KEIBOKUブログ(2021年11月)
爽やかな秋の日が続いてますね。
年末に関する話題もだんだん増えてきて、今年もももうすぐ終わりだなぁと実感するようになってきました。
KEIBOKUでは一般部、学生部ともに昇格試験が終わり忙しさもひと段落です。
どちらも結果が気になるところですが、今しばらくお待ちくださいね。
昇格試験の間は普段とは少し違う緊張感があり、皆さんのモチベーションが高まっているのを感じていました。
そして一区切りついた後、このモチベーションをいかに維持していくか‥
たまたま先月、保護者の方々と子供たちのモチベーションの維持についてお話しする機会がありました。
やはり級や段が上がることが、目標がはっきり見えて達成感があるので、一番モチベーションが上がると考えられる方が多いようでした。
ただ書道の場合、本人が頑張ったからといってどんどん昇格する訳ではありません。
上がらない時に「合格出来なかった‥」と落ち込まれる方もいらっしゃるのですが、
級や段が上がらなかったから不合格とか、毎月毎月を勝負のように考えて、どこが悪かったのか?なぜ上がらなかったのか‥などと悩む必要は全くありません。
ご入会された時に保護者の方には、「級や段は上がった時には一緒に喜んで、上がらなかった時はスルーしてください」とお願いしています。
保護者の方が毎回心配されていると、それが子供へのプレッシャーとなることもあるからです。
教室で見ていると子供たちは意外と、「今日は右はらいが上手くできた!」とか、「ハネが成功した」とか毎回のお稽古の中で、目の前の課題に向き合い、克服出来たことでモチベーションをあげていたりします。
それぞれ得意な字形もあったりするので、
その時上手くいったからといって、また次も上手くいくかといったらそうでもないところが書道の難しいところなのですが、
でもいつも筆を持っている子供たちはそれも分かっているようで、一喜一憂することもなく、淡々とお稽古をこなしています。
そして級や段が上がれば喜んでいるし、上がっていなくても悔しがるというよりは、またいつもの課題に向かう‥という繰り返しです。
だからいかにモチベーションを維持させるか‥と大人が考える必要もあまりないのかもしれません。
というか、いちいち結果を気にして動揺しているのは大人の方なのかなという感じもしています。
先日、「書道生活」の昇格試験で大学生の因間さんが師範試験に合格!という嬉しいお知らせをいただきました。
一般部の師範というのは、子供たちの特待生とは全く別物で、基準としては謙慎書道展での入賞、読売書法展での入選レベルの実力が必要となります。
紙の大きさも48㎝×170㎝サイズの臨書作品1点と、何と2m以上の大きさ、61㎝×242㎝の創作作品1点を提出しなければなりません。
半年ほどの間、そのサイズの作品を書き続けた彼女は、今日が最後という日も諦めずに更に良いものを仕上げようと時間ギリギリまで努力していました。
普通の人よりはるかに忙しい学生生活を送っているのに、自宅でも書き、教室でも3階に籠って毎週金曜日は5〜6時間も作品と格闘。
子供たちがこっそり様子を見に行ってびっくりしたり、1階でお稽古中だった人たちは彼女が書いたものを持って降りてくる度に作品の迫力に圧倒されていました。
8月に開催された読売書法展にも出品して見事入選した後もそれでよしとせず、さらに書き込むこと3ヶ月。
その気合いというか気迫は本当にすごくて、私も
何とか合格してほしい!と祈る気持ちで作品を提出しました。
そして嬉しい合格のお知らせを伝えた後、
「あのモチベーションはいったいどこからきてたの??」と本人に尋ねたのですが、
「いくら書いても正解がないものなので、完成しないという焦りもあったけど、結局は書道が好きだから最後まで粘って書けました。」ということでした。
大きなエネルギーを動かす力の源は「好き」という気持ちなのですね。
つまり好きなことであればモチベーションは維持できるのだと思います。
小1から書道を習い始め、大学在学中に一般部の師範試験に合格された因間さん。
生半可な気持ちでは到達できないことですが、書いている本人はきっと苦しいというより、楽しいという思いの方が強かったのではないかなぁと感じています。
その証拠に彼女の作品はパワフル元気パワーが溢れていて、教室に貼っている時にはみんながまるでご利益のある古木のように作品に触ったり、眺めたりして、そこから発せられる「気」をもらっていました。
これから彼女を目標にして書道を続けてくれる子供たちがたくさん出てくると思います。
書道のたのしさを知って、好きになってもらえるように私たちもあの手この手で努力していきたいと思います。
保護者の皆様はどうかお子様が好きでたのしそうに通っているのかをいつも見ていてくださいね。
好きでないことでも頑張らなければならないということもあるのかもしれませんが、
書道に関しては好きだから‥がなければやらない方がいいかも‥と思います(^^;
2021.11.1
平賀敬子