コラム・豆知識
旅立ちの時
動物たちがとても長けていることのひとつに、
死をとてもシンプルに捉えている、ということがあります。
“もう使いづらくなった体を離れるだけのこと”
“今回果たすべき役割を終えたから”
伝えてくれるイメージや言葉はそれぞれの個性が表れるものの、
実にあっさりしていて、死を過剰に怖れたりしない方々がほとんどです。
あるワンちゃんは、ぼくにとっての死ってね…と話し出し、
ロボットのような姿になったかと思うと、それがパカっと割れて、
中から光輝く姿でアトムのようなポーズで軽々と飛び出して見せてくれました。
何の目的のために、どこからやって来て、どこへ帰るのか、
すんなりと“知って”いる彼らならでは。
(もちろん肉体を持った生物として、死を目の前にし、逃れようとしたり
暴れたりする基本的生存本能を示すことは当然です。
でなければ、形としての生物はとっくに死に絶えてしまっているでしょう。
ここでのお話しは、そういう事ではなく、もっと内面の意識のことです)
もちろん人間も深い意識では分かっているのですが、
あまりにも「死=敗北、お終い、悲惨」という社会的通念が強く、
しかも散々「天国と地獄」的な考えを詰め込まれているわけですから、
それで怖れを抱くなといっても無理な話です。ワタシだって怖いです。
でも少なくとも、いつか愛する動物の死に向き合わざるを得ない日が来るなら、
私たちの死のイメージを彼らに重ねて自らの苦しみを深めるよりも、
軽々・晴れ晴れした彼らの旅立ちを、ありったけのありがとうと
称賛の気持ちを込めてお見送りすることができれば、と思わずにいられません。