KEIBOKUブログ(2023年7月)

 

 

梅雨らしくない日が続いてますね。

私の地元の関西地方で梅雨は、じめじめ、むしむしという感じだったのですが、

大学入学で上京した時、寒々とした東京の梅雨に驚いたものでした。

今や東京も熱帯地域になってしまったのでしょうか‥

それにしても暑いですね。

 

 

 

KEIBOKUでは毎月新しい課題に取り組んでいただくのですが、6月の高校、一般部の半紙課題は「艸長流翠碧」(草長く翠碧流る)でした。

最初の字「艸」は「草」のことです。

このまるで記号のような字「艸」の縦線を真っ直ぐに書くのが難しい〜!と何人もの方々が言われていて、

しかも一文字目なので、ここを突破しないと次に進めない‥

そして何とか真っ直ぐな線が引けても、今度は4文字目の「翠」も意外と難しく、最終画の縦線が斜めになってしまったり。

そこで「もう何枚失敗したか分からないほどなので、縦線を真っ直ぐ書く方法を教えてください!!」

とお願いされました。

 

「たくさん書いて書いて、練習してください。」と私は言ってしまうので、いつも皆さんの求めている答えにはならないようでして‥

 

そんな感じだからなのか、ご自分でYouTubeなどで検索して真っ直ぐ書ける方法を見つけてきてそれを実践されている方々もいらっしゃいます。

結構色々あるみたいで、またそれがそれぞれ見つけた方法が違ってたりして、なるほどなぁと興味深くお聞きしていました。

 

少しでも早く、良い方法が見つかって悩みが解消すれば気持ちがすっきりするし、

今は情報が溢れていてどんなことでも調べれば解決方法がサッサっといくつか出てくるので、ただたくさん書くなんていうのは皆さんが一番やりたくない方法かもしれませんね。

 

大人の方に限らずお子様の保護者の方からも「上手に書けるようにコツを教えてください。」と依頼されることもあるのですが、

「コツを教えてもらっても、それがすぐに使いこなせるわけではないので、やっぱり時間はかかります。」とお応えしてがっかりさせてしまうこともあります。

 

「結果は出すものではなくて出るもの」という考え方がありますが、

私はこれは書道にもあてはまると思っています。

結果を出そうと思うと色々な手段や方法を考えますが、

自然と結果が出るためにはそこまでのプロセスを一つ一つ積み重ねていくしかありません。

取り急ぎで出した結果はその時限りのもので、それから応用がきくのかどうかも分かりませんが、積み重ねから出てきた結果は状況が違っても使うことが出来るし、簡単に忘れてしまうこともありません。

 

野球の千本ノックではないですが、たった一本の線を引くための千本書き⁈ぐらいの積み重ねがないとなかなか必要な時に必要な線が書けるようにはならないということですね。

残念ながら‥

 

指導者としてはその時その人に一番合うアドバイスをしていきたいと思いますが、

基本はやはりたくさん書くことが大切で、

それを楽しみながら続けていくことができれば身につくスピードも上がります。

 

なのでお子様の場合はいっぱいほめられながらたくさん書くことが、

大人の方の場合は「効率良く」を諦めて、無心になって⁈ひたすら書くことが、

上達への近道なのではないかなと思います。

 

それに、「難しい、失敗するかも」と思って書くと上手く書けないし、

たくさん書くことで「あんなに書いたのだから大丈夫、上手くいく」というマインドを持てるようにもなれば成功する確率は高くなりますよ。

またまた精神論的なお話になってしまいました、すみません。

 

 

 

余談になりますが、今月の中学1年生の課題が「真剣な思い」だったのですが、

その作品が本当にそのお題の通り真剣な思いが溢れる作品ばかりになっていました。

中学生になって少しずつ意識が変わる頃、

書きながらその言葉がみんなの意識に入っていくのを感じてとても嬉しかったです。

 

 

何事も「真剣な思い」で向き合うことが大切だなぁとつくづく思った6月でした。

 

これからいよいよ夏本番になりますね。

暑さに負けないように気をつけて過ごしましょうね。

今月もまた教室でお待ちしてます!

 

 

2023.7.1

平賀敬子

 

 

 

 


   

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