KEIBOKUブログ(2020年11月)

 

 

気持ちのいい秋の日が続いています。
去年の今ごろは台風で大変でしたが、今年は穏やかですね。
気がつけば色々あった2020年もあと2か月となりました‥
もうこれ以上何事もなく、このまま平和に一年を終えたいなぁと思う今日この頃です。

 

さて、KEIBOKUの10月は大忙しでした。
一般部の方々の「書道生活」昇格試験、子供たちの「書聖」昇格試験、どちらも無事に終わり、作品を提出することができました。

子供たちの昇格試験は、特にプレッシャーなどを感じることなく普段の実力を出してほしいので、いつも通りの環境の中で練習した中から作品を選んでいますが、一般部の方々はそうはいきません。


皆さん暑い暑い8月から2、3か月かけて準備をしてこられました。
半紙課題は楷書、行書、草書。半切課題も一枚かニ枚を提出します。
KEIBOKUの皆さんはとても真面目な方が多くて普段からしっかり練習されているのですが、それでも一年に一度しかない昇格試験、しかも今年は新型コロナの影響で通常のお稽古が出来ない時期が3か月もあったので、不安な中でのスタートとなりました。

思うように作品が書けなくて苦心されていた方や、中にはこの練習期間中に怪我をされたり、ご事情があって書く時間を思うように取れなくなってしまった方もいらっしゃったり、本当に山あり谷ありでした。

そんな色々なことを乗り越えながら‥
特に半切作品に関して、最初は手本通りに真似て書かれていた作品にだんだん気合いがこもってきて、そしてそれぞれの個性が紙面に現れるようになってきて‥
最後の方は、私から出来るアドバイスは「自分の作品を作ってください。」ということだけになってきてしまいました。


はたしてそんな指導でよかったのか反省するところもありますが‥
もう長年やってこられた方々には「取ってつけたようなテクニックを使ってとりあえずまとめました」的な間に合わせ感ある作品や、「先生のアドバイスを全てやりましたが次はどうすればよいでしょうか?」的な受身作品ではなくて‥(^^;
悩みながら書き込んで、訳が分からなくなりながらも自分の力で作品全体を仕上げてほしいと思っているのでそんなアドバイスとなってしまいました。


紙もどんどん使ってたくさん書くことをすすめていましたので、最終的には、同じ手本があって、同じ筆で同じ紙に書いたにもかかわらず、出来上がりはそれぞれが全然違ったものになっていたと思います。
とても品のある作品、明るい作品、調和がとれた作品、陰影のある作品、力強い作品、趣きのある作品、スタイリッシュな作品、動きがある作品、どれも一生懸命な気持ちがこもっている作品となりました。
私も作品完成までの道のりを一緒に経験することができてとても楽しかったですし、逆にたくさん勉強させていただきました。

 

例年ならこの時期忙しくてなかなか時間がない大学生も、今年は授業がオンラインなので、自分で時間を調整することができたようで、随分頑張りましたね。
教室でジャージに着替えて何時間も書き込む人、毎週自宅で書いて作品を持って来る人など、みんなそれぞれ目標を持って、何度ダメ出しをされても最後まで書き切ったことは素晴らしいと思います。
大学生がこんなに熱心にお稽古事に取り組むなんてあまりないと思いますが、みんなすごいエネルギーを発揮していたのでこの経験を今後何かに活かしてもらえたらいいなと思います。

 

今回の昇格試験のように、ただ書くだけではなくて自分の作品を作ることは表現力を磨くことになります。
音楽や絵やダンスなど表現する方法は他にも色々ありますが、実は書道も、ただお手本を見て真似るだけではなくて、つきつめると自己表現の一つです。


KEIBOKUの皆さんは基礎基本を日頃からしっかり学ばれていて、その上で技術を磨いているので、昇格試験のような機会には是非自分を表現することをたのしんでもらいたいです。

自分を表現するというのは簡単なことではなくて、基本も出来ていないのに自由気ままに表現してもただの自己満足となってしまいそうですが‥
それはそれで楽しいとは思いますが、もっともっと努力して自分を追い込んで作り上げることで、本当の自分を表現し、気持ちも解放することが出来るのではないかなと思います。
今このような閉塞感がある生活をしている時は特に、こんなことが大切なような気がしています。

 

毎年作品が仕上がって全て揃うと、そこにこもったパワーのようなものに圧倒されるのですが、
今回は皆さんの作品を無事出品してほっとした頃、昇格試験の結果を受け取る夢を見ました。
終わっても何だかまだ気になっていたんですね(^^;
でも出品された方が「結果はいいんです。一生懸命頑張りましたから。」と言ってくださったので私も安心して結果を待ちたいと思います。

 


そしてこれから、一般部の中で希望された方々の謙慎展へ向けての練習が始まります。
展覧会なので、昇格試験よりさらなるプレッシャーがあるかもしれませんが‥

実際頑張るということは結構しんどいことですし、重荷を抱えるような気持ちになります。
頑張らない方がきっとらくなんだと思いますが、
そんな負荷がかかったような時間も誰かと一緒に励まし合いながらだとあっという間に過ぎていきますし、後で振り返った時にはそれがとても充実していた時間だったと気づきます。
私もそうですが、そんな時間の積み重ねが自信になって自分を強くしてくれているような気がしています。
たのしみながら、また一緒に頑張りましょうね!

 


だんだん寒くなり、体調管理が難しい時期になってきましたが、美味しいものを食べて、身体を動かし、そして書道に励み、風邪などひかないように毎日を元気に過ごしていきましょう!!

 

2020.11.1
平賀敬子

 

 


   

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