市政活動報告・代表質問 他
再生可能エネルギー問題に関する欧州取組研究チームの一員として、議会報告・提言における私の総括的所見です。
①日本においても固定価格買い取り制度が昨年より導入されて電力会社には再生可能エネルギーの電力買い取りが義務付けられているが、現実的には民間の(太陽光発電等)事業者が電力会社所有の送電網に接続するためにはさまざまな障壁が設けられており、断念するケースが多々ある。欧州のように再生可能エネルギーの電気を優先的に送電網に接続する義務を公的に明確にして、だれでも公平に利用できるようにする必要がある。と同時に、欧州のような将来的再生可能エネルギーの導入目標を明確に定める必要があると思われる。
②政策や社会的計画の策定または実行においては、まずはじめに「できるか、できないか」を基準に考える(日本的あるいは誠実・慎重性重視)のではなく、「やらなければならないか、そうではないか」(欧州、とりわけドイツ的発想)を基準にして社会的合意形成をはかり、政策決定をする。そして決定された実行政策のための長期的数値目標を定め、たとえば「2050年までにここまでやる」と決めた後、そのための中期的スパン、たとえば10年毎の数値目標を逆算し、それらの各期間内における短期的な必要実行事項を具体的に策定、年次毎の目標達成に向けて取り組む。そうすることによって、(たとえば日本においてははじめに「できるか、できないか」と懸念論議されていたような事柄も)長期的目標年次よりも早期に(前倒しで)推進することが可能となるものであろう。
③再生可能エネルギー政策や環境問題への取組みだけに限ったことではないが、さまざまな市民的理解や住民協力を得るためのインセンティブ政策としては、「社会のため、地域や地球環境のため、または未来や人々のため」といった道義的公共心に働きかけることも大切であるかもしれないが、声を大にしてそればかりを告知・広報してもなかなか進まないのも現代社会の現実的な状況である。まず何よりも、人々の行動原理としての「この政策に対して自ら進んでそれを取り入れ、実行推進するその人自身が、誰よりもその恩恵や利益のフィードバックを受け、還元され、得をする」といった心理的モチベーションに働きかけるシステムや制度づくりが重要であり、この循環推進の中で社会全体または未来のための全市民的行動規範を形成すべきである。
(ただし、戦後民主主義教育の名の下に公的義務よりも個の権利ばかりが重視されてきた現代日本の弊害を是正すべきであることに異を唱えるものではまったくないことを念のために申し述べておく。)
④そして「再生可能エネルギーをいかに多く創り出すか」と同時に、あるいはそれ以上に、「いかに多くのエネルギーの消費総量を減らすか」を大前提とする必要がある。たとえば、消費される電力や化石燃料等において莫大な割合を占める冷暖房の使用エネルギーを大幅に削減するための建造物・住環境構造の社会的規制や基準、改修や建築における設計、そして熱量交換性能にすぐれた新建材(例:屋根や壁材の中に蝋原料を混合したドイツ製の断熱壁材のような)の研究・開発・販売促進補助政策をすべき。特に本市においては豊富な水資源や全市面積の75%を占める森林を有効に利用した林業材などを積極的に活用すべきであり、市庁舎や京都会館他の公共建造に際しても、これら象徴性の観点からも最大使用すべきである。 (平成25年5月)