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野﨑康史司法書士事務所

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2024-08-10 16:02:00

相続財産清算人について

成年後見業務をしているなかで、担当をしていた被後見人が亡くなりました。相続人調査をしたところ、相続人がいないことが判明し、管理財産を引き継ぐことができない状況となったので、相続財産清算人の申立てをしました。このようなことは今後も予想されるため、自身の備忘録を兼ねて記事にしてみたいと思います。

1.相続財産清算人とは

民法は「相続人があることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする」と定めています(民法951条)。相続財産清算人はその相続財産法人を代表し、管理する者です。相続財産清算人は、相続人を探し出し、見つからなければ清算手続を行い、最終的に残った財産を国庫に帰属させる手続を行います。相続財産清算人について法律上、特別の資格が必要との規定はありません。被相続人との関係や利害関係の有無などを考慮して、相続財産を清算するのに最も適任と認められる人が選ばれます。一般的には家庭裁判所が地域の弁護士や司法書士などを選任することが多いようです。

2.相続財産清算人が選任されるケース

①戸籍上相続人がいないことが判明した(している)場合

「相続人のあることが明らかでないとき」には、相続人がいるかどうかわからない場合に加えて、戸籍上相続人はいないことがわかっている場合も含まれます。このような場合には、実質的に遺産を管理する人がいなくなり、遺産が失われる恐れがあるので、相続人を探し、相続人の存在が確認できなければ相続債務の弁済などの清算を行ったうえで、最終的に残った遺産を国庫へと帰属させるために、相続財産清算人が選任されるのです。

②相続放棄により相続人が誰もいなくなった場合

相続人が相続放棄をすると、その者は当初から相続人ではなかったものとみなされます(民法939条)。

3.相続財産清算人の選任申立

相続財産清算人は、「利害関係人」または「検察官」の請求によって、家庭裁判所が選任します(民法952条1項)。申立先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。利害関係人とは、相続財産について利害関係を持つ者をいい、具体的には以下のような人たちが該当します。

  • 被相続人の債権者、債務者
  • 特定遺贈を受けた人
  • 特別縁故者 など

*後見人が利害関係人と言えるのかは微妙なところですが、財産を引き継ぐ先がない以上、仕方のないこととなり、申立は受理されました。

 4.相続財産清算人の選任申立に必要な書類

  • 選任申立書
  • 被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の父母の出生から死亡までの全ての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 被相続人の財産を証明する資料(不動産登記事項証明書や預貯金・有価証券の残高証明書など)
  • 被相続人と申立人の関係を証明する資料
  • 候補者の住民票または戸籍附票

*被相続人の配偶者や子ども(孫)、祖父母、兄弟(甥・姪)など、相続人になる人で、既に亡くなっている人がいれば、その人の出生から死亡までの全ての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本も必要です。

5.申立人が負担すべき費用

相続財産清算人選任の申立人が負担すべき費用は、原則として以下のとおりです。*家裁によって多少異なるようです。

  • 収入印紙:800円
  • 連絡用の郵便切手:数千円程度
  • 官報公告料:5075円(裁判所の指示の後)

 また、相続放棄をした場合などに、相続財産の金額が、相続財産清算人の報酬や経費に対して不足する場合には、家庭裁判所が申立人に対して予納金の納付を求めることがあります。予納金の金額は、相続財産の管理や相続債権者・受遺者に対する弁済など、必要となる手続きの煩雑さなどに応じて変わりますが、一般的な相場は、数十万円~100万円程度になることが多いようです。今回のように、専門職後見人が選任申立をした場合は予納金不要とのことでした。

6.相続財産清算人が取り扱う手続きの内容・流れ

相続財産清算人は、管理者のいない遺産を国庫に帰属させるまでの一連の以下の管理事務を、相続財産法人を代表して執り行います。

①家庭裁判所による公告

家庭裁判所が相続財産清算人を選任した場合には、家庭裁判所によって選任の旨と相続人の捜索の公告が遅滞なく公告されます(民法952条2項)。

相続人の捜索に係る公告期間は最低限でも6ヶ月以上に設定され(同条同項後段)、相続人としての権利を主張する者が誰も名乗り出なかった場合には、相続財産清算人は、遺産を国庫へ帰属させる手続きなどへ移行します。

②相続債権者・受遺者に対する弁済に関する手続き

相続財産清算人が選任された旨の公告があった後、2か月以内に相続人のあることが明らかにならなかったときは、相続財産管理人は遅滞なく、すべての相続債権者および受遺者に対して、弁済請求の申出をすべき旨を公告しなければなりません(民法957条1項前段)。この場合、公告期間は最低でも2か月以上に設定されます(同項後段)。

弁済請求の申出に係る公告期間の満了後、相続財産清算人は、その時点で知れている相続債権者および受遺者に対して、債権額の割合に応じて相続財産の中から弁済を行います(同条2項、929条本文)。ただし、優先権を有する相続債権者に対しては、優先的に弁済が行われます(同条ただし書)。

③特別縁故者への財産分与、最終的な国庫帰属

遺産を国庫に帰属させる前段階として、被相続人との間に特別の縁故があった法定相続人以外の者(特別縁故者)に対して、相続財産の全部または一部が与えられる場合があります(民法958条の2第1項)。特別縁故者として相続財産の分与を受けたい人は、相続人の捜索に係る公告期間の満了後3か月以内に、家庭裁判所に対して分与の請求をしなければなりません(同条2項)。家庭裁判所は、特別縁故者による分与請求を受理した場合、その者の被相続人に対する貢献度などを総合的に考慮して、相続財産の分与を認めるかどうか、また認めるとすればどのくらいの金額かを判断します。相続財産清算人は、家庭裁判所の決定に従い、特別縁故者に対して、相続財産の全部または一部を交付します。

特別縁故者への相続財産の分与手続きが完了したら、相続財産清算人に対する報酬付与、予納金還付手続を経て、それでも残った財産は国庫に帰属します(民法959条)。相続財産清算人は国庫帰属実現のため、最終的に残った相続財産についての計算処理や、名義変更などの手続きを行います。

④管理終了報告書の提出

 手続きが完了し、残った相続財産がすべて国庫へ帰属したら、相続財産清算人は管理終了報告書を作成し、家庭裁判所に提出します。これで相続財産清算人の業務は終了です。多少端折りましたが、大体このような流れとなります。

 7.まとめ

 相続財産清算人は、相続人がいない遺産を円滑に清算するための職務を行う存在です。身寄りのない高齢者が増えている近年では、空き家対策も絡んで、その重要性が高まっていると思います。

 

2026.10.18 Sunday
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