KEIBOKUブログ(2020年7月)

 


あっという間に2020年も半分が過ぎましたね。

3月、4月、5月は今思えば何だか不思議な3ヶ月でしたが、6月のKEIBOKUは、すっかり落ち着きを取り戻した感じで充実したお稽古の日々を送ることができました。


置かれている状況がよく分からず茫然としていた3月。
そしていよいよこれは大変なことになってしまったと気づき、もう元には戻れないと悲観的な気持ちになった4月。
この時には、これから今の場所で教室を続けることは無理なのではないだろうか‥とか、きっと生徒の皆さんは書道から離れていくだろう‥などというマイナスな考えで頭がいっぱいになり、一人でとても寂しい気持ちになっていました。
2月末から皆さんにお渡しする毛筆手本を一枚一枚書いたり、硬筆やペン字の手本、昇格試験の手本などを書いてコピーしたりして準備したものが、3月、4月、5月分と次々無駄になってしまい、その虚しさで落ち込んだり‥
私は書道教室にとって手本が商品だと思っていて、皆さんからいただくお月謝はこの手本代だと考えながらいつも必死で準備しているので、この手本が無駄になるというのは、例えば飲食店を経営されてる方だとすると、用意した食材や調理された料理が全て無駄になってしまうのと多分同じような気持ち‥
辛いし、虚しいし、この準備を「次は大丈夫かもしれない」と思いながら3か月繰り返していると、もう気持ちが萎えてしまうというか、書く気力もなくなりそうになる‥


そんな想像も出来なかったことを経験した3ヶ月間のあと、自粛生活は解除になりやっと再スタートすることができました。でも、もう今までのようにみんなで集まって大人数で楽しくお稽古をするということは出来なくなり、たくさんの制約が出来てしまいました。

学校の予定や他の習い事の時間など、不規則なことばかりの中で、KEIBOKUに来ていただく曜日や時間を決めていただいたり、振替も予約が必要になったりと、ご迷惑をおかけすることが多かったのですが、生徒の皆様と保護者の皆様が本当に色々と協力してくださったおかげで、この1ヶ月間でもしかしたら以前のKEIBOKUより進化したKEIBOKUになったかも‥と思えるような状態になってきました。


6月は各曜日4回ずつのお稽古となりましたが、ほとんど欠席される方がなく、毎回しっかり通っていただきました。
なぜか今まで休みがちだった人たちまで、ほとんど皆勤賞!
そして時間が固定されたことで途中の出入りもなく、少人数なので添削で待つこともなく、かなり集中して取り組んでいる人が多かったように思います。
みんな久しぶりに筆を持つのに、もうこの1ヶ月で完全に取り戻した感じです。

LINE通信の方も保護者の方々に教室に来ていただきながらご自宅で仕上げをしてもらい、予想以上の素晴らしい作品が出揃いました。
今はみんなの作品をまとめて出品できることの有り難さをつくづく感じて、もう感無量‥
本当に本当にありがとうございました。

 

 

私は教室の仕事とは別に、色々な書道の展覧会に出品していて、毎月締め切りに追われるような生活をしてきたのですが、今回はその展覧会も軒並み中止となってしまい、いつもなら作品制作に忙しく一番充実した時期のはずが‥目標もなくなり、休んでいる教室のことで頭がいっぱいで、自分の作品のことを考える余裕もなくただ時間が過ぎていて、ふと「このまま教室の仕事だけになれば色々な面で楽になるかも‥」と考えてしまうこともありましたが‥
6月になり教室を再開し、生徒の皆さんが書道に取り組まれる姿や書かれた作品を見た時、自分がここで勉強をやめてしまったらきっと手本を書くことも、指導することも自信を持ってできなくなる‥とひしひし感じました。


もちろん展覧会に出品するだけが勉強ではなく、他にも勉強の方法は色々ありますが、尊敬する先生方からのご指導を受け、先輩、後輩、仲間から刺激を受け、時間もお金もかけて、こんなに毎回必死で取り組むという場所は他にはなく‥真剣に挑戦できる最高の学びの場に入れていただいているということが有り難いことなんだとあらためて気づくことができました。


教室も自分が学んでいる場も、今まで当たり前のようにいた場所は当たり前ではなくて、一緒に共有している瞬間は奇跡なのかも‥
だからこそ今を大切にして、目の前のことに集中していこうとあらためて思った6月でした。


リモートやAIの時代が来たと言われていて「書道」も果たしてこれからどのようになっていくのか分かりませんが、手書きで表現することの楽しさはどんな時代も変わらないと思いますし、もしかしたらそれが、ますます貴重なことになっていくかももしれません。


学校もすっかりオンライン授業が定着してきて、中、高生や大学生の中には「3ヶ月間、筆記用具を使ってません〜」と言う人もいたりしてびっくりしましたが、そんな人たちも久しぶりの書道をとても楽しんでいました。きっと筆で書くことが気持ちよかったのだと思います。
人工的な文字ではなく、見る人を癒やすような、個性と表現力が溢れた素敵な文字が書けるようになるまで、まだまだみんなで学んでいきましょうね。


これからのKEIBOKUは静かに集中をたのしみ、もっともっと書道が好きになる場所になれたらいいなと思っています。

今月もお待ちしてますね!!


2020.7.1

 

 


   

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