♪ 近況&インフォメーション ♪ 

2011 / 02 / 06  

希望という名のブレンド~『ショーシャンクの空に』

『ショーシャンクの空に』

1995年の梅雨、当時俳優業をしていた自分がこれほどうらやましく、ショックをうけた映画はありませんでした。
現在もその印象は変わりません。
胸のすく思い。
感動するエンターテイメント作品に出合ったのをこれほど嬉しく思ったことはありませんでした。
この映画を見る時代に生まれてよかった、と当時本当に思いました。
毎日会う役者仲間と交わしていた会話は
「ショーシャンク見た?」「見た!」ばかりでした。


当時なんの情報もなく見た、「ショーシャンクの空に」は
こころあたたまるヒューマニティとしてももちろん、
見るものに完璧なカタルシスを与え、至福感へと誘うエンターティメント性も併せ持ち、
こんな思いをさせてくれるのか映画?
これこそ映画!
これこそ表現芸術の理想!
と、この後、すべてのアート・映画・舞台・音楽を図る時の「自分の中の大いなるものさし」になりました。


と、同時に表現者として、ひととして、自分はどれくらいひとをよろこばせ、笑ってもらい、こころの良きゆさぶりを起こすことができるだろうかと、常にそれを第一に考えるようになりました。


だから、ナルシスティックなひとりよがりの表現や
辿りつくべき場所を考えない実験的作品やエゴイスティック独善的な表現をさけるようになりました。
いつも目指したのは、しあわせな気持ちになってもらうための表現でした。


役者をやめていつのまにか9年もたってしまいましたが、
いまでも、こころにあるのは、たくさんの人を楽しませ、笑っていただき、
日々のストレスを吹っ飛ばして、別のここちいい世界にすっ飛んでいけますように!!  

…そうこころがけていまの職業を生きています。


自家焙煎のコーヒー屋をはじめて、最初の頃のつらい時期に、
自分達もはげまし、お客様をはげまし、
あの、映画のように、
こころをあの青い海と空の続くメキシコ・シワタネホのラストシーンへと運ぶことが出来るような、
そんな夢のようなブレンドをつくりたいと、
当時、手に入ったお気に入りの産地のコーヒーをメインに考えるようになりました。

それが、

希望という名のブレンド~ショーシャンク


でした。

中米のメインの豆の脇にイタリアンロースト近いマンデリンを配し、
フルシティのアフリカの豆をあわせたブレンドは、
農園の状態などで、微妙に変更しながら、いまも、お店のメインブレンドのひとつです。

こればかりお求めのお客様もいらっしゃいます。


高温で苦味と焦げが先にたつ、ファーストインプレッションから、
(ショーシャンク刑務所のように)
やがて甘味と質感をともなったマウスフィールが程よく残っていく。
(時間のなかで信念を揺らがすことなく、希望が昇華したどんでん返しの現実へ。、と)
と、感じていただければと思って作ったブレンドコーヒーです。
単純なイメージのブレンドではなく、ストーリーがうまれるエンターティメントブレンドです。

そして、しつこくない、当店のいつもの味作りで。



「ひとのこころから絶対に奪えないものがある」
「それは何だ?」
「希望だ」

そのやりとりは後半への複線でもありましたが、真実の言葉でもあったと思います。

年間3万人を超える自殺者が耐えない現代の日本では
希望を抱けないこころに追い込まれてしまうことが多いのは間違いないと思います。

でも、それでも自分は16年前に聞いたティム・ロビンスがスクリーンのなかで言った言葉は、
命をもって生まれてきたヒトの必要十分条件だと信じています。


希望を抱いて、この世にうまれた

生きているからには、希望を奪うことは出来ない



冤罪 暴力 不正 …

さまざまなストレスが19年という時間のなかでおりのように積もっていく

そして、全てをひっくり返してどんでん返しのカタルシス、
ヒューマニティと感動

この映画のようなコーヒーを提供できたらコーヒー屋冥利につきrます。
もちろん、それをいつもこころに抱いて生豆を焙煎し、お客様にお渡ししているつもりです。

味覚のイメージというのは、
とおり一辺倒の味覚的表現だけでは、本当のその先には行き着きません。

マニュアルやレシピを超えた先に、言葉を超えた、言葉に出来ないものがたくさんあるんです。

それこそ、技術や物理的なダンドリを超えた、なにか、です。

大好きなわが子につくる料理や、
どうしても目を離せないいい芝居をする俳優さんや、
こころを尽くして育てられた野菜の奇跡のようなおいしさ、

みんな、そういうもののなかに感じられるものを
もっともっと敏感に感じて、
それを邪見なくしてそのまま受け容れて感じるようになってもらえれば、

希望を感じられない

なんていう幻想がどこかにふっとんでいくと思います。思いたいです。


そして、
うちのコーヒーがそんなもののひとつになれるようにと、
日々、こころを尽くしてローストして、おだししております。


ズキン、とこころに来る、ここちよい琥珀色の液体、
HEARTFULなCOFFEEになるよう、
一歩、一歩、希望をこころに抱いて道を歩いています。


明日は朝いちばんで、「いま」の「希望という名のブレンド SHAWSHUNK」を味わおうと思います。
自分の作ったもので、自分が驚かされることってたまにあるものです。
感じれるか、楽しみです。


ちなみに、お値段は65%アップ…しておりません。
日々、コーヒーの値上げのネガティブ・キャンペーンをマスコミばかりか、
同業の大手メーカーがやっておりますが、
当店のコーヒーは数ヶ月から1年前に購入契約したものが多いので、
いますぐ値上げすることはできません。

実際上がってから考えます。(それが普通ですよね)

少なくとも数ヶ月は現状のままで行くつもりでおります。

全く、イメージ悪くなって困ったものです。
いかんいかん、
希望を奪うことはさせないんだっけ。