作品集
六角香合
真竹六角香合 真竹は最も一般的な竹で身近な素材です、竹の持つ丸みがそのまま柔らかな形を創りだします。手にされる方の刻まれる歴史とともに深みのある渋いあめ色へと変化して参ります。煤竹六角香合 煤竹は長い年月(100年以上)家屋の(茅葺)下支えとして使われ役目を終えて、建て替えの時に 廃材にせず、新たなる命を以ってさらに永い年月を愛でて戴けるようにとの想いで創りました。
この作品は、私が初めて作品としての意識を以って作った物で私自身愛着のある品です。そのときの物は真竹で作りました、以来定番として制作して居ります。竹種も煤竹を加え、大きさも2種類になりました。是非、手のひらにおいて観て下さい、ふっくらと柔らかな趣にきっと魅了されることと存じます。
厨子棚 「 豊 饒 」
第39回新協展(1996)作品
豊かな大地、悠久の時の流れを、豊かな曲線と天然自然素材の虎斑竹が生み出す色模様のグラデーションに重ねてみました。スペインが誇るガウディの自由な発想、曲線の魅力・・ガウディの残した建造物群を見るにつけ、曲線を活かした自身の作品を生み出せないものか、疼き続けて数年・・まとめ上げた作品がこの「豊饒」です..
ー 猩 々 緋 庫 裏 棚 -
第39回新協展(1988)作品
作品制作について この作品は、題名にした「猩猩緋」と言う色を色辞典で見、その謂れを知った時から、この色を作品にと構想したものです。その意味するところは(猩猩の血を取って染めた色という)黒みを帯びた鮮やかな深紅色。その強烈な印象を私なりに形にしたものです。私の色への印象が女性の情念につながり、そこからご婦人の使う小物箪笥的な棚になりました。竹ヒゴを市松模様に貼り込み、それに色を数度塗り拭きを繰り返して下地の竹が少しのぞく様に仕上げました。長い年月使い込むほどに下地の竹が擦りだされ、表面の色合いがムラになり、より深みが増すことを想定して居ります。
(※猩猩:中国で想像上の霊獣怪獣とも、オランウータンとも)
「 煤竹縁象嵌厨子 」
第46回新協展(2003)東京都知事賞受賞作品
- 煤 竹 縁 象 嵌 厨 子 棚 -
(高さ:80㎝ 横幅:60㎝ 奥行:40㎝)[個人所蔵品]
風雪を耐えた煤竹の美しさと貴重性を引き出すため多くを用いず、本体を木造りとして縁に煤竹を使い、依代を納める厨子とした作品です。
※煤竹:100年以上の年月に渡り茅葺家屋の下支えとして役目を終え、廃材となるものが新たな役割を持ち、さらなる命の輝きを見せてくれます