KEIBOKUブログ(2020年5月)

 
新緑が眩しい季節になりましたね。
3月から続く自粛生活のおかげで、いつもはさっと過ぎ去るような桜のある風景を、今年は自宅の窓から堪能することができました。
咲き始めから満開へ、そこへ季節はずれの雪が降ってきたりして幻想的な桜景色も見ることができ、そして今は桜の葉の緑が目にしみるほどきれいです。


教室の方は2か月もお休みが続いており、皆様には大変ご迷惑をおかけしております。
2月下旬からのめまぐるしい状況の変化に対応しながら、はたしてよい判断が出来たのかどうか‥
教室内の業務を停止してしまったので、競書誌への出品も出来なかったり、昇格試験も受けれなかったりと残念な思いでいらっしゃる方も多いと思います。


教室の方は稼働していなくても、何かできることはないかと考えまして、急遽、水書き用紙を取り寄せることにして学生部の皆さんにお渡しさせていただきました。
ご自宅で墨を使うことは、特に低学年のお子様がいらっしゃるご家庭では難しいかなと思い、それでも筆を持つ感覚は忘れてほしくなかったので、水書き用紙にしました。


お子様が書かれた水書き作品の写真を撮ってLINEなどで送っていただき、それを私が添削してまた送信するというやり取りをこの1か月間続けてきました。
水書きなのですぐ乾いてしまって、写真を撮るのもタイミングが難しくて大変だったと思いますが、ご協力いただいた保護者の皆様、ありがとうございました。

 

 

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iPhoneの編集機能を初めて使い、たどたどしい作業で始めた添削でしたが、やり始めてみるとこれが意外とたのしく、皆さんからの作品が送られてくるのを毎日心待ちにしていました。


1ヶ月で約300枚の作品に丸つけをしたり、添削したりしましたが、写真からでも皆さんが一生懸命書いている様子がひしひしと伝わってきました。


直接会うことは出来なくても、いつものようにみんなの作品を見て丸をつけたりアドバイスしたりすることができたのは私にとってとても楽しい時間でした。送ってくださった皆さん、ありがとうございました。


子供たちの他にも私が元気づけられたのは、一般部で通っていただいている武舎麗子さんです。
前にもご紹介していますが、現在80代後半‥で、現役で洋裁のお仕事をされながら、ご家族で書道教室REIBOKU(レイボク)を始められた方です。


こんな状況なのできっとお家でゆっくりされているのだろうなぁと思っていたのですが‥
全然違いました。
洋裁のお仕事はマスクの需要が急に増え、大忙しになってフル稼働。その上、毎月の書道課題も半紙の全ての書体と、大きい半切の課題も全て書かれていていました。
もちろん今は教室にはいらっしゃってないので、ご本人にはお会いしていませんが、その力強くいきいきした作品を見て、お元気でバリバリ活動されている姿が目に浮かび感動してしまいました。


私も今出来ることを集中してやりながら、もっと強く生きていかなくちゃと武舎さんに教えてもらったような気がしました。
きっとご本人は普通にしていらっしゃるのだと思いますが、それでもまわりの人達が励まされるってすごいことですよね。本当に有り難い存在です。

 

書くことはエネルギーなので、書かれた作品からは書いた人の気を感じることができます。
たのしく取り組んで書いた作品は見る人の気持ちもたのしくさせてくれます。
お休みの間もそんなたくさんの気が入った作品を見ることができてとても嬉しかったです。

 

そして、先月もお話ししましたが3月28日開催予定だった「第3回KEIBOKU書道作品展inリヴァプール」。残念ながら延期になってしまいましたが、会場のワールド・ミュージアム・リヴァプールでは開催中だった展覧会「Drawing on Nature: Taki Katei’s Japan 」のバーチャル・ツアーが制作され公開されました。

https://www.liverpoolmuseums.org.uk/drawing-nature-taki-kateis-japan-virtual-tour

 

是非ご覧いただきたいのですが、家に居ながらにして、会場内を見てまわることが出来、ボタンをクリックすると説明の音声や画像も楽しむことができます。(この中で、私が昨年リヴァプールで協力させていただいたビデオも流れています。)


イベントが中止になった後、ミュージアムの担当レイラさんから「博物館は休館になったけど日本からでも楽しんでもらえるバーチャル・ツアーを作っているからね!」という連絡をもらっていたのでたのしみに待っていたのですが、こんなに凄い仕掛け⁈のものになっているとは‥びっくりです。


実際に行って、観て、参加して‥というのは叶いませんでしたが、そのかわりに素敵な贈り物をいただいたようでとても嬉しかったです。

 

何もしていないようで色々あった1ヶ月‥
いつもの馴染んだ日常ではありませんでしたが、普段とは違うことを考えたり、やってみたり‥
特に年末の大掃除でもやったことないくらい、気合を入れて毎日掃除をしていたので、今の気分はまるで年越しです。


新年を迎えるような爽やかな気持ちで、また教室を再開して、皆さんに会えることを祈るばかりです。


2020.5.1

 

 

 


   

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