コラム・豆知識
「動物は人の言葉を理解するんでしょ?」
「ええ、もちろん!」
「じゃあどうして分かっているのに、こっちの言うこと、
ちゃんと聞いてくれないの?」
ええ、ごもっとも! さて、どうしてでしょうねぇ・・・
まず、ぜひ胸に手を当てて、ご自身のことを振り返って
みてください。
親や配偶者、上司や友人などから
「あなたはこうしなさい、それはするな」といわれて、
「はい!分かりました!」とすぐ実行できますか???
「え?なんで?どうしてそんなこと言うの?」
「私は○○のつもりでやってるのに」、果ては、
「イヤだもん、私には私のやり方があって、変えないもん」って、
思ってしまったりしませんか?
どうしてダメなのか、その理由の説明もなく、感情的に頭ごなしに、
(時に手まで出てきて!)ダメって言われたとしたら。。。
中には、そんなのちゃんと教えてもらってないよ!
という子もいるのです。
また、背景や理由が分かったとしても、
単に他のやり方を知らなかったり、どうしてほしいのかの
指示があいまいで分からないこともあるのです。
“つい癖で”またやっちゃった><、ダメって分かってるのに…
怒らないでゆっくり暖かい目でもう少し見守ってよー、
もう少し時間をちょうだいよ、がんばってるんだから…
と思うこと、私たちだってありますよね?
たとえ見当違いだったとしても、まず、その頑張りを
認めてあげる、労をねぎらう、というだけでもしてみませんか?
もちろん、コミュニケーションで双方の誤解が解けて、
問題と思っていた行動が明らかに減ったり、気が付いたら、
最近しなくなってたね、ということは十分あることです。
コミュニケーションは魔法ではありません。
一方的に相手を説き伏せたり、降参させるものでもありません。
あくまで関係を見直すきっかけ、入り口、と捉えていただければ
嬉しいです。
そして、これは大事です。
動物さんの困った行動というのは、原因・理由が
複数絡み合ってしまっていることがとっても多いです。
そして必ず「訴えたいこと・聞いて欲しいこと・変えて欲しいこと・
気付いて欲しいこと」が含まれています。
その強い気持ちが形になって現れたものが、単に人間の生活から
見たら“迷惑”の範疇になってしまうのですが…
愛する飼い主さんに、わざと迷惑をかけてやろう、
イジワルをしてやろう、という考えからそのような行動を
起こしている動物さんには、断じて、お目にかかったことは
ありません。
“迷惑”の範疇に入ってしまうくらい過激になって現れて
しまっているものは、何も動物さんだけが悪い子なのではなくて、
知らず知らずに共同作業で積み重ねてしまってきている
ことがほとんどだと思ってください。
場合によっては、保護者さんの隠れた気持ちを、
がんばって代弁していることすらあるのです。
ですので、コミュニケータを介して「やめて」と伝えても、
すぐに解消するものではない場合もあります。
もちろん、なーんだそういうことだったの!と理由が分かって
うそのように解消、ということもまれにはありますが、
コミュニケーションは魔法ではありません。
ましてや言いくるめるテクニックでもありません。
動物さんに対して、あなたのモンダイ、とするのではなく、
人間側も自分自身の中をよく振り返り、変えるべきところを
変えてゆく勇気と責任があります。
また、外的に環境を整えたり、行動変えたり、といった
努力も必要です。
時間をかけて、根気よく。
愛する動物さんとのより良い関係・暮らしのために、
明るい希望を持って取り組んでゆきましょう。
そのためのお手伝いであればコミュニケータができる範囲で
喜んでお手伝いさせて頂きます。
改善されるべき点に気付き、真剣に取り組むことによって、
生活をより快適にできたり、自分を振り返る機会を得ることが
できれば、それはむしろラッキーなことではないでしょうか。
それを考えると、その最初のきっかけをくれた動物さんの行動は
果たして“モンダイ”でしょうか?
それどころか、宝の山の上に立つ旗!くらいに、
ありがたいことではないかしら?
だって、そうでもしないと、ボクのママ、
分かってくれないかもしれないもん!
ぼく、悪者を買って出ても、ママに気づいて欲しいんだもん!
なんていう動物さんの必死な声が聞こえてきそうです。
コミュニケータとしてご依頼を受けている身としては、
どんな“モンダイ”もコミュニケーションで何とかなれば、
という思いも無きにしも非ず、なのですが・・・
わんちゃんの場合に特に多いと感じるのですが、
コミュニケーションの前にまず最低限のしつけを!
と感じることも正直多いです。
たとえ理由があって吠えていたとしても、公共の場に連れ出す
機会の多いわんちゃんには、しても大丈夫なこと、と、
して欲しくないこと、の区別をつける必要があります。
それはワンちゃん側に、あなたがちゃんとしなさい、ではなくて、
保護者さん側に明確な態度で臨んで頂きたいことです。
なにも、主従関係を徹底させよ!人間がご主人様で犬は下!
などということを言いたいのではありません。
この人間社会の中で生きていく以上、ダメなものはだめ、
という線が引けないと、回りまわって、その子が“ダメ”の
レッテルを貼られてしまう、という、一番うれしくないところに
着地してしまう可能性につながります。
ほんとうはしっかりできない人側の課題なのですけれど。
コミュニケーションはあくまでも、
基本的なしつけができていることが前提で、
保護者さんとワンちゃんの信頼関係が築けている上で
初めて理解の力となりうるものです。
ですから、トレーニングやしつけ教室に通っていらっしゃる方は
どうぞこのまま根気良く続けてください。
この子がやりたくないっていってるからやめますぅ…
というのは最大のNGです!
なかなか思ったように良くならない、すぐに結果がでないから
もうやめたい、のはこちら側ではないですか?
人間側の忍耐のなさの言い訳として、利用しないでくださいね!
やだって言えばなんでも思い通りになる!と学ばせてしまったら、
それこそわんちゃんの思うツボ。
対等な関係にすらなりません。
それは果たして理想の関係でしょうか?
どこに連れて行ってもお行儀良く振舞えて、
だれからも“良い子ね!”と言われるような関係が築けたら、
それこそワタシが一番うれしい!はず。
そのような基本線があった上でのコミュニケーションとなれば、
それこそ、さらに絆が深まるものになっていくはずです。
コミュニケータはトレーニングの専門家ではありません。
必要があれば、素晴らしいドッグトレーナさんを
紹介いたします。
(東京・神奈川近郊になりますが、遠方でも本当に必要な場合は
そのトレーナさんのネットワークにも働きかけてもらいますので、
一緒に探して行きましょう!)