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ねさし味噌
歴史
このところ、健康志向や食の安心・安全などの観点から和食、とりわけ発酵食品に注目が集まっています。
若い世代の方からは敬遠されがちであった「豆味噌」も、マクロビオテックの調味料のひとつとして紹介されたこともあってか、その良さが見直されています。
当家の「豆味噌」と言えば、嘉永年間から途切れることなく醸造を続けて参りました「ねさし味噌」でございます。
ねさし味噌は大豆と塩だけを原料とする「豆味噌」です。
安土桃山時代に豊臣秀吉から阿波國を拝領した蜂須賀正勝・家政父子が尾張の出身であったことから、蜂須賀家に随行して阿波の地に下った者たちが中京地方の伝統的な豆味噌の製法を当地に伝えたのであろうと考えられています。
つまり、現在も中京地方の伝統の豆味噌として独自の地位を築く「八丁味噌」の製法にそのルーツがあるということになります。
また、もともと当地は稲作にはあまり適さなかったため、藍や大豆の栽培が盛んな地域でした。
ですから、豆味噌の原料確保には事欠かなかったということも、ねさし味噌誕生の要因の一つであったのでしょう。
「ねさし味噌」のねさしとは「寝かせる」の意の阿波の方言「寝さす」が語源。
豆麹を作るのにも、熟成にも長期間を必要とすることからこの名がついたと考えられています。
全国的にみても米味噌や麦味噌よりも生産・消費量とも少ない豆味噌ですが、徳島県においても、ねさし味噌の生産は県西部の限られた地域でのみ行われてきました。
しかしその独特の香りと風味、コクのある味わいは、和食のプロを始めとし、豊かな食卓を追及する人々の間では重宝されております。
味噌汁、味噌漬けと言った従来の使用法にとどまらず、和洋中さまざまなお料理の隠し味としてもお使いいただけます。
さらに近年、各方面の研究において、味噌(殊にねさし味噌のような熟成期間の長いもの)は癌の抑制や抗酸化作用、放射線防御作用などの効用も明らかにされてきています。
昔はそれぞれの家庭で仕込まれていたねさし味噌ですが、消費者の高齢化に伴い自家製造する家庭も激減し、現在ではねさし味噌を醸造する蔵も、ごくわずかとなってしまいました。
嘉永年間の創業当初より、ねさし味噌の醸造を続けて参りました当家では、長い歴史を持つ阿波の伝統の味「ねさし味噌」を今後も守り、後世に伝えていくことを大切な使命と考えております。
独特の風味
初めてねさし味噌をお買いになられるお客様には必ずこうお伝えしています。
「ねさし味噌は独特の強い香りと風味があります」
熟成されたチーズのよう、とでも申しましょうか。
樽から味噌を取り出すときには、蔵中にその香りが満ち、そこにいる者の全身にその香りが移るほどです。
人によっては「いい香り」、人によっては「強烈な匂い」と受け止められるでしょう。
発酵食品ゆえの宿命です。どうぞ、お楽しみください。
調味料として活かす
強い個性を持つねさし味噌ですが、その用途は意外と広範囲にわたります。
お好みに応じて単独で、また合わせ味噌でお味噌汁にお使いいただくのはもちろんですが、三浦醸造所では、かくし味としてお使いいただくことをおすすめしています。
ねさし味噌は大豆と塩だけを原料とした豆味噌のため、大豆タンパクをアミノ酸に分解する酵素の働きが重要になります。
その分、米味噌や麦味噌よりも長い熟成期間が必要となります。
しかし、それこそが濃厚で豊かな旨味を醸し出すことにつながるのです。
こうした特徴を活かして様々な料理にお使いいただくと、おいしさが際だちます。
なすの味噌炒め、さばの味噌漬け、餃子のたね、ミートローフ、麻婆豆腐、おでんや鍋料理、煮込み料理などにお使いいただくことでコクや深い味わいをお楽しみいただけます。
二十割糀味噌
ねさし味噌に始まる当所の味噌づくりですが、五代目は跡を継いだときから、広く世間に用いられている米味噌づくりにも取り組みたいと願っておりました。
そこで研究を重ねて醸造を開始した商品が「五代目杜氏の糀味噌」でございます。この味噌の特徴としては、自家栽培米を当所で製麹、国内産丸大豆とにがり成分を多く含んだ塩を原料に使用、そして麹歩合(米と大豆の比率)は米2に対して大豆1の「二十割麹」で醸造、という点が挙げられます。
徳島には昔から「阿波の御膳味噌」と呼ばれる米味噌がございます。『みそ文化誌』(全国味噌工業協同組合・社団法人中央味噌研究所発行)によりますと、御膳味噌の名前の由来は阿波藩主・蜂須賀氏に供されたことによるもので、幕末の阿波藩民政資料には「御殿様御膳用十五割白味噌」という記述が見られるようです。「十五割」も前述の「二十割麹」と同じく麹歩合を表す言葉ですから、当所の「糀味噌」は阿波の御殿様が食した味噌よりも、さらに贅沢に米糀を使用した味噌ということになります。このように米麹を多く用いることにより、水あめ(市場に出回っている甘口の米味噌には、水あめを原料に加えているものがあります)や砂糖とは違う上品な甘さを醸し出す味噌に仕上がっております。
醸造は以下のような行程で行われます。
- 米を洗米して浸漬(水に浸す)する。
- こしき(大きなせいろ)で蒸す。
- 放冷して麹菌の種付けをする。
- 取り込み(製麹機の中に種付けをした米を入れる)を行う。
- 切り返し(製麹中の麹の中に新鮮な空気を入れる)を二回行う。
- 5.の行程の間に大豆を洗い浸漬する。
- 大豆をこしきで蒸し、熱いうちにミンチの機械に通してすりつぶす。
- 42時間後に出麹(製麹機の中から出来上がった米麹を取り出す)
- 仕上がった米麹とつぶした大豆を冷ます。
- 米麹・大豆・塩・水を混合機に入れて撹拌する。
- 10.を混合機から取り出し仕込み桶にうつす。
- 約1年間仕込み桶の中で熟成させる。
以上の行程を経て醸造される「糀味噌」は、上品な甘味とこくを備えたやわらかな味わいのある逸品に仕上がっております。当所の商品は全て、一切の添加物を使用しておりません。そのためお買い上げ後も発酵が持続いたします。特に「糀味噌」は「ねさし味噌」と比べ発酵が速いため、冷蔵庫での保存をお勧めいたします。
一番しぼり限定醤油 夢来
七十年の時を経て、夢の醤油復活
当醸造所では、嘉永年間の創業時から阿波のねさし味噌と濃口醤油の醸造を開始し、地元の古い数え歌にも♪六つむらいさんくの味噌・醤油♪と歌われ、地域の皆様に親しまれておりました。しかし、太平洋戦争期に原料の調達が困難になり、先代の杜氏は断腸の思いで醤油醸造を中止するに至りました。現在の杜氏である五代目は、その復活を目指して醤油醸造の研究に打ち込むとともに、15年に及ぶ歳月をかけセルフビルドによる醸造蔵を建設し、70年以上の時を経て、長年の夢であった醤油醸造の再開を果たすことができました。
昔、それぞれの家で手作りしていた頃のお醤油のような、素朴で豊かな味わいを表現したい……。そんな思いを込めて杜氏が作り上げた醤油は、国内産丸大豆と国内産小麦、オーストラリアの天日塩を原料に用い、常温で2年間じっくりと熟成させたもろみを一回だけ搾った、ぜいたくな一番しぼりのみの醤油になりました。当所の創業者・三浦村次の愛称である「むらいさん」にちなみ、また、5代目の30年越しの夢が形になった醤油に万感の想いを込めて「夢來(むらい)」と名づけました。
しっかりとした濃厚な味わいとその後に残るやわらかな甘みを持つ、昔ながらの濃い口醤油。刺身や冷奴などのつけ醤油、餅やとうもろこしの焦がし醤油、アイスクリームに一滴など、様々な料理でお楽しみください。
一番しぼり限定醤油 夢来
一番しぼり限定醤油 夢来は、国産丸大豆・国産丸麦とにがり成分を多く含んだ食塩を原料に使用し、約2年間蔵のなかで、櫂入れをしながらゆっくりと自然発酵させ製造します。
醸造の行程は次の通りです。
- 精選した小麦を直火で焙煎する。
- 焙煎した小麦が冷めたら、粉砕機で軽く割砕(小麦をひき割る)する。
- 大豆の浸漬(大豆を水に浸して充分な水分を含ませる)
- 大豆をザルに上げて充分水気を切り、こしき(大きなせいろ)に入れて蒸す。
- 蒸し上がった大豆と、ひき割り小麦を、乾物重量比1対1の割合で混ぜる。
- 40℃位に冷めたら麹菌を入れて種付けをする。
- 取り込み(製麹機に6.を入れる)を行う。
- 4日目に出麹(製麹機から出来上がった醤油麹を取り出す)
- 8.を稲藁で作ったむしろの上に薄く(5㎝くらい)に広げ、1週間くらい枯らし(常温で充分に発酵させる)を行う。
- 汲み水歩合・十一水(原料容積の1,1倍の水量)の水を用い、ボーメイ比重計で20度の塩水を作る。
- 出来た塩水に醤油麹を仕込み、櫂入れ(竹と木で造られた「櫂棒」を使って撹拌する)をしながら諸味を発酵させる。
- 約2年後、諸味を絞り袋に入れて1回だけ圧搾する。
- 12.で垂れてきた生揚げ醤油(一般にいう「生醤油」)を桶に入れて、2~3日置くことにより、醤油よりも少し薄茶色の生澱(なまおり:生醤油の澱)を沈殿させる。
- 上澄みの生醤油を約55℃に温めて再び桶に移す。
- 2~3日静かに置き、桶の底に固形の火入れ澱(ひいれおり:醤油の澱)を沈殿させる。
- 上澄み(醤油)を瓶詰めする。
上記のような醸造法により、長期熟成天然醸造の醤油を仕込んでおります。
おすすめレシピ
材料
- 合挽きミンチ
- 1㎏
- にんにく
- 1片
- たまねぎ
- 2個
- ねさし味噌
- 250g
- 砂糖
- 250g
- ごま油
- 適量
- ケチャップ
- 適量(お好みで)
- 水
- 適量
作り方
- ごま油を熱したフライパンににんにくを入れ香りをつける。
- みじん切りにした玉ねぎを炒め、透き通った色になったらミンチを加えてよく炒める。
- 2をザルにあげ、余分な脂を落とす。
- 再び3と砂糖を鍋に入れ、混ぜ合わす。
- 4に味噌を入れ、全体をよく混ぜ合わせたら、ひたひたに水を入れて煮詰める。(甘めがお好きな方は、煮詰めるタイミングでケチャップを適量加えてください。)
- 煮立ってきたら焦げないように火加減を抑えながら木べらで混ぜ、水気をとばす。
材料
ソース
- 市販のデミグラス缶
- 1缶(290g)
- 赤ワイン
- 150ml
- バター
- 15g
- ねさし味噌
- 大さじ2
- はちみつ
- 大さじ1
- 塩
- 少々
ハンバーグ
- 合挽ミンチ
- 100g
- ニンニク(みじん切り)
- 1片
- たまねぎ(みじん切り)
- 200g
- パン粉
- 大さじ3
- 牛乳
- 大さじ3
- 卵
- 1個
- 塩
- 3g
- コショウ
- 少々
作り方(ハンバーグ)
- ニンニクを油で炒め、たまねぎを入れる。全体的に茶色になったらバットに上げて冷ます。牛乳とパン粉を合わせておく。
- 合挽ミンチに塩・コショウを入れよく練る。粘り気が出てきたら残りの材料を入れ更によく練る。
- 4等分して成形し、フライパンで焼き上げる。
作り方(ソース)
- 鍋に赤ワインを入れてアルコールを飛ばす。
- バター、塩以外を鍋に入れてとろみがつくまで煮込む。
- 最後にバターと塩を加えて味を調えてひと煮立ちさせる。