療育方針

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昔から“子どもは集団の中で育つ”と言われます。しかしそれはどうでしょうか?みんなの中にはいるが、一人だけ別な遊びをしているなど…実は集団の中で戸惑っている可能性が非常に高い場合もあります。また一見着席して馴染んでいるように見えても本人的には、“?”が多く、また先生に座ってと言われたから座っているという具合に周囲の状況、集団状況把握、目的的意識も実はまだ明確に形成されず戸惑っていることも非常に多く、結局、立ち歩き、別行動等といった形になってしまいます。

  つまり、子どもの立場に立ち子どもの気持ちを理解及び尊重して関わっているつもりでいても、実は定型発達に沿う子ども像を無自覚のうちにイメージして、それをストレートに障害をもつ・発達が気になる子どもに重ね合わせ、常識的な価値をおしつけて実践しようとすることが少なくないということです。また、集団の中に入りそこから何かを獲得する前提としては、個々間でのやり取り及び関わり方をまずは学ぶ必要があり、1対1の関わりが成立してきたら2~3人の小集団、5~7人の中集団、10人以上の大集団へと段階を踏んでいくことにより子どもの戸惑い感はかなり減少となります。

 

 

 

 

銀河の療育プログラムと特色

 当法人では、宇佐川浩氏が淑徳大学発達臨床センターで研究してきた『感覚と運動の高次化理論』を基に療育を展開しています。この理論では、教材・教具を用いた個別(1対1)でのやり取りを中心にお子さまの認知力や、コミュニケーション能力、情緒、自己象などの高次化を促し、次第に周囲に合わせながらも“自分らしさ”も確立していきます。また、自分らしさの追及も加速し、願う自分=自分作りもプログラムに合わせながら促進していきます。自分が自分らしく生きていく力を養っていくことを目指しています。

 

  

お子さんの発達に合わせた個別療育プログラム

 

感覚と運動の高次化理論では感覚認知の発達過程を4つの階層に分けて考えています。

 

①初期感覚で外界を受容する世界

 最初の段階は、外界を回転刺激や揺れ刺激といった前庭感覚や、関節・筋肉への固有感覚、さらに触覚を含めた初期感覚で外界を受容していく世界です。初期感覚が、目や耳よりも有意に用いられます。この段階では、そうした初期感覚の受容を高次化しつつ、因果関係理解や、終点理解を高める活動を通して、耳や目を少しずつうまく使われるような係わりをしていきます。

 当法人では様々な素材を用いて触覚に刺激を入力したり(図1)、感覚統合をベースとした運動遊びを通して前庭覚・固有覚に刺激を入力したり(図2)して、外界からの刺激の受容を高め、外への関心を広げていけるよう取り組んでおります。

 

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②知覚の世界

 やがて耳や目がうまく使われるようになってきて、音楽に合わせて身体を動かす耳と運動の協応活動などによって、聴き取る力や聴知覚が発達し、教具を用いた目と手の協応活動を通して、みわける・みくらべるといった視知覚が発達していくことになります。この段階を情報を知覚し把握するという意味で、知覚の世界と呼び、知覚の高次化が目標とされます。

 

 1つの課題が達成できたら理解できたではなく、様々な素材・課題を通して質的な変化を加えながら課題に取り組んでいきます。同じ目と手の協応を促す課題でも、終点が穴に挿し込むことなのか、軸に通すのか、筒に入れるのか、方向は上下なのか左右なのかなどによっても、終点の理解しやすさが変わってきます。(図4)課題の結果だけを見るのではなく、達成に至るまでにどう取り組んでいったのかにも注目し、アプローチしていきます。 

 

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③象徴化の世界

 次に、直接みたりきいたりという知覚処理過程のみに頼っていた情報から、その情報を一旦頭の中へとりこみ、それをイメージとして記憶し、再び思い浮かべるといった、間接的な情報処理過程、すなわち象徴化の段階へと発達していきます。そこではイメージを獲得できることを通して記憶や模倣、言語理解、見立てあそびなどといった活動を通して、象徴機能が豊かになります。それによって、相互的な関係性が拡がり、見通しをもちやすくし、ことばの基礎も拡がるなど、飛躍的な質的転換がはかられる段階を象徴化の世界と呼びます。

 見比べの課題(図6、図7)でも見本を見てどんな見本だったかなと思い浮かべて課題に取り組んでいきます。

  

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④概念化の世界

 さらに発達がすすむと、ことばや文字・数概念を使って、考えたり判断する力がついてくることになります。これを概念化の世界と呼びますが、ここではことばや、文字・数概念などの記号操作が豊かになり、その結果、様々な概念を駆使して頭の中で推理判断し、世界を捉えていくことになります。並行して事後概念の成長とともに、ごっこやゲームあそびによる他児との協同的世界が構築されます。

 

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上記の各段階に合った教材・教具を使用し、お子さまの成長・発達を促進していきます。

 

 

発達の共有 

 

 お子さまの発達段階を視知覚(基礎・細部・全体)・聴知覚(基礎・細部・全体)・知恵・自己象・情緒・視覚運動協応・聴覚運動協応・手先の運動・粗大運動協応・発語の項目からトータルに捉え、得意・苦手な分野も考慮しながら支援しております。これらの内容はレーダーチャートで視覚化し、保護者様と共有していきます。

 

pdf レーダーチャート.pdf (0.06MB)

 

 参考・引用

『障害児の発達支援と発達臨床―発達臨床心理学から見た子ども理解―』宇佐川 浩(2001

 

 

♦教材教具の開発♦

 

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感覚と運動の高次化理論に基づき、お子さまの「なじみやすさ」と「わかりやすさ」を追求した教材・教具の開発・製作も行っております。