取り組んでおられるというようなところもあり、私は、今まであまり目が向けられていなかった、この「小風力」というものを集積したトータルエネルギーの総量は、冬場や夜間・悪天候などに弱い太陽光との組み合わせにもよって非常に大きな効率性を発揮するものと考えていますが、このように、京都のモノづくりは長年の伝統産業で培ったノウハウをもとに開発した新しい技術を応用して、時代の最先端となる産業を創出する「イノベーションの精神」が脈々と受け継がれているものであります。今回のエネルギー戦略にも、持続可能なエネルギー社会の原動力となる「グリーンイノベーションの創出」が大きな柱の一つとして示されていますが、これからはこのような課題に貢献する地元中小企業に対しても、こうした自社努力で開発したプロトタイプがその先の事業化や普及に繋がるようなきめ細かい行政としての支援が非常に重要なものとなってまいります。
以上のことから、今後は、環境・エネルギー関連産業の更なる振興を目指し、その分野の市内中小企業事業者に対する研究開発段階からの支援拡大に向けた環境づくりと多様な対策強化を全庁体制で行ってゆくべき、と考えますがいかがでしょうか。市の見解をお聞かせください。
⑤次に、少子・晩婚化対策について、お尋ねいたします。
現在、京都市の人口は約8年前より減少に転じ、更なる少子晩婚化が大きな問題になっております。2010年の国勢調査では、本市平均 初婚年齢 段階の未婚率は男性51.6%で政令指定都市ワースト1位、女性43.2%でワースト2位となっています。
平成22年2月定例会で先輩の津田大三議員が質問されていますが、この少子晩婚化対策としては「婚活」が有効な手段となっており、例えば京都府ではその対策のための総合的な事業が行われているところであります。京都市においても婚活支援事業を、仕事・家庭・社会貢献が調和できる「真のワーク・ライフ・バランス戦略」のリーディングプロジェクトと位置付け、結婚を望む市民の方々に出会いと交流の場を設ける「婚活支援事業」が実施され、その取組自体は評価するものでございます。が、これもスポットで年に数回、交流の場を提供しているだけにとどまっており、当日のフォローや結婚までの斡旋など踏み込んだ施策展開がなされておらず、十分な効果が期待できるものとはなっていません。
そこでこの対策について2点お聞きします。
1点目は婚活・結婚支援の京都市の窓口を創設し、婚活イベントだけにとどまらない効果的な事業の開催や、独身者だけでなく、両親向け・親子向けの結婚に関する講演・講習も開催してはいかがでしょうか。
2点目は、昨今の婚活疲れの方や独身者が気軽に参加できるような「出会いの日」や「良縁の日」といったようなものを、たとえば1月や11月などの中で1が多く並ぶ日などに制定するといったことを要望します。中国では11月11日は1人が並んでいるように見えることから「独身の日」とされ、2009年からインターネットやショッピングモールなどで毎年この日に行われているセールの総売上げが、昨年は31億ドル、今年は57億8000万ドルにまでのぼっているとの報道です。結婚すると、挙式、旅行、住居、家電など経済効果の即効性も非常に期待できるものと考えます。
⑥最後に地元南区、桂川と天神川合流地点についての要望でございます。
当該合流点である二つの川に挟まれた三角地帯には近年、上流域~五条~八条を経て延々と植樹されている見事な桜並木が続き、たいへん美しく風光明媚な場所となっています。昔はたいそう寂れた場所であったこの付近ですが、最近では多くの方々が訪れ、集い、憩い、そして運動や遊びに来る人々や子供たち、中・高生のクラブ活動や有名な社会人マラソンランナーの練習の方々なども増えています。ただ、ちょうどその合流先端付近から、小さな天神川を隔ててすぐ東側にある本市の吉祥院運動公園側へは渡橋化がなされておらず、皆、かなりの距離を川沿いに八条方面まであがってからまた何kmもさがって来るという長い迂回手段をとらねばなりません。
つきましては以下の目的に向け、このミッシング・リンク的な地点を繋いで渡れるようにすることができないものかと願います。一つは防災上の観点から、近年多発しているゲリラ豪雨や先般9月の台風18号のような状況にて、もしも人々が居る状態の、行き止まりのこの場所や上流で何かあった時、この三角州先端付近は完全に避難経路がなくなってしまいます。ましてや上流域亀岡のスタジアム建設予定で桂川下流の危険性も指摘される今後は特に、想定外をも想定しておくべきかと考えます。二つ目には、八条方面からよりもこの運動公園側からそこへ行きたいという希望の方がたいへん多く、高齢者や小さなお子さま連れの方、お身体の不自由な方など、どんな方にも行きやすく、そしてまた、途切れた迂回型コースではない周回・周遊型の運動や練習、移動を希望される方が非常に多いことであります。
この接続で、東側の京都市運動公園を中心に、北は嵐山・五条から南は塔の森グラウンドを経て伏見へと続くサイクリングロードと完全連結することによる、地域健康文化性の大きな向上も期待したいと考えます。
以上、ぜひご検討を願い要望といたしまして、私の代表質問を終わらせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
☆☆市長答弁を含む上記全録画または所属常任委員会(しまもと京司 平成25年度はまちづくり委員会)や予算・決算特別委員会での総括質疑、本会議での討論等々は「京都市会」のホームページより[インターネット録画中継]でご覧いただけます☆☆☆